見出し画像

天職探求始まり イタリア→エクアドル

天職はトライアンドエラーを繰り返して発見される

少し時間が経ちましたが、私のこれまでの人生の続きを書きます。フォローして下さっている皆様、どうもありがとうございます。励みになります!

哲学者故Michael Novak氏は、「天職は私たちの能力にフィットしたもの」であり、「自分の天賦の才能は、トライアンドエラーを返し、時間と労力をかけて発見される」と述べています。私は、2014年9月に外務省を退職してから、このトライアンドエラーを試す人生の冒険を始めました。今もその冒険の途中です。大変だと思うこともありますが、やっぱりエキサイティングです。そして、少しずつ天職に近づいているといる感覚があり、今まで自分が歩んできた道を振り返るとなんとも感慨深く、これまでの自分の人生とそして、自分をとてつもなく愛おしく思います。これから、私のその冒険について綴っていきます。

エクアドル勤務時代にコーチングを受けたと以前、書きましたが、そのコーチとは帰国後もピンポイントでサポートを頂いていました。コーチから、退職後、3か月くらいは何もしないで、公務員の体質から卒業する期間を設けたほうが、本当に自分がしたい仕事が見えてくるからよいよとアドバイスをもらいました。そこで、年内中は、仕事をせずに、一方で次の2つのことに挑戦しようと決めました。

それは、イタリアでオリーブオイルとワイン作りに挑戦すること、そしてエクアドルの児童養護施設の寄付金集め(クラウドファンディング)です。

なぜ、イタリアで農業をしたいと思ったのか

外務省にいる間、私の天職は何かずっと考えていて、答えが出ずにいました。一方で、東日本大震災以降、東京にいて、何も作りださず、ごみだけを出し、電気熱を一方的に使う生活に疑問を感じていました。私は岡山の田舎出身で、家族は兼業農家をしており、家の周りもみんな兼業農家で、食べ物を作る環境で生まれ育ったことが、この心のモヤモヤに大きく影響しています。それでも、18歳で故郷を離れてから震災が起こるまでの14、15年間は、特に農業をしたいとはあまり思っていなかったのですが、震災から価値観が変わり、農業に関心を持っていました。

前回は書かなかったのですが、退職を決意できた決め手の一つに塩見直紀さんが提唱されていた半農半Xという考えとの出会いがあります。ある雑誌で、この塩見さんの考えした知った時にこれだ!と思ったんです。自分が食べるものは自分で作り、残りの時間を自分の天職だと思うことをする。自然の中で生活することもでき、そこから天職へのインスピレーションも得られる。健康だし、エコだし、自分の時間を農業だけに費やさず、これまでの経験を活かした仕事(=天職)にも従事できて、持続可能。やりたい生き方に出会えたと思い、外務省を退職する勇気につながりました。

そして、何を作ろうと思った時に、私はそれまでスペインに合計5年住み、オリーブオイルとワインが私の当時の食生活に欠かせないものになっていました。イタリア料理が大好きだったので、スペインではなく、イタリアで有機オイルとワイン作りを学ぼうと思ったんです。

天職トライアル、最初のエラー

ネットワークキングが大好きで大得意な私は、早速知人に紹介して頂き、トスカーナで大きな屋敷に住み、別のビジネスをされながら、オーガニックオリーブオイルとワインと自分の敷地内で作っているイタリア人のお金持ちの家族を紹介してもらい、そこでオリーブオイルとワイン作りに挑戦させてもらいました。こちらが私が滞在させてもらった家の周辺の風景です。

画像1

小タイトルでお分かりになったと思いますが、私の半農半Xの夢はイタリアに来て、わずか3週間足らずで打ち破られました。というのも、オーガニックでのワイン、オリーブオイル作りは、機械を極力使わず、肉体労働が多かったんです。そこまで頑丈ではない私は、飼料が入ったバケツをぶらさげて、急斜面のブドウ畑に飼料をまく作業で腰をやられてしまい、手伝いが続けられなくなったんです。退職前に試しておけばよかったのに、なぜ外務省にいる間に少しでも農業を試さなかったのかと浅はかな自分にかなり落ち込みました。

とはいえ、イタリアで過ごした1カ月半は、とてもとても楽しく、間違いなく私の人生の宝物的な思い出になっています。

クラウドファンディングで250万円を集める挑戦

仕事を始める前にしようと決めたもう一つがエクアドルの児童養護施設の活動資金を集める事でした。私は2009年から3年間エクアドルの大使館に外務省職員として勤務しました。その時に市内の映画館でエクアドルの児童養護施設「子どもの家」の日常を綴ったドキュメンタリー「Grandir」を観て、虐待や、親から捨てられ心の傷を負った子どもたちが本当に幸せに育っていく様子にとても感動しました。そして、世界の大人がこんなふうに子どもに接すれば、世界は変わると確信し、多くの人にこの施設を知ってもらいたいとドキュメンタリーの日本語字幕を作り、日本で上映会を行うなど支援してきました。その「子どもの家」の活動資金が不足していると彼らから聞き、こんな素晴らしい施設をなくすわけにはいかない、存続を支援し、施設の考えをもっと多くの人に広めたいと考え、活動資金を集める支援をすることにしました。

友人に教えてもらったクラウドファンディングという方法で寄付を募ろうと決め、Ready forで90日間で250万円を集めることにしました。当初、私は、こんなに良い活動をしている施設のことを知ったら、私の事を知らない人やエクアドルのことを知らない人でも共感して下さり、比較的難なく250万円集まるだろうと思っていました。でも、実際は、全くそんなに簡単ではなく、地道に自分でコツコツ広報活動しないと集まらないことが身に染みてわかりました。

残り10日間で200万円を集める

クラウドファンディングで寄付金集めを始めた当初は、イタリアにいて、イタリアから知人にメールを送るなどして、協力をお願いしていました。Ready Forのキュレーターの方からは、FBを使って広報するようにとアドバイスを頂いていたのですが、友達を失いそうで、ものすごく精神を消耗するので、あまりFBを使っていませんでした。実際、寄付をお願いする過程で、疎遠になってしまった方もおり、私はもともと、とてもセンシティブな性格なので、心が折れそうになりました。でも、その後、私が異国の地、イギリスで何の後ろ盾もなく起業して七転び八起き、トライアンドエラーの冒険を続けている今となっては、そういった経験も私の精神力を鍛えるために必要だったのかもしれないと思っています。

イタリアから戻り、クラウドファンディングの期限まで10日間になった時点で、まだ48万円ほどしか集まっていませんでした。10日で200万円など到底集められないと正直、あきらめていました。でも、キュレーターの方が鼓舞して下さり、これから1日10回、FBに投稿して協力を呼び掛けて下さいと言われました。それから、やるからには最後までやり切ろうと、言われた通りに一日に何度もFBに投稿し、さらに電話やメールでも支援をお願いし、大阪や岡山市まで行ってイベントで広報させてもらったり、できる限りのことをしました。すると奇跡が起こり、期限までに250万円集めることができたんです。キュレーターの方も、10日で200万円を集めたプロジェクトは(当時)ほとんどないと感激して下さいました。私は、ただただ、支援して下さった友人、知人、親せき、その他全ての方々からのご厚意がありがたく、その10日間はずっと感激で泣きながら活動していました。達成した時にアップした報告がこちらです。

エクアドルで、児童養護施設で子どもの接し方を学ぶ

施設を運営する夫妻から、施設で実践している子どもの接し方を本にしたい、そして香里にその本を書いてほしいので、こっちに来てほしいと連絡があり、行くことにしました。到着した後に、夫妻から、クラウドファンディング達成後、やむを得ない事情が重なり、施設の運営をこれまでの宿舎型からディリーサービスに変更すると告げられ、気を失いそうになりました。支援して下さった169人の方に何と言おうと考えると事情はわかりつつも、胃が痛くなりました。

夫妻と一緒に支援者の方に説明する文を数日かけて考えて、Ready Forを通じて、みなさまに伝えて、希望される方には返金をしますと伝えました。ほとんどの方が理解して下さり、また、逆に私の精神状態を心配して下さり、事なきを得ました。そして、改めてご支援して下さった方に深い感謝の気持ちを感じました。

私はエクアドルに1カ月滞在し、夫妻から子どもの接し方について教わり、どういう本にするかも議論し、目次と第一章を書いたのですが、実は色々あってプロジェクトは今、そこで止まっています。時期が来たら、本を出す日が来るだと信じています。施設のスタッフの方との一枚。

画像2

まとめ

外務省を辞めてから4カ月で、イタリアに行き、農業に関わる夢に挫折。そして帰国して、クラウドファンディングを奇跡的に達成した後、まさかの返金の照会をする事態発生。そして、エクアドルで子どもの接し方を学んだ1か月。実質的には仕事をしていませんが、オフィスではできない、濃い人生を経験することができました。

もう一度、繰り返しますが、天職はトライアンドエラーを繰り返して見つかると天職研究者は指摘しています(TABILABO様で以前、記事を書かせて頂いたので、ご関心ある方は読んでいただければ幸いです)。それからも私のトライアンドエラーは続しています。天職発見の道とは、自分が何者でどんな生き方をしたいかと知る旅だと日々実感しています。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?