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読んだ本のこと

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【読書】 6月に読んだ本 8冊

6月が終わって下半期がスタートしてしまった。今年はあまりペースを落とすことなく本を読めている。このまま行くと100冊超えるペースなんだって。1年100冊はわたし史上初めて!とはいえ1冊でも多く心に残る本を読むこと(見つけること)が目的なので、目指しているのは冊数ではないのだった。 では6月に読んだ本のまとめです。 ホットプレートと震度四 / 井上荒野 まずタイトルが秀逸。表紙の写真と相まって、思わず手に取りたくなる洒落感がある。内容は食にまつわる道具をテーマにした短編集

【読書感想文】放っておいてもいい子ってお前が決めるな 「言い寄る」 / 田辺聖子

田辺聖子さんの「言い寄る」を読んで、脳天撃ち抜かれたので、その衝撃を忘れないようにここにしたためておこうと思います。 ※少しネタバレを含むので気になる方はここで回れ右してください。 50年も前の小説なのに、恋愛に揺れる女の心情に、心の底から共感できる稀有な小説、それが「言い寄る」。 読んでいて思わず付箋を貼ってしまった箇所がいくつもある。 今日取り上げるのは、びっくりして「え!嘘やろ!」と言ってしまった箇所。 それは主人公の乃里子が、自分より下に見ていた女友達の美々のこ

【読書】5月に読んだ本 9冊(7作品)

今月の出会いで特筆すべきは太田愛さんでしょう。 なんで今まで読んでなかったんだろうと思うくらい、時間を忘れてのめり込み、あっというまにシリーズ3作品読んでしまってもはや寂しい……。 犯罪者 上下巻/ 太田愛 上下巻合わせて1000ページ越えの大長編。読み始めは登場人物と場面展開の多さに怯んだけど、後半からは一気読み。緻密に計算されたプロットに舌を巻いた。太田愛さんの頭の中どうなっているの……。 キャラクター設定もよくて、ページを捲るたびに修司、相馬、鑓水の3人に愛着が沸い

【読書】 4月に読んだ本 10冊

あっというまに桜が散って、4月が終わりました。早い! ついこのあいだ年明けたよ……。 今年は割といいペースで本を読んでいます。 ▲読書記録のインスタやってます。 というわけで4月に読んだ本です。 彼女が最後に見たものは / まさきとしか 三ツ谷&田所シリーズ第2弾。 ある殺人事件の被害者の指紋が、別の殺人現場で発見される。一見なんの接点もなさそうな二つの事件が実は細い糸で繋がっている…という流れは第一弾と同じ。登場人物が多くて視点もコロコロ変わるし、過去と現在が行った

【読書】もう成瀬にはなれないから、成瀬を好きになる / 本屋大賞2024

さて、わたしもついに「成瀬」デビューしました。 2023年、彗星の如く現れた成瀬あかりに、多数の著名人が夢中になり帯にコメントを寄せているのを見て、そんな面白いの?と穿った目で見ていたのはこのわたしです。 でも結局わたしも成瀬にハマってしまったひとりで、ついにはなんでこの物語が、成瀬あかりが、こんなにも人を魅了してしまうのかなんてことを考えてこれを書き始めています。 作者の宮島未奈さんは、柚木麻子さんとの対談で、重くない話を書きたかったと語っていました。 その思いで書いた

【読書】3月に読んだ本 11冊

3月後半から4月頭にかけて、実家に帰っていたり両親が遊びにきていたりと慌ただしく過ごしていました。 先週から日常に戻ったものの、外は桜が咲き始め、なんか浮き足立ってます。毎日お花見に忙しいよ。 め生える / 高瀬隼子 大好きな高瀬隼子さんの新刊。 今作は、根こそぎ髪が抜けてしまう感染症が流行した世界でのルッキズムのお話。 ハゲしかいない世界になったら、ハゲで悩んでいた人の悩みは解消されるが、もう2度と髪の毛がある世界に戻りませんようにと願わない日はない。ごく一部の髪が抜け

【読書】2月に読んだ本 14冊

気づけば2月が終わっていました。雪降ったりあったかくなったり寒くなったりと落ち着かない2月。 今月読んだのは14冊。まー結構読んでました。 170回芥川賞受賞作「東京都同情塔」とっても面白かった! 図書館で借りる本も割とあるので、本の装丁を残したくて、読書記録用のインスタを始めました。 よかったらそちらもチェックしてみてくださいませ〜! 存在のすべてを / 塩田武士 30年前に起こった未だ未解決の二児同時誘拐事件。当時事件に関わった刑事、記者、被害者と加害者関係者が時を

【読書】12月に読んだ本 6冊

今年はもう読了できなさそうなので、ちょっと早めですが12月に読んだ本のまとめをやっておきます。 やっぱり高瀬隼子さん大好き、となった12月。 今だけのあの子 / 芦沢央 女同士の友情を描いた短編ミステリ集。親友だと思っていた人から結婚式の招待状が届かない、ママ友とうまくいかない、夢を共有していた友人が冷たくなった…など。世の中の人間関係は、本当のことをちゃんと伝えていればこんなふうに拗れることはなかったのにな…っていうことだらけなんだと思う。わかりあう努力をするか、諦める

【読書】2023年に読んだ本リスト 81冊分

今年はトータルで81冊の本を読んでいました。 ここ数年の中で、冊数だけで言えば私の中では結構読んだほうです。 ただ印象に残っているものはごくごくわずかってのが玉に瑕…。 たくさん読むことがいいことではないので、今年はもっと1冊1冊を丁寧に読みたいなと思います。ちなみにヘッダーの画像は、とくに好きだった5冊。 あと、今年は読書会をやりたいのです。対面で。 図書館とかにチラシ貼るのがいいのかしら?それともSNS経由…? 1月(13冊) 嘘つきジェンガ / 辻村深月 山女日

【読書】1月に読んだ本 5冊

今月は図書館を使わなかっためずらしい1ヶ月。 1月前半は本が進まずペースダウンしていたけれど、ちょっと回復してきたかな。 今年も新しい文学との出会いがとても楽しみ。 2024年も引き続き読んでいきますよー! はるか / 宿野かほる 「ルビンの壺が割れた」と一緒に買っていたのだけどまだ読んでおらず、実家に帰省しているあいだにサクッと読む用に持ち帰った1冊。 ルビンの壺ほどのわーって感じはないけど、ずっとゾワゾワしている感じは変わらず。面白さで言うとルビン壺のほうがよかったか

【読書】11月に読んだ本 7冊

11月は何かとバタバタしていましたが、意外と本を読んでいました。 去年は仕事が繁忙期に入った瞬間本が読めなくなっていたけれど、今年はいい感じのペース。 というわけで11月に読んだ本のまとめです。 落日 / 湊かなえ 新進気鋭の映画監督長谷部から、新作の相談を受ける新人脚本家の千尋。15年前に起きた引きこもりの青年が妹を刺殺し、放火して両親も殺害してしまった事件を映画にしたいという。 ちょっとずつ明らかになっていく過程がなかなかキツく、想像すると苦しくなった。これとこれは繋

【読書】10月に読んだ本 3冊

10月前半はコロナでヒーヒー言っていたのでほぼ本は読まず寝てばかり。 ようやく読み始めた後半で高瀬隼子さんと出会って衝撃を受け、今年出た新刊2冊を本屋で買い、現在積読中。 というかあまりに楽しみすぎて、付箋を貼りながら大事に読みたくて、読むタイミングを見計らっているのです。どうしよ。いつ読も? そんなわけで今月も読んだ本をまとめていきます。少なめの3冊です。 おいしいごはんが食べられますように / 高瀬隼子 日本の社会の縮図を見ているかのような気持ちにさせられた。頑張っ

【読書】いじわるな感情と対峙する 「おいしいごはんが食べられますように」 / 高瀬隼子

遅ればせながら、高瀬隼子さんの「おいしいごはんが食べられますように」を読んだ。 芥川賞だし、売れているしで、読んでみたい欲はずっとあったのだけど、同時に純文学ならではの、読み終わった後モヤモヤしないといけない作品だったらやだな〜という気持ちもあって、今まで読んでいなかった。 が、先日コインランドリーで毛布を乾燥しているあいだに行ったブックオフの110円〜コーナーに、なんと220円で売られているのを見つけてしまった。 しかも別のセクションでは1050円の値札がついて並べられてい

【読書】9月に読んだ本

9月から夫の個展が始まったり、わたしの両親や夫の両親+姪がやってきたりと、なかなか忙しい日々を過ごしていたので読んだ本は3冊のみ。 読書の秋と言うけれど、そういや去年もこの時期から本が遠ざかっていたなあと思い出す。 というわけで、9月に読んだのはこちら。 異類婚姻譚 / 本谷有希子 違った種類の存在と人間が結婚するという説話の総称である「異類婚姻譚」。いつの間にか夫の顔が自分に似てきたと感じたことから、他人とひとつになる「夫婦」について考えるようになるサンちゃん。夫との