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不登校と修学旅行

小6息子の小学校の修学旅行。
息子は『行かない。集団行動も、他所で泊まるのも無理。』と即答した。

環境は、めちゃめちゃ揃っていた。
お向かいのご主人は旅行会社に務めており、そこは長年地区の小学校と中学校の遠足や修学旅行の担当会社だった。さらにご主人は今年小学校の修学旅行の担当者。
昔から我が家に親切にしてくれて、子供達が小さい時は仕事で使う小型バスに乗せてくれ、近所を一周したりしてくれる優しい人だ。
また、近所で唯一我が家の子供達の状況も知っており、『なんやったら行きも連れて行って、帰りも家まで連れて帰るし、ラインで途中経過も報告するで。』とまで申し出てくれた。

もう神様が『準備万端、行って大丈夫だぜ!』って言うてるくらいの、至れり尽くせりの状況。この子の引き寄せ方、めっちゃ凄ない?と思う程。
学校側もちゃんと事前に考慮してくれていて、それも合わせて息子にはひと通り説明をした。
それでも、息子は迷いなく『行かない』と言った。

そりゃあ3年近く全く学校に行ってないのに、急に修学旅行だけ行けんよな。めっちゃ仲いい友達がいればまた違うかもしれんけど。私だったら多分無理。別にええんとちゃうかな、それで。

五条悟も「救えるのは他人に救われる準備がある奴だけ」って言っていた。
あるいは「馬を水辺に連れていくことはできるが、馬に水を飲ませることはできない」みたいな。
(ちょっと違うか…?)

それもまた人生。
自分の好きにしたらええよ。


後日たまたま外で会った向かいのご主人に、すみません、お気持ちだけ有り難くいただきます。気遣っていただいてありがとうございました。と伝えた。

先生にも行きませんと伝えたけど、一応旅のしおりは溜まっていたプリントとともに渡された。
目を通して見ると、バスや新幹線の席、班のメンバーなどかなり配慮してくれた跡がみてとれた。
有り難いな。一緒に考えてくれたお友達皆に、ありがとうと言いたくなった。

息子よ、君は今は気づいてないかもしれないけど、ちゃんと皆に愛されているよ。

行き先は広島。修学旅行は一応平和について学びに行く目的があるので、私が昔現地に行って感じたことや歴史について息子に話した。
原爆って、めっちゃヤバいやん。息子は神妙な顔をしてちゃんと話を聞いてくれた。

そういえば、母方の祖父が特攻隊に入らなくて済むよう、お腹を壊すためにわざとシラミ入りのご飯食べたりしたという話を思い出した。上官に怒鳴られたり殴られたりは当たり前。もう出撃になるかものギリギリの所で終戦。祖父は生きながらえた。
祖父は晩年ずっと仏像を彫り続けていた。色々思うことがあったのだろう。もっと話を聞いておけば良かったな…。
生きてくれた祖父のお陰で、今私は生きている。

話の流れで、息子に『不登校になったことは、人生の中でのただの経験で、学びだよ。何について学んでるんだと思う?』と聞いてみた。
『人生と、自分自身について、かな。』
おお、ちゃんとわかってる。
私が小6の時は、ぼ〜っとしてたのにな(笑)
息子は時々、悟ったような事を言う。

今後も色々学ばせてもらいます。
息子に感謝。


☆☆☆


対して中3の娘の修学旅行。
彼女は弟とは逆に、楽しいイベントには行きたいタイプ。行き先は沖縄。今後家族で行けるかどうかわからない、魅力的な場所に『人生で1度は行ってみたい!』とやる気になった模様。

子供達の通っている学区は1小1中。
小学校のメンバーがほぼ全員スライドして中学校に上がるため、9年間メンバーが変わらない。

特に娘と息子の学年は穏やかな子が多いようで、特にいじめの問題もなく、男女関係なく皆仲良しだ。
(逆に先生方は、中学校卒業後に、穏やかな人間関係から急に人生の荒波に放り出されるので、苦労する子も多いと言っていた。それも良し悪しか…。また、繊細な子が多いのか、不登校の人数も他学年より多いという話も聞いた。)

そんなわけで、娘は1週間に1度程しか学校に行かないが、たまに教室に顔を出すとクラスメイトは普通に挨拶して接してくれるらしい。給食当番も快く代わってくれたりと、色々優しい。
そんな、いつも娘に優しいクラスメイト達に、ありがたいなと感謝の気持ちがわく。


修学旅行に参加するにあたり、娘にとって最大の関門は『班決め』だった。
いくら皆仲がいいとはいえ、思春期ど真ん中。特に女の子達にとっては重要なことなのだろう。


娘と1番仲のいい友達も教室に入れない状態になっていて、その子は早い段階で修学旅行には参加しないと意思表示をしていた。彼女の意志は固い。
娘は早々にその子への説得を諦め、どの子と同じ班になれば精神的に楽になのかを考え始めた。

そして、普段学校に行きたがらない娘たが、班決めの日だけはちゃんと出席した。
男子はこだわりがあまりなかったのか、決まるのが早かった。問題は女子。

娘はあらかじめ作戦を練っていたようで、皆がなんとなくグループになってきたかな…?くらいの頃を見計らって、一緒になりたい子がいるグループに『私も入ってもいい?』と突撃をかけたらしい。『いいよ〜。』とあっさり承諾。

無事作戦は成功した、かに見えた。
もうまとまるかな、という所で1人の女子が『本当は私、我慢してた…』みたいな事を言って、急に泣き出したらしい。その子は普段からすごく気ぃつかいな子らしく、皆のバランスを見ているうちに、一緒になりたかった子とことごとく離れてしまったよう。
突然のちゃぶ台返し。

女子の班決めは振り出しに戻った。

帰宅後、事の一部始終を私に話した娘に、このままで班決まる?大丈夫なん?と聞いたら、『まぁ、たぶんいけるんちゃう?』との返事。
お、意外と肝が座ってる。

その後担任を巻き込み、数日てんやわんやした後、『私、誰とでもいいよ〜』と手を上げてくれた大人女子数名のお陰で、無事班決めは終了した。
娘も安心安全のメンバーの班に入れて一安心。
その間、男子は終始暇そうだったらしい(笑)
いやはや、先生お疲れ様です。



出発当日。
うちの地区は空港が激近のため、空港での現地集合となった。荷物もデカいため、夫と2人、娘を車で空港まで送っていった。
前日までになんとか荷物をキャリーケースに押し込み、晩は『遠足前の興奮』的な感じで全然眠れなかった娘。超心配症のため、不安要素も山程あったようだが、とりあえずは無事に旅立った。

こうなると、落ち着かないのは夫の方。
旅のしおりを写メしていたので、1時間おきくらいに『今頃〇〇してるのか〜』といちいち確認しては、落ち着かない。
もう、ちょっとうるさいよ。大丈夫だって。

普段は姉を邪険にする息子も、『いないとちょっとさみしいかも…。』と珍しく正直な反応。
あらためて、娘は我が家のムードメーカーなんだなとしみじみした。普段から弟を溺愛している娘。これ聞いたら小躍りするだろうな(笑)

2泊3日の行程を無事に終え、空港に帰ってきた子供達。(娘を迎えに車で空港に向かう時、それらしい飛行機が夜空を飛んでいて。ちょうど着陸態勢に入るのを見て、『あれに今娘が乗ってるよ〜すげ〜っ!』と盛り上がるお馬鹿な夫婦…笑)

集合場所に、先生方に引率された子供達がぞくぞくと集まって来る。みんなもれなく、こんがりきつね色に焼けている(笑)子供達は皆元気そうだけど、先生方の疲労は色濃い(苦笑)。
※特に校長先生(地元の人で主人も知り合い)は持病のヘルニアが悪化したらしく、後日購入した写真を見ると終始顔色が悪かった。先生方も楽じゃない。本当に、引率していただいて感謝。

解散式が終わり、お開きとなった。
ただいま〜と、娘の帰還。
疲れてそうだけど、スッキリした顔してる。お世話になった先生方に挨拶をして、無事帰宅。

事前に家族がそれぞれリクエストしたお土産達。
意外にせんべいが1番美味しかった。

旅のしおりを見ると、売れっ子アイドルなのか?!くらいの超ハードスケジュールだったが、なんとか全て無事にこなしたらしい。(途中魂が抜けてる状態の時もあったらしいけど…w)

1日目は平和についての学習のため、とにかく慰霊碑などを巡りまくり感想文を書く。晩はホテル泊。

2日目はアクティビティで、ババナボートやドルフィンタッチやカヌー体験。普段は絶対に海とかプールに入らない娘がフル参戦。沖縄の魔力よ。
夕方からは各班に分かれ民泊体験だったのだが、生徒達の前評判は『知らない人の家に泊まるなんて、気を使うし憂鬱…』と、超絶不評だったらしい。
娘も色々気にしてた。

宿泊先の民泊により、特色は様々。娘の宿泊先は若いご夫婦で、普段は自宅で整体を営んでいるらしい。さらにご主人が空手の有段者、奥様がダンサーと異色の経歴。それに小型犬が一匹。
このご夫婦が物凄くノリがよく、色んな観光スポットに自家用車で連れ出してくれた挙げ句、入場料も全て出してくれたそう。

沖縄の民族衣装。めんそ〜れ〜
ヘビのマフラー。意外に平気。
お友達は大絶叫だったらしい(笑)
たまご。

めっちゃ楽しんでる(笑)

あんなに心配していた民泊。
夜には揚げたての美味しいサーターアンダギーをご馳走になったり、布団を並べて憧れの女子トークを楽しんだり。翌朝、苦手だった犬が最後に心を開いてくれたのか、膝に乗りに来てくれたり。
最後には班の子全員が、『イヤヤ〜帰りたくない〜、もう1泊したい〜!』とゴネたらしい。
出発前とエライ違い(笑)
ご夫婦は笑って、また遊びに来てねと集合場所へ送ってくれたそう。大変お世話になりました。

後日他の班の子に話を聞くと、うちは海へ行っただけだったよ、とか体験にかなり差があったよう。娘は同じ班の子と『うちの班大当たりじゃん。めっちゃ楽しかったよね〜!』と大盛りあがりだったらしい。相変わらずツイてる娘。良かったね。

最終日ににお土産屋さん巡りも楽しみ(思い切ってお土産屋さんのおばちゃんに話しかけ、オススメを聞いたりしてトークも楽しんだらしい)、お友達とパフェも食べて。無事に行程は全て終了。
ただひとつ、超食いしん坊の娘は『カルビー+』のお店に行けなかったことを、唯一めっちゃ悔やんでいた(笑)

山盛りのお土産話を聞きながら、行けてよかったやんと言ったら、『めっちゃ良かったわ〜』とニコニコする娘。それが1番のお土産だな。

修学旅行後日。
担任の先生と通級指導教室の先生、娘と私の4人での個人懇談会。

通級で娘が書いたもの。

修学旅行の前に心配事を書き、旅行後に結果を書き足したもの。
今回も、自分で決めたことはやり遂げた娘。
オールクリア。花丸。
まさに『案ずるより産むが易し』。
頑張った。お疲れさん。

☆☆☆

行った方がいい、行かなかった方が良くない、の話ではなく。(文章のボリュームは、どうしても経験談の方が長くなってしまうけど…)
それぞれの選択、それぞれの経験。

自分で選んだ道が、いつだって正解。
いつだって花丸。

これからも、子供達に幸あれ!

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