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約1年間でバズったツイートから考える「これからの時代の伝え方」
伝え方トレーニングサービス「kaeka」代表の千葉佳織です。本日12/3、株式会社カエカは3周年を迎えました。ひとえに、私たちのサービスに意義を感じご利用いただいているお客様のお陰です。いつもたくさんの時間と努力をサービスに注ぎ込んでいただき、本当にありがとうございます。
3期目の目標はチームとして結果を出すことでした。ひとりで立ち上げた会社に気づけば20名のメンバー(社員 / 業務委託含む)が在籍し、スピーチトレーナーの数はこの1年で4倍に増えました。スタートアップ経営はハードで、創業当初想像していた以上に大変ではありますが、毎日ひたむきにやってこれたと思います。
伝え方教育を日本に広げ、誰もが言葉を磨く社会をつくる。このビジョンを掲げる私としては、伝え方によってチャンスの幅が変わる「#話し方で人生変える」ことができると、より一層信じることができる年になりました。
そこで、約1年間かけてTweetしてバズった事例を紹介にしながら、今の時代の伝える力に大切なことを振り返っていきます。
著名人編
劇団ひとりさん関ジャニ∞村上信五さんと入社式スピーチ
日本テレビ「午前0時の森」に出演の機会をいただきました。劇団ひとりさん、関ジャニ∞村上さんとスピーチについて語り、即興のスピーチを行う企画です。
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出典:日本テレビ
出演場面でお伝えしたスピーチのポイントは、「スピーチ中に自分に酔って泣いてはいけない」「今回は日本テレビの入社式スピーチの想定なので、"出る杭に打たれたもの勝ち"というエピソードを日本テレビの頑張りと結びつけて話すと綺麗な構成になる」「聞いた人に向けてお土産(価値観・哲学)を与える話をする、自分の経験則だけを語っても心に響く話にならない」
「ジェスチャーは厳選して言葉と合わせて出す」などでした。
4/18収録後の反省会。
— 日本テレビ「午前0時の森」公式アカウント (@gozenreijimori) April 21, 2022
「スピーチのプロにスピーチを無茶振り。の森🌲」①#村上信五 さん #劇団ひとり さんの「魂の1分スピーチ」をご覧になりたい方はこちらから↓
<TVer> https://t.co/piuxHcEViP
<Hulu> https://t.co/SYTVhRhGFg pic.twitter.com/XdA7GTyEW7
「スピーチのプロにスピーチを無茶振り。の森🌲」② pic.twitter.com/dahsmnlhqs
— 日本テレビ「午前0時の森」公式アカウント (@gozenreijimori) April 21, 2022
ビリギャル・小林さやかさんの泣ける決意表明スピーチ
ビリギャル・小林さやかさんがkaekaの伝え方トレーニングを受講しました。トレーニングの最終日、小林さんのファンに向けてコロンビア大学院への留学を語る「決意表明スピーチ」を発表。多くの人の共感を生みました。
ビリギャル・小林さやかさんのスピーチが凄い。『ビリギャル』出版から10年が経った今、何を思い、コロンビア大学院に進学するのか。
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) November 14, 2022
考え方、伝え方、学ぶべきものが詰まっています。@sayaka03150915 #小林さやか #kaeka pic.twitter.com/18H4gI1C4d
千葉コーチのおかげで、話すことがもっと楽しくなった!日本では人前で話す練習をほとんどしないまま大きくなっちゃうけど、このスキルまじで人生変えると思うから小学校とかからやったほうがいいと思うのよなぁ。 https://t.co/VIPmgSm3Iw
— 小林さやか| Sayaka Kobayashi (@sayaka03150915) November 14, 2022
小林さんのスピーチは、コアメッセージがシンプルでした。「やってみなきゃわからないっしょ」シンプルさゆえに私たちの記憶に残ります。伝えたいことがはっきりしている場合、次に重要なのは「どの順番で話せばコアメッセージが伝わるのか」になるのですが、伝え方の順番においても小林さんの思いが汲み取れます。
ビリギャルとして歩んだ喜び(ポジティブ)→もともと才能があっただけだと批判される・「人は結果からしか判断しない」(ネガティブ)→受験の努力と結果・自己肯定感の大切さ(ポジティブ)→講演活動で言われた衝撃の一言(ネガティブ)
前提、小林さんのお人柄が素晴らしいからこその語りなのですが、それでも私たちが自分の語りに生かせることがあります。それは「過去にあった苦しい、悔しいネガティブなことをも曝け出すこと」です。通常何か大きな発表をする場合、誰だって煌びやかなポジティブな情報を並べたくなります。それだけでは人の心は動きません。
自分の人生を10分にまとめることは大変難しい。その難しさを乗り越えて自分史を話せることは誰にとっても重要です。なぜなら私たちは、入試、就活、ピッチなどさまざまな人生の局面で自分について語らなければならないから。経験を整理し自らは何に向かって生きていくのか言語化できる人には説得力が伴います。
江頭2:50伝説のスピーチはなぜ凄いのか
彼のスピーチが素晴らしかったのは、キャラの意外性やこれまでの芸人としての功績のイメージによるものだけではなく、スピーチそのものが心に刺さるように、しっかり構成されているからだと分析します。覚えやすいキーワード選定、間の確保、表情や抑揚の工夫などプロフェッショナルの力が詰まっています。
江頭2:50さんの入学式スピーチ、プロの表現がたくさん詰まっている。例えば冒頭。怒り出すかと思えば祝福するギャップ。スピーチの視点でみても言葉と表情の緩急が凄い。「入学」と発した時点では声が高く次に怒るか祝うかわからない。「おめでとう」で声が低くなり表情が緩やかに。そこから約9秒の間 pic.twitter.com/dM9B8bD3xJ
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) May 2, 2022
政治家編
菅前首相の追悼演説はなぜ注目されたのか
9月27日に行われた国葬儀の菅元首相が語った安倍元総理への追悼演説。こちら大変多くのみなさまから反響がありました。
菅前総理の弔辞について気づいたことを。まず、弔辞をスピーチライターが書いたのではないかといった噂が飛び交っていますが、私は本人が書いたと見ています。それはスピーチ冒頭にヒントがあり、ライターが書く場合あのような「7月8日…」からはじまる心情描写を選択しないだろう、と私は考えます。
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) September 27, 2022
【続き】私の想像ですので外れている可能性も含めてお読みください。日本のパブリックな挨拶は基本的に岸田総理の弔辞のようなはじまり方をします。(「国葬儀が行われるにあたり…追悼のことばを捧げます。」)これは私たちの国の特性。挨拶や弔辞といえばこのようなはじまり方、という暗黙の型がある。
しかし菅前総理は冒頭から心情を描写した。「あなたのお目にかかりたい、同じ空間で、同じ空気を共にしたい。… 最後の一瞬、接することができました。」この特徴ある冒頭は、本人の納得感があってはじめて実現される新鮮な入り出しであり、彼が迷いなく話す様子をみて私は、本人の言葉そのものだと感じた。
弔辞では感情を吐露されていた。私はこの仕事をするにあたりこれまで菅前首相の話し言葉を分析してきたが、彼の感情が露わになったスピーチを読んだ記憶がない。今回の弔辞は数多の感情で溢れていた。「哀しみと怒りを交互に感じながら…」「私は本当に幸せでした。」青い炎、本心が肉声で語られた。
特に印象深かった言葉がある。「安倍総理…とお呼びしますが、ご覧になれますか。ここ武道館の周りには花を捧げよう、国葬儀に立ちあおうと、たくさんの人が集まってくれています。」菅氏は目の前の安倍氏に確かに語りかけた。まるで安倍氏が生きているように。この言葉はより一層聴衆の集中を集めた。
他にも細かい点を上げれば、総理と呼ぶたびに視線を上げていたこと、銀座の焼き鳥屋で総裁選出馬を口説いたこと、1212号室の机上の本。語りたい事ばかりだが、総じて菅前首相の言葉が届いたのは「目の前の(記憶の中で生きている)安倍氏に向かって」話し「思い出を大切に記憶していたこと」ではないか
菅前首相の弔辞を見ながら、かつての菅氏のことを日本社会が「伝え下手」だとレッテルを貼った事自体にも言及したい。
言葉に思いを込めることができる菅氏があのような指摘を受けたのは、日本のパブリックスピーキングに蔓延る「正式な場面での文章の型化」に問題があるのではないかとも考えてみたい
お決まり事のようにただいまご紹介に預かり、冒頭に来賓へ感謝申し上げる。話し言葉に適さない一文の長さ。はじめて聞く聴衆に配慮しない情報量の多さに、誰か読んでも同じ堅苦しい文章。結果、飽きた空気が会場に蔓延する。こんなスピーチのつくり方を永遠にしていたら真のリーダーは生まれない。【最後のTweetに続く】
前首相、現首相の言葉を聞いた私たちは今、自らはどんな言葉を普段発しているのか、自分ごととして考えていく必要がある。そして菅前首相のように「日本に蔓延るスピーチ文書の型化」から抜け出し、あなたにしか話せない言葉や思い、経験を語っていくことの重要性に気づいてほしい。
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) September 27, 2022
野田元首相の追悼演説はなぜ注目されたのか
スピーチトレーナー視点ですが、野田氏の演説の息遣いは言葉に拘りや熱意がある方の表現であると感じます。「歴史の審判に委ねるしかないのかもしれません。”そうであったとしても”…」の間がなく声高く強く切り替えて切り込む感じ、諦めない信念を声質でダイレクトに表現する秀逸さが。引用日テレNEWS pic.twitter.com/7UQGg85HNq
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) October 25, 2022
安倍晋三元首相の生涯を生まれた頃から細かく話すことで、場面場面の安倍氏の表情や心持ちなど「人となり」を聴衆が自由に想像できる、豊かな弔辞でした。「果てなき決断」「真剣な熱を帯びる」など決して多くは耳にしない表現からも、野田氏のフィロソフィーが伺えます。
安倍氏の死から何を覚悟し、未来に向けて何をすべきか、クライマックスに割かれる全体の割合が大きかったのも特徴的でした。話全体の(段落ごとの)言葉の割合比はその人の熱量比であったりもします。野田氏は未来に向けて今一度、考え抜き問いを持ち続け行動せよ、と強く訴えかけたかったのではないでしょうか。
また、低く響く芯のある声が特徴的であり、随所に表現工夫が垣間見える。例えば「あなたが放った強烈な光も、その先に伸びた影も…」並列表現での抑揚高低の上昇具合が気持ちの高ぶりを適切に表現しており、音声として伝わりやすい話し方でした。
自民党総裁選2021
演説の面白さを伝えたくて、#自民党総裁選2021 所見発表演説をスピーチライターの視点で分析しました。
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) September 23, 2021
数字の使用傾向、価値観の提示回数、ファクトストーリーの割合は演説の強みを客観視することができる指標です。
演説はその人そのものを映し出す、大切なコミュニケーションの手段だと考えます。 pic.twitter.com/QbnhPemtGZ
岸田氏、河野氏、高市氏、野田氏の演説を分析。全体の構成像、演説中に使用されている数字の性質、ビジョンの種類、kaekaが定義するファクト / ストーリーの組み合わせについて解説しました。
公人編
IOCバッハ会長のスピーチはなぜ長かったのか
オリンピック開会式のバッハ会長のスピーチ、「長かった」との感想を多く目にしました。
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) July 26, 2021
みなさんの違和感の正体が、スピーチのどのような技術に由来するのか、スピーチライターの視点で分析してみました。
明日から使えるスピーチ・プレゼンのポイントも添えています。 pic.twitter.com/eTV12Q3fRh
「感謝の言葉が多すぎたため聴衆が飽きた」「前後の橋本聖子会長と内容が被っており、内容の役割分担が必要だった」「本大会でしか言えない言葉が少なかった」「すでに聴衆の集中力が切れているのに盛り上がりを不必要につくった」などを指摘しました。
IPCパーソンズ会長のスピーチはなぜ賞賛されたのか
ストーリーテリング、描写力、言葉の対比表現、話し方の豊富さ(ジェスチャー、視線など)など秀逸な伝え方を分析しています。
パラリンピック開会式のパーソンズIPC会長のスピーチ、素晴らしかったですね。多くの方が「感動した」とお話されていました。
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) August 26, 2021
なぜ感動したのか、スピーチライターの視点で分析しました。
明日から使えるスピーチ・プレゼンのポイントも添えています。 pic.twitter.com/sGTgqdOUTx
千葉実践編
声の抑揚の変化でこんなにも聞こえ方が変わる?
アナウンサー口調、政治口調、抑揚を学んだことがない人の口調を私が真似しながら、抑揚の構造を解説しています。
仕事の息抜きに(?)声の抑揚について解説してみました。
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) November 10, 2022
・アナウンサー口調
・政治家口調
・抑揚を学んだことがない方の口調
それぞれ「なぜ」それっぽく聞こえるかについて実践&解説しています。抑揚って奥深くて面白いですよね! pic.twitter.com/YleLDKlCQG
伝え方トレーニングサービス「kaeka」
株式会社カエカでシードラウンド1.2億円の資金調達を実施しました。
— 千葉 佳織 / kaeka スピーチライター (@kaolly13) September 1, 2022
話す力を数値化しあなたの課題を解決する伝え方トレーニングサービス「kaeka」を拡大します。
伝え方教育を全国に広げ、誰もが言葉を磨く社会を実現するために走り続けますので応援宜しくお願いします!https://t.co/I7rSWSCeHO
話す力を数値化し、あなたの課題を解決するための伝え方トレーニングサービス「kaeka」は4期目に突入します。今期は1.2億円の資金調達を行い、スタートアップとして舵を切った年でもありました。プロダクトのリリース、B向けサービスの展開、Techと人が融合した伝え方学習の設計、新しいチーム……。この先は未知なる挑戦が広がっており、私自身も1年後どのような未来を迎えられているのか想像がつきません。しかしながら、伝える力は人の人生をより良くするものであると強く思っており、雨降ろうが、風吹こうが、台風が起ころうが私の意思はまったくもって変わりません。
「伝え方教育」というまったく新しい文化をつくるために奮闘しています。伝え方で自分の人生が豊かになったことがある方、ビジョンに共感いただける方、一緒に働きませんか。採用サイトからの応募をお待ちしています。
そして、伝え方トレーニングの無料体験会へのお申し込みもお待ちしています。これまでの受講生の方は、昇格、昇進、起業、メディアでの活躍、当選などさまざまな結果を出しています。この場所で伝え方の学習を真剣に行いませんか。
4期目、新たなスタートを切ってまいります。これからも応援どうぞよろしくお願いいたします。
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