🌱不登校の要因が「無気力・不安」って、逆じゃないの？

調査結果への違和感

しばらく前のことですが、
文部科学省がある調査結果を公表しました。
「不登校の主な要因」というタイトルのこのグラフ、
ご覧になったことはありますか？

グラフを見て違和感を抱きました

私はこの調査結果を見た時
納得いかないものを感じていました。

不登校の要因が並んでいますが
結果は『無気力・不安』が第一位となっています。

不登校になった子供達は
確かに『無気力・不安』が前面に出ていることが
多いと思います。
しかしそれは、どちらかと言えば結果論。
原因ではない。

何かがあって（それが不明瞭なことも多い）
学校に行けないことへの自責の念や、
周囲から自分への非難などによって
気力が削がれ、安心できなくなってくる。

我が家含めそういう事例を多々知っているので
これにはもう、違和感しかありませんでした。

専門家の見解

その気持ちを抱いたまま過ごしてはいたのですが
このような記事に出会いました。

発達障害と不登校　子どもの暴言・暴力対策には「親の家出」も有効

精神科医、かつ筑波大学名誉教授である
斎藤環(さいとう・たまき)先生への
日経ビジネスのインタビューです。

この記事の主題は「子供の暴言や暴力」なのですが
不登校に対する斎藤先生のご意見も
非常に参考になりました。

斎藤：私の見るところ、不登校の原因にはトップ3があって、1位は「子ども　
同士の人間関係」です。これには「いじめ」も含まれますし「何となくいづらい」といったケースもあります。
2位は「教師との人間関係」で、ハラスメントも含みます。
3位は「家庭の問題」で、ネグレクトなどの虐待です。
これら3大要因を何とかしないと、不登校は減らないでしょう。
逆にいえば、子ども本人に原因があるケースはほとんどないのです。

子供を取り巻く人間関係（子供同士、教師、家族）が不登校の３大要因

明確な子供同士の「いじめ」とならなくても
空気感やテンションが合わないことはありますよね。
自分の時も、我が子を見てもそうですが
学年によっても全体的なキャラが違う。
それぐらい、場の雰囲気って伝わるものです。

子供達はまだそれを乗り越える術を
知らないこともあるでしょうし、
そこで無理してなんとかしようとしなくても
他の場の方が楽しい場合もあります。

学校という場に馴染めない自分に困り、
自分を責める子供もいるでしょう。
だんだん学校の場に居づらくなることは
十分あり得ると思いますし、
その他要因も理解できます。

いずれにせよ、子供達の心に付いてしまった傷が
不登校の大きな要因であることは明白です。

なるほど…と読み進めていたところ、
冒頭のグラフのお話が出てきたのです。

斎藤：この調査は、非常におかしい。（←冒頭のグラフ）
不登校の「主たる要因」として最も多いのが、生徒本人の「無気力・不安」で、次に来るのが「生活リズムの乱れ・あそび・非行」だという。
要するに「生徒本人のせいだ」という回答が6割以上を占めています。
問題は「誰がそう答えているのか」です。

ー調査対象は、学校と教育委員会です。

斎藤：そこがおかしいのです。
選択肢の中には「学校に係る状況」も「家庭に係る状況」もありますが、学校や教育委員会の人たちの圧倒的多数が「本人に係る状況」を選んでいます。

ー「自分たちのせいにしたくないので、子どものせいにしている」という構図に見えます。

斎藤：そうです。このような調査がなされてきたために、不登校の主な原因は、本人の「無気力・不安」であると長い間考えられていたのです。
最近になってやっと、このような調査方法に対する反省の声が聞かれるようになりました。

私の抱いていた違和感のすべてがここに

やっとこういう意見に出会えた！
私のモヤモヤを言語化してくださった！

多少極端にもとられるかもしれませんが
このグラフが示すものは
子供達を外側から見る人からの意見であり
子供達自身やそれに近しい親御さんからの
意見ではないのです。

斎藤：コロナ前から毎年1万～2万人規模で不登校の小中学生が増えるという異常事態が続いていました。無気力な人間が、それだけの勢いで増えるはずはありません。不登校は環境要因で増えているはずです。根本的な問題は「教育システムの制度疲労」だと、私は考えています。

無気力が人間が年間１～２万人規模で増えているとしたら・・・異常事態

先日、私は長男次男の不登校の原因について
振り返り記事を出しました。

ご覧いただけますとわかるのですが、
斎藤先生が書かれている３大要因は
我が家の子供達の場合、以下となります。
　長男１回目　⇒２位　教師との人間関係
　長男２回目　⇒それ以外（起立性調節障害）
　次男　　⇒１(友人)，２，３(家庭)位の複合要因

決して、文科省調査による
「無気力・不安」が
きっかけになっていることはありません。

これらの主要因によって学校に行けなくなった後で
子供達はどんどん「無気力・不安」が
強くなってきていました。
つまり、順番が逆なのです。
それが私の違和感のもとでした。

視点も１つではないはず

もちろん幼い子供達であれば
思いをうまく言葉にできないかもしれないので
調査が難しいということはあるでしょう。

しかし、先生や教育委員会側からの回答だけでなく
せめて親御さんからの意見も一緒に並んでいて欲しい。

不登校対応とは本来
学校と家庭が喧嘩するわけでも、
争うわけでもないはずだと思うのですが
なぜか一方向の結果がひとり歩きしているように
私は感じています。

もし、このグラフをベースに
文科省が対策を打とうと考えているのであれば
認識が相当ズレてしまいます。

これまでも、私は何度も
「不登校」を一括りにしてはいけないと
お伝えしています。

それと同様、「不登校」の要因を考える際も
もっと多くの視点から
見つめる必要があるのではないでしょうか。

それともう１つ。
要因を考えることも大切ですが、
いろいろなことが複合的である場合が多く
今となっては何と決まらないことが多いと思います。

要因を調査することももちろん大切ですが
子供達の現状に則した学びの場の提供を
検討していくべき時期だと思います。

こちらも以前記事にしましたが、
今の状況に応じて不登校を分類し、
それぞれに対して対応策を考えた方がよいと
私は思います。

子供の数だけ要因、経過、時期、期間など
異なるものが出てきます。
本当に千差万別。

複数の対応策を持っておき、
トライ＆エラーを繰り返すことで
子供によりよいスタイルが
見つかるのではないでしょうか。

必要な方に届きますように✨

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