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長男の修学旅行の話 3

出発

旅行までに準備をするのも、私にとって実は緊張の連続だった。
久しくこんな準備をしていないというのもあったが、心の底では
「やっぱり無理」
って言ったらどうしよう・・・と不安だった。
(もちろん無理となれば、それは受け入れるのだが)

長男の学校は携帯電話の持ち込み禁止。
でもまぁ・・・いまどきの高校生が持っていかないわけもなく💦
こっそり手荷物の方に入れておこう、
手荷物検査でバレないかな?
大丈夫じゃない?
・・・など言いながら、粛々と準備を進めた。

恐らくお互い「大したことないよ」というフリをしていたが、長男本人はもちろん私も、もしかしたらN先生も少しは緊張されていたのかもしれない。
N先生は旅行の直前にも
「ほんとに行くんだな・・・?大丈夫だよな??」
と、何度か長男に確認されたそうだ。

出発の日、朝早い時間に空港集合だったので、私が車で送った。
車から降りる時、長男はいつも通り
「んじゃ、行ってくる」
と静かに言った。
「行ってらっしゃい」
私もいつも通りに送り出す。

キャリーバッグと手荷物を抱えて、集合場所に歩いていく長男の後ろ姿を見送りながら、私はただ祈っていた。
どうか友達と楽しく話すことができますように。
どうか最高の思い出が作れますように。

友達

旅行の工程については学校から保護者宛てに1日に何度かメールが届いた。
現地の空港に到着したという連絡の後、最初の予定にあった博物館に到着した旨の連絡があり、中を見ると写真が何枚か添付されていた。

そのうちの1枚、どう見ても見覚えのある男子が1人の男子と話しながら展示物の前に立っていた。
絶対長男だ!というより、長男であって欲しい!が近い感情。
逆に私の緊張が増してしまった。

夜になって、そろそろ長男たちもホテルで夕食かなぁと思っていた頃、担任のN先生から私宛てに1本のメールが届いた。

「友達、少しできました。 長男より」

しばらくそのメールを見ながら泣いていた。(←泣き虫)
良かった。ほんとに良かった。

部屋に戻ったであろう頃、こっそりLINEを送ってきてくれた長男。
飛行機に乗るのが初めてで緊張していた長男は、座席が近く、同じく緊張していた子とどちらからともなく話したらしい。

「飛行機、初めて乗るからさぁ」
「俺も!」
「こわいなぁ」
「なー」

恐怖がきっかけで、どんどんいろんな話が出てきた。
(これも新手のつり橋効果!?)
現地に着き、そのまま博物館も彼と一緒に回ったそうだ。
やっぱり!
写真に写っていたのは長男とその友達第1号くんだった。
しかもその彼こそ、剣道着をまともに着たことがなかった長男を見かねて、着せてくれた彼だったのだ。

修学旅行1日目の夜。
「話せそうな相手」として長男を選んでくれた同級生に加え、長男も何回か話したことのある穏やかで優しいタイプの同級生数名が同じ部屋だった。

再び、長男からのLINE。

「なかなか楽しいよ。みんなで盛り上がってる」

もう私はただただ嬉しかった。
長男を指名してくれた彼も、長男と一緒に行動することで、話せる友達を増やすことができているらしい。
隣の部屋に遊びに行ったり、飛行機の友達1号くんたちも長男の部屋に遊びに来たり。

なにそれ、青春じゃないか。。。

そしてもう一言書かれていた。

「来てよかった」

相変わらず、私は泣いていた。



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