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史上最高齢バイデン大統領の誕生

アメリカの大統領選、ジョー・バイデン氏がドナルド・トランプ大統領に対して勝利を確実にした。

バイデン勝利は日本時間11/4 22:00時点でほぼ明らかになっていた

バイデンの勝利は、タイトルにあるとおり、日本時間の11/4 22:00でほぼ確実になっていた。
というのも、最も選挙速報が早いFOXニュースが激戦州におけるトランプ不利の分析が進んでいたからだ。

FOXニュースとは、アメリカの主要メディアの中では保守系のものである。CNNやThe New York Timesなど他の主要メディアとは異なり、はじめからトランプ陣営に近く、討論会などでもトランプ有利の見方を出していた。
トランプ氏は多くのメディアを敵対視するのに対して、FOXだけは特別視し、メディアのなかでは例外的に好意的に扱った。

そんなFOXニュースは、今回の選挙速報で、フロリダのトランプ勝利をいち早く伝えるなど、トランプにとって有利な情報が早く伝わっていたように思えた。しかし、その後はアリゾナ州でのバイデン勝利をいち早く報じ、他の激戦州といわれる州でのバイデン優勢の見方をかなり積極的に出していた。

バイデンの勝利がほぼ明らかになった11/4 22:00で、FOXは以下のように情報を発していた。
バイデン 238人獲得
トランプ 213人獲得


この時点で、他メディアではアリゾナのバイデン勝利を報じていないため、バイデン225、トランプ213としているメディアが多かったが、獲得人数でバイデンがトランプを上回っていたことは他も同様だった。

しかし、ここからFOXのサイトをみると、他と違うのは激戦州のうち、ミシガン、ウィスコンシン、ネバタの3州でバイデンリード(優勢)との分析を出していた。

それぞれの州の選挙人の数は、
ミシガン16人
ウィスコンシン10人
ネバタ6人
である。

3州を合計すると32人になり、バイデン氏がすでに獲得していた238人と併せると、勝利に必要な270人になる。

先にものべたとおり、FOXはトランプに有利な情報を多く出す傾向にあり、この時点で「勝利宣言」を出していたトランプに恥となる情報を根拠なく出すことは考えにくい。

つまり、この時点で、バイデンは、他の激戦州の結果を待つまでもなく、勝利をほぼ確実にしていたのだ。

「オハイオを制するものが全米を制す」が崩れたとき

1964年以降、米国大統領選ではオハイオ州で勝った候補者が大統領に選ばれていた。そのため、「オハイオを制するものが全米を制する」とまでいわれていた。
もちろん、これは慣用句的なものであり、2016年まで破れなかったのは偶然ではあるが、オハイオ州がかなり全米の縮図に近い州であることは事実であろう。

ネットを見る限り、フロリダをトランプがとった段階でトランプの勝利が近づいたことを感じた人が多いようだが、私自身はフロリダではなく、オハイオをトランプがとったとき、バイデンが負けるのでは、と思っていた。

トランプは、オハイオを制しながら全米を制することができなかった者の60年ぶりの誕生なのである。

開票直後のトランプ優勢からバイデン優勢になったのはなぜか

州や地域によって開票の進め方はことなるようだが、農村部から開票が進んだ場合、(農村部で強い)共和党の候補者が一見優勢に見えるようになる。その反動で、(民主党の強い)都市部で開票が進むと、一気に大勢が変わることになる。
また、今回は郵便投票が多いというが、郵便投票が開票されるタイミングにも左右されたのだろう。

いずれにせよ、開票作業は一票ごとに数字を出すものではない。まとまった数、あるいは終わった開票所ごとに出されるため、票数の多い都市部で開票が終わると、短時間で一気に(特に民主党の)票数が伸びることになるのである。

最高齢のバイデン大統領のこれから

バイデン大統領、注目はその年齢だ。超高齢社会の日本の首相より年をめされているのだから驚きである。
極左などとトランプから言われていたが、民主党のなかでは中道というのが米国内での一般的な見方であり、よくも悪くもトランプのような派手なことはしないのではないかと思われる。

また、トランプに比べれば中国へのあたり(特に軍事的なものに対して)は柔らかく、米中対立の深刻化はいくらか和らぐのではないか。一方で、先にも述べたとおり、バイデンは民主党のなかでは穏健な左派中道に位置し、人権問題や環境問題への姿勢からも極端な親中政策や、中国の非人道的なものに対して甘くなるとは考えにくい。

そしてなにより注目すべきは、副大統領だ。バイデンの年齢からいっても、バイデンの有力な後継者となりうる副大統領は、黒人女性のカマラ・ハリス氏である。
ポスト・バイデンとして、前回大統領選でのヒラリー以来の、アメリカ史上はじめての女性大統領(しかも有色人種)の有力な将来の候補になることは間違いない。

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