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【創作小説】まわれ!今川やきくん!フィンランドの巻⑻


そのまんま今川…。

後編へ突入!



コンコン!

「サ!ン!タ!さぁ〜ん!」

コン!コン!コン!

「おぅ〜っい!サンタさぁ〜ん!?」


「おや? 誰か来たようじゃ。トントくんたち! そして今川やきくんも!人間に 見つからないよう!ささ…!どこかに…」

「あ、そうだね!サンタさん!」
「うん!隠れよう!」


「ああああ!か、隠れる?…あ、は、はいなーー!」



あわわ…どーしよ!?どーしよ!?
隠れるったってなー。
あ!あ、そーだ!オレは あの棚(たな)へ!


「よし!ペーちゃん、あそこだ!」
「ペッペーー!」

ピョーーン! 
パタパタパタ。

「よーいしょっ…と!」
「ぺっ!」


サンタさんと向き合ってイスに座っていた今川やきくん。

イスの上を クルクル飛んでいたペーちゃんと共に 部屋の飾り棚(かざりだな)へ 飛び移り、人形のふりをする今川焼きと 黄色いオカメインコ…。

トントくんたちは イスの下に うまく隠れたもよう。



カーーーーーーーーーーーーッ!

オレは今、見事なまでに クールな ‘ 今川焼き人形 ’ になってるな!

ペーちゃんも 三○ちゃまオーラを放(はな)って輝く‘オカメインコ人形 ’ だぜ!

なんてったって、オレたちのお腹ん中には 真心が入ってるからな!
いやでも 輝いちゃうんだよなーーーーっ!

おーっと!輝きすぎて 人間の子供にバレなきゃいいが…。

ま、先のことを心配してても しょーがないからな!

どら!いっちょ 人間の子供の様子をうかがうとするか…。


輝く そのまんま今川人形 と 三○ちゃまインコ人形…。



「サンタさん! こんにちは!ボクは 小学校に通う男の子、名前は『オンニ』です!」

「やあ、オンニ。いらっしゃい。よく来てくれたの。オンニか…良い名前じゃの。フィンランド語で「幸せ」と言う意味じゃからのぅ…ホッホ」



カーーーーーーーーーーッ!

オイ オイ オイ!
いきなり来たのが 幸せかよ!
ペーちゃん!黄色いインコ人形に なってる場合じゃねーな!
これは 青いインコ人形にならないといかんな!

幸せは足元にある、あの‘ 青い鳥 ’ 人形に、だ!

そしたら、どら!あとで オレが塗るとしようじゃないか!


え? ペーちゃんを青く塗る?
それはちょっと強引(ごういん)な 思いつきじゃないか?
どうやって塗るつもりだ?



「オンニ…オンニは ワシに 何か願い事があるのか?」

「う…うん…。あのね…。ボク…スキーで使うカッコいいゴーグルが ほしいんだ」

「ホーッホッ! スキーのゴーグルか」

「うん。もうすぐね!小学校で スキーのクロスカントリー大会があるんだ!」

「そりゃ 楽しみじゃな」

「うん!がんばろうと思ってるんだけど…ボクのゴーグル…練習で転んでしまった時に壊れちゃったんだ」

「なるほど」

「大事に使ってたんだよ!ママに買ってもらったばっかりだったし…。だから また ママにお願いするの、とっても言いづらいんだ」

「ああ…なるほど」

「今は クリスマスじゃないけど…今年のクリスマスは 何もいらないから!サンタさん!ボクに ゴーグルをプレゼントして下さい!!」

「う〜む…」

「お願いします!」

「よし!ならば……ひとつ頼みごとをするかの…」

「頼みごと?」



続く

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