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生活者視点でとことんプロトタイピング


商品デザイン作成部には、「デザインソリューショングループ」とよばれるチャレンジ精神旺盛なグループがあり、制作現場は“工作室”です。

メンバーは工作室にあるマテリアルを活用してアイデアを具現化したり、3DCADのデータを作製し、3Dプリンタで素早くプロトタイピングすることで、未知の製品を試行錯誤しながら創出するチャレンジを続けています。

今回は、このグループ紹介と長年手がけてきた
クイックルワイパーについてご紹介します。


デザイン視点でソリューションを

私たちデザインソリューショングループは、パッケージデザイナーとチームを組みながら、シャンプーボトルのスタイリングなどのパッケージ開発を行うだけではなく、日々の暮らしを観察し、新しい価値となる「種」を見つけて育てるような仕事もしています。

具体的には、他部署メンバーと連携しながら、クイックルワイパーをはじめとする掃除道具や、日用品の容器などを見直し、新たな工夫、機能を見つけ出して、プロトタイプ(試作)をつくりながら、ユーザビリティ向上や、環境配慮型容器のアイデアを具現化する仕事も数多く行っています。

その代表例がクイックルワイパーで、しゃがんで雑巾掛けるする負担や、ちょっとした掃除に掃除機を出したりしまったりする負担を減らしたい、小さなお子さんが寝ている時に静かにお掃除をしたいなど、お掃除を楽にしたいという想いから開発が始まった商品です。


クイックルワイパーの深化にチャレンジ

クイックルワイパーは1994年に商品化されて以来、何度も改良を重ね、新しい機能を次々に追加してきましたが、それでもまだ改良の余地があると感じるのが、この仕事をしていて面白いところです。

また、インハウスで仕事をしていると、生活者の声もよく聞こえてきます。感謝の声や改良を求める声など、様々な声があり、それらに何とか応えたいという思いが強いモチベーションになっています。

今までのクイックルワイパー改良の一部ですが、

  • グリップの先端にゴム質のパーツを追加し、壁に立てかけた際に倒れにくくなるように改良。

  • シート取り付け部の機構を見直し、マグネットで簡単にカチッと装着しやすくする。

  • 汚れを拭き取る性能を最大限向上させるために、清掃面のクッションパターンと勾配設計。

これらの改良には、3DCADを使って0.1ミリ単位で変更しながらプロトタイプを作製し、研究所と連携しながら何度も検証を繰り返しています。

このように私たちデザイナーと設計を担当する研究所がスクラムを組み、機能性や安全性を検証しながら魅力的な商品を開発していきます。


リアルな生活者の“声”からソリューションを

同じシリーズにはミニワイパーもあります。この商品は、探索を進めることで、開発当初には想定していなかった新しいニーズを発見し、商品化につながりました。

当初、介護負担を減らす商品を開発するため、商品開発部門のメンバーと探索が始まりました。プロトタイプを製作し、生活者に使ってもらう家庭訪問調査に同行し、実際の使用状況を生で見て検証を行った結果、膝を悪くした方は「トイレなどの狭い空間でしゃがんでお掃除するのは簡単ではない」と感じており、若い方は「便器に顔を近づけたくない」という新しい“声“がありました。

スピーディにプロトタイピングし、実際の生活の中で検証を繰り返して得た気づきから、アイデアの「種」をどんどん膨らませていく。そして良い商品をお届けする。それが私たちのグループのデザイナーがとことんこだわる原動力であり、強味の一つだと考えています。

以前、外部の方から、「なぜ花王さんはそんなにユニバーサルデザインにこだわるんですか?」と聞かれたことがあります。創業130年以上の歴史を持つ弊社では、多くの先人達の「よきモノづくり」のメッセージがあり、それが浸透し、「身近な人々の生活を良くしたい」という考えが花王社員のDNAになっていると考えます。

私たちのグループでは、今後も若手からベテランデザイナーまで、個々のユニークなアイデアを結集し、花王の「よきものづくり」の可能性をデザインで広げ、新たなソリューションに挑戦し続けていきます。