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大橋裕之最新刊『音楽 完全版』から特別企画"作者が語る「音楽」と「漫画」の頃"を一部公開!

 12月9日から順次書店に並び始める(地域によって前後します)、『音楽 完全版』(大橋裕之著)。今回は、発売に先駆けまして"作者が語る「音楽」と「漫画」の頃 大橋裕之(談)"を一部公開です!みなさま、発売をお楽しみに!!

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『音楽 完全版』
著 大橋裕之
ページ数 192
判型 A5
本体価格 1300円
出版社 カンゼン
発売日 2019年12月9日

 もともと『音楽』は誰かに依頼されて描いたわけではなく、自分で構想して、2005年に自費出版したものです。ぼくが25歳のときでした。
 少しさかのぼると、高校を卒業し、漫画家の道を目指しつつ、仕事をしながら漫画を描いていました。賞にも応募して、ヤングマガジンGAG大賞の佳作に選ばれたこともあります。それがきっかけで編集者にネームを見てもらえるようにもなったんですが、ダメ出しばかりで、うまくいきませんでした。かといって、ほかの賞にもひっかかることもなく、悩んだ末、だったら自分で描きたいように漫画を描こうと思ったんです。同じ頃、ネットの情報で自費出版のやり方も知ったので、そのやり方でいこうと。
 最初はまず『謎漫画作品集』という冊子をつくりました。本作に収録されている「ラーメン」や「山」はそのとき描いたものです。初版は100冊ぐらいだったと思います。ミニコミを扱う東京の有名な書店であるタコシェに置いてもらったり、友人に渡したりしているうちにすべて捌けて、その後も増刷を重ねていきました。そのうち、ミクシィやブログ経由でちょこちょこ感想も届くようになり、すぐに2冊目もつくろうと思ってとりかかったのが『音楽』でした。
 『謎漫画作品集』は友人の間でもわりと好評で、さらにその知り合いに広めてくれたんです。するとたまにネガティヴな反応も戻ってくるようになって。感想は人それぞれなので仕方ないですけど、そのなかに「意味がわからない」という声も交じっていたんです。それはぼくとしては不本意で、けっしてわかりにくいものを描きたいわけではなかったんですね。なので、「もう少しわかりやすいものを描いてみよう」という意識が、『音楽』にとりかかる上で、少しあったと思います。
 キャラクターもストーリーもわりとパパッと決まりました。主人公たちのモデルがいるわけではないんですが、ぼくの高校時代は、不良のトレンドが学ランリーゼントからチーマーみたいな感じに変わっていく時期で、研二たちみたいなヤンキーも、まだギリギリぼくの周りにはいました。
 あと、ぼく自身、少しだけバンドをやっていました。といっても、研二たちのバンドとは違って、コントもやるようなこざかしい感じだったんですが。一度、町のフェスのような催しに出たこともあります。3人編成で僕がドラム、他の2人はエレキギター、電子ピアノ。30分即興でやって観にきた友達に「他の客のこと考えろ」と怒られました(笑)。そのときの経験はフェスシーンに多少、反映されていると思います。
 あと、これは出版してからだいぶ経って気づいたんですが、水野トビオさんの『まなびや』という漫画に、ストーリーの流れやキャラクターの雰囲気が似ているんですよね。実際、好きな漫画だったので、知らず知らずに影響を受けていたのかもしれないです。

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12月8日にはかもめブックス(神楽坂)でサイン会

12月10日には三省堂書店名古屋本店で大橋裕之と岩井澤健治監督、映画のプロデューサーを務めた松江哲明によるトークイベント

を開催です!ぜひお越しください。


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