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【試し読み】読んで眺めて家でも楽しめる喫茶ガイド『喫茶チェーン観察帖』から試し読み③

 4月13日(喫茶店の日)に発売予定の『喫茶チェーン観察帖』(飯塚めり 著)。今回は発売に先駆けて、CHAPTER3「なつかしい雰囲気にいやされる 渋め喫茶店系チェーン」より一部を公開いたします。

 本日ご紹介するのは、「Ma Maison(マ・メゾン)」―おもてなしと自宅に招かれたような寛ぎを―をコンセプトに、最上の心地よさをくれる“カフェラミル” 。

 みなさんも“隠れ家”のような飴色の空間にうずもれてみませんか? 映画のワンシーンの中にいるような気分になれるかもしれません。いつかお出かけできるときの計画に使える楽しい一冊ですよ~。

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『喫茶チェーン観察帖』
著者 飯塚めり
ページ数 128
判型 A5
本体価格 1600円
出版社 カンゼン
発売日 2020年4月13日

今日の気分はどの喫茶チェーン ?

喫茶店は気分や用途によって行きたいお店が変わるもの。 ファッション誌の一週間コーディネートよろしく、シチュエーションで喫茶チェーンに訪れるシーンを描いてみました。

昭和なムードのお店なら、ちょっとした休憩時間も濃密なものに。
▼CHAPTER3へ

喫茶チェーン観察帖01

一世を風靡した「フレンチスタイル」珈琲店のチェーン

【CAFÉ LA MILLE カフェラミル】

 喫茶店の内装に、明確な好みがあります。わたしは、建築デザイナーの松樹新平さんが手掛けたお店が好きで、たとえば、原宿の「アンセーニュダングル」や神保町の「カフェトロワバグ」、五反田の「カフェ トゥジュール デビュテ」など。その特徴をいくつか挙げると、しっくいの壁であったり、半小部屋に区切られた空間だったり、絵や文字彫られたすりガラスのつい立てだったり、「おいしいコーヒーをどうぞ」という入り口の看板……などなど。
 
 全盛期には東京だけで400軒あったという松樹スタイル珈琲店。本書を手にしているみなさんも、どこかで一度は入ったことがあるのでは。

 松樹さんの存在をまったく知らずに、のんきに喫茶店に足を運んでいた学生のころ、好きで通っていたお店のひとつが、このカフェラミルでした。実はこのお店もまた、チェーン店でありながら、松樹さんがプロデュースをした経緯を持つお店のひとつ。今でも店内には、その片鱗をそこかしこで感じることができます(現在のカフェラミルには、松樹スタイルではない、カジュアルな店舗も用意されています)。
 
 コーヒーとミルクが二層になった、カクテルのようなコーヒーメニューの存在もまた、このタイプのお店によくある特徴。カフェラミルには現在も、二層のコーヒーや紅茶のメニューが充実していて、喫茶時間をちょっと優雅なものにしてくれます。
 
 隠れ家のような空間で、落とした照明のなか、お客さんのなにげない光景のひとつひとつが、なんだか映画のワンシーンのように見えてくる……チェーンだけれど、そんな奥行きを演出してくれるお店です。

喫茶チェーン観察帖06

【著者プロフィール】
飯塚めり
イラストレーター/喫茶店観察家。早稲田大学第一文学部卒。カフェインで酔える喫茶マニア。そして、おばけ好き。著書に『東京喫茶帖』『東京喫茶録』(カンゼン)、『カフェイン・ガール』(実業之日本社)。季刊誌『珈琲時間』(大誠社)にて「喫茶の効用」連載中。2013年より、喫茶店めぐりミニコミ『別冊カフェモンスター』を制作。


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