コワーキングの値打ちは単に人数で測れるものではない:今日のアウトテイク#236(2024-07-11)
<アウトテイク>
・SNSに投稿する前の推敲(もしくは配慮)なしのメモ、殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
#今日のBGM
#今日のコトバ
#イギリスの週4日就労制の実証実験で大きなメリットが証明された
英国のサウス・ケンブリッジシャー地方議会が導入した週4日就労制の15カ月にわたる試行で、労働時間の短縮に圧倒的なメリットがあることが明らかになった。
2023年1月に始まったこの試みは、これまで英国で実施された公共部門における週4日労働の最大の実験であり、事務職や廃棄物作業員を含む697人の職員が参加した。職員は80%の時間で100%の仕事をこなし、給与を全額受け取る。
その結果、労働者のモチベーション、スタッフのメンタルヘルス、労働者の役割へのコミットメントなど、24の分野のうち22分野で業績が改善または横ばいだった。つまり、大いに効果があったということだ。
スタッフの離職率は39%減少し、採用需要が大幅に低下した。 また、募集職種への応募者数も大幅に増加し、76%が週4日勤務の試みが募集職種への応募に影響を与えたと回答した。
ちなみに離職率の低下により、1年間で371,500ポンド(約77,270,000円、ほとんどが代行スタッフの人件費)の節約につながったとしている。スバラシイ。
一方、公営住宅の家賃徴収がわずかに減少したが、これは生活費危機が原因。 また、公営住宅の空き家が再リースされるまでのスピードが平均28日から30日へとわずかに低下したが、Covid-19の大流行の影響を調整したものとして、いずれも大きなデメリットとはしていない。
ワーカーが余裕のある休息をとり、仕事以外の自分の時間を持つことでワークライフバランスが保たれ、実際に仕事のパフォーマンスが向上するということが、ここでも証明されたと言っていいと思う。
と同時に、週4日就労制を採用する組織や企業が、優秀な人材を惹きつけ、従業員の満足度や業績を向上させる可能性があることをも示している。
アメリカ、カナダ、アイルランド、ドイツでも、週4日就労制を試行しており、 ベルギーは2022年2月に週4日制を法制化した最初の国となった。
週4日就労制については、何度か書いてきた。
中には、週4日で32時間労働ではなく、むしろ1日6時間労働を5日という方向を目指すべきという提案もある。
かと思うと、フランスでは離婚した親による週4日勤務の実証実験という試みもある。
ところがその一方で、先週、ギリシャは、人口減少と熟練労働者不足という2つの危機を理由に、民間企業向けの新しい週6日就労制を発表し、この月曜から施行されているとか。なんとまぁ、EU諸国の真逆を行ってるわけだ。
当然、大きな反発を買い抗議運動が起こるなど(まあ、当然だが)社会問題になっている。
で、この記事に重要な一節がある。
「やってられるか」とキレたかどうかは知らないが(いや、キレたと思うが)、能力とやる気のある人はどんどん国外に出ていく。国はこれを最も恐れるべきではないかと思うのだが。
さて、こなた日本では、一部の大企業では導入されているけれども、国あげて週4日就労制に対してどういう取り組みが行われるのか。行われないのか。大いに気になる。
有能な人材の国外流出は他人事ではないのだから。
#コワーキングの値打ちは単に人数で測れるものではない
先日、自治体が運営主体になっているコワーキングのことが話題にのぼった。その時に出たのが、「自治体は人数だけを指標にしている」ということ。これは、以前からよく聞く話だ。
利用者数前年比◯%アップとか、新規会員◯人、とか、とにかく人数をカウントしていかに活用されているかを示そうとする。たぶん、役所内での報告にはそのデータが雄弁なのだろう。
けれども、コワーキングの価値を図るのは必ずしも人数ではない。
こんなこともある。自治体主体のコワーキングは無料のところが多い。仮に来たところで、一日、ぼ〜っとしてる人も事実いるという。無料だし。でもそれって、真の利用者と言えるだろうか。
もちろん、コワーキングはちょっと息を抜く場所でもある。誰にでも休息は必要だ。うちにも、長時間労働の合間にホッと一息つく人もいる。先日もこんな記事を書いたところだ。
けれども、コワーキングは基本的には利用者の目的や課題に対するさまざまなカツドウを支援するコミュニティであることが前提だ。
なので、仕事だったり学業だったり趣味だったり育児だったりものづくりだったり、このコワーキング曼荼羅に表されるテーマに基づいてカツドウする人が対象であることが前提。
そのカツドウにコワーキングがどれだけコミットしてどのような成果が上がったかを検証することのほうが大事なのではないか。自治体であるならばなおさら単なる人数ではなく、市民のいかなる部分に寄与貢献できたかを評価すべきだと思う。
思いつくまま書けば、例えば、コワーキングで仕事をしたコワーカーの実績を総計して、GDPみたいに表してもいいかもしれない。それだけローカル経済に貢献しているということが判る。
GDPは「Gross Domestic Product」の略で、「国内総生産」のことだから、「コワーキング総生産=Gross Coworking Product」でGCPというのはどうか。
いや〜、それはちょっと露骨、ということなら、あるいはもっと日常的な、利用者同士で協働関係を結んだコラボの数、利用者の知識や技量をアップデートするイベントの開催数、コワーカー同士で教え合ったり誰かを助けた件数、など、計測は面倒くさそうだが、コワーキングだからこその評価軸はいろいろ考えられる。
つまり、出入りする人数ではなく、そのコワーカーのカツドウから生み出され、ローカル経済の活性化に結びつく価値の創造数、共創数を指標とする。
日頃、どんなカツドウが行われ、それをどれだけサポートしているかの数字を明らかにする。そうすると、その数字によってそのコワーキングのそれこそ生産性が見える化される。
例えばイベント数などは多くのコワーキングが集約のための告知レベルでは実行されているが、終了後にそれを月間、四半期、一年周期などで集計して公表するのも大いにありだと思う。
で、こうしたことは自治体主体のコワーキングに限らない。民間のコワーキングでも、自分たちがどんなコワーキングであるかを表明する一つの方法にもなるはずだが、どうだろうか。
ということで、今日はこのへんで。
(カバー画像:LYCS Architecture)
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