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レコードの復活を支える独立系レコード店とインディー・コワーキングについて:今日のアウトテイク#248(2024-07-23)

<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・いずれKindle本にまとめる予定


#今日のBGM

#今日のコトバ

"一般大衆は何が起こっているのか知らないし、知らないということさえ知らない。"
(ノーム・チョムスキー)

#レコードの復活を支える独立系レコード店とインディー・コワーキングについて

2024年上半期、レコード(ビニール盤のことですよ)の売上が3.2%増加し、804万4760枚を売り上げたんですと。

これの何が注目されているかというと、音楽がデジタルになりディスクからストリーミングへの移行が始まった2004年以来、初めて増加に転じたから。

つまり、20年ぶりに息を吹き返した、ということ。ちなみに、昨年、英国におけるレコードの売り上げは1990年以来の高水準に達している。

で、誰のどのアルバムがその売上に貢献したのか。

テイラー・スウィフトの「The Tortured Poets Department」が、2024年の最初の6ヶ月間で254,241枚を売り上げて第1位。

ロッド・スチュワートとジュールズ・ホランドはコラボレーション・アルバム「Swing Fever」で48,540枚を売り上げて第2位。

第3位はリアム・ギャラガーとジョン・スクワイアのセルフ・タイトル・アルバム「Liam Gallagher John Squire」で46,982枚。

第4位はビリー・アイリッシュの「Hit Me Hard and Soft」で45,434枚。

第5位はThe Last Dinner Partyのデビュー・アルバム「Prelude To Ecstasy」で42,352枚。

こうして聴いてみると、なかなかバラエティに富んでて楽しい。ビニール盤の音質と、あのA面とB面をひっくり返すひと手間も含めて音楽を愉しむファンが幅広く存在することを示していて、とてもいい傾向だと思う。

この中で知ってるのはロッド・スチュワートとリアム・ギャラガーぐらい。テイラー・スウィフトも名前ぐらいは知ってるが進んで聞いているわけではないからほぼ知らない。そのロッドは御年79歳。そういえば、ボブ・ディランは83歳で、まだツアーしてる。みんな、元気だなぁ。

思い起こせば、十数年前の引っ越しの際に、金輪際LPは聴かないなと思って、愚かにも数百枚あったレコードを二束三文で処分してしまった。今になって激しく後悔している。あのときの自分に会ったらぶん殴ってでも制止したい。

ただ、昨今、売上を伸ばすために複数のレコード・フォーマットをリリースするアーティストが現れて、環境への影響の大きさが心配されている。中には40種類も異なるパッケージを作る大物アーティストもいるらしい。それはちょっとやり過ぎ。

その点、ストリーミングはブツがないだけに、エコな商品だ。毎日、カフーツで流しているのに、実は今まで考えたこともなかった。迂闊。

で、こうしたフィジカルなフォーマットの復活の原因のひとつに、独立系レコード店の人気が挙げられている。このへん、日本で古い流通構造から脱しきれない書店が次々と閉店していく中、独立系個人書店があちこちで勃興してきているのと同じ風景を見る思いがする。

独立系レコード店は何でも売れるものならいいというわけではなく、その店独自の目利き(いや、耳利きか)でもって、これはいい、応援したい、というアーティストをプッシュする。いわゆる、推しだ。

そうして、その嗜好にマッチするお客さんがその店を気に入り、常連になり、ここを起点にひとつのコミュニティになっていく。そして、今度はお客さんが店を推す。

インディー・ロックバンドは、メジャーレーベルに属することなく、独立系(つまり、インディー)レーベルから、熱狂的なファンで構成されるコミュニティに支えられてスターダムをのし上がっていった。あー、そういえば、先のリアム・ギャラガーがいたオアシスもそのひとつ。ギャラガー兄弟の不仲が原因で解散したけれど。

独立系個人書店も同様に、取次から自動的に送られてくる本を無思慮に並べるのではなく、独自の、あるいは関心の高いテーマを持って自ら選書し、棚に収める。そのラインナップを気に入ったお客さんが…(以下同文)その店を気に入り、常連になり、ここを起点にひとつのコミュニティになっていく。

で、それはローカルコワーキングにもオーバーラップする。

そのコワーキングの持つ理念やビジョン、コンセプト、あるいは世界観や価値観を、主体性を持って言語化し、見える化し、かつ実行すると、それに共感して利用者からファンになる人が現れる。そうすると、この人はもうお客さんではなくコミュニティの一員だ。

そんな「熱狂的なファンで構成されるコミュニティに支えられて」運営しているのがインディー・コワーキングだ。もちろん、インディー系ロックバンドになぞらえて名付けられている。

この記事にも書いたが、インディー・コワーキングはとりも直さず、地域のあらゆるプレイヤーと共存する立場にある。それらとコラボすることで、お互いの事業領域で持続可能性を高めている。それがローカル経済を活性化するのに役立つ。

さらに、そのコワーキングが単なるワークスペース(作業場)ではなく、地域コミュニティをサポートする機関として機能する。

ハコを貸すことが目的ではなく、ヒトをつないでコトを起こし前に進めるのが目的のインディー・コワーキングは、今後、どの町でもあって当たり前の存在になる。

ちなみに、このインディー・コワーキングを大手コワーキング業者が脅威に感じ始めている。それだけ存在感が増しているということだが、ぼくはこれが本来のコワーキングの姿だと思っている。

ところで、コワーキングの持つ理念やビジョン、コンセプト、あるいは世界観や価値観を、主体性を持って言語化し、見える化し、かつ実行する、ということは、つまり「我々はこういうコワーキングが理想と考えて行動している」という意思表明だ。

そして、その表明自体がそのコワーキングのストーリーとなり、ブランディングになる。

コワーキングにもマーケティングが必要だが、その中でもブランディングが最も重要だ。というか、ブランディングがほぼイコール、マーケティングになる。

その「コワーキングのブランディング」については、引き続き書いていく。

ということで、今日はこのへんで。

(カバー画像:Mick Haupt


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