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地方自治体がコワーキングの運営を東京の事業者に委託することについて:今日のアウトテイク#257(2024-08-01)

<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・いずれKindle本にまとめる予定


#今日のBGM

#今日のコトバ

"現実は人間の心の中に存在する。
その他のどこでもない。"
(ジョージ・オーウェル)

“Reality exists in the human mind

Posted by philosophaire21 on Friday, July 26, 2024

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#地方自治体がコワーキングの運営を東京の事業者に委託することについて

先日、自治体のコワーキングが無料であることの功罪についてツラツラ書いたけれども、また別のことで疑問に思った。またツラツラ書く。

地方自治体が主体となるコワーキングスペースの運営を民間に委託する場合、なぜ地元の事業者ではなくて東京の事業者と契約するのか、という話。

いや、もちろん、すべての自治体とは言わない。が、最近、目に付く。じゃないですかね?

自治体がコワーキングの有用性を認めて自ら整備しようとする施策には大賛成だ。そのために予算を組んで(通して)、しかるべき部署が市民生活(仕事に限らない→コワーキング曼荼羅を参照)に寄与すべく、あらゆる方策に知恵を絞り汗をかく。有難い話だ。

でも、ハコは作っても肝心の運営のノウハウが役所にはない。で、そこを民間に委託するのは正しいと思ってて、ぼくはそういう場合、「官民協働」でコワーキングを運営するのが最良だと考えている。ただし、ぼくが言ってるのは丸投げではない、協働だ。

「官民協働」については、ここにちょっと書いた。

コワーキングはコミュニティという「人」を扱う仕組みなので、相手が生き物だけに型にはまったことだけをやっていればいいわけではまったくない。毎日、湧いて出てくるニーズやウォンツに対応しつつ、利用者をサポートするという非常に高度なスキルとセンスとホスピタリティが要求される職場だ。

コワーキングマネージャーの仕事がどれだけ大変かについてはこれを参照あれ。

そこを行政に任せるのは正直荷が重い。だから、民間に委託する。そうして、役割分担して時間もコストも労力も分散させたほうが合理的だし、利用者のためのレベルの高いコワーキング運営が可能になる。

で、繰り返すと、その委託先をなぜ地元から選定しないのか。

いや、答えは判っている。

コワーキングなどというものが地球上に現れてまだ20年ほどしか経っていない。2005年8月9日から始まったから、来週の8月9日でまだ19年だ。ちなみにこの日は、「世界コワーキングデイ」として世界中のコワーキングがお祝いをする。

日本でも14年ちょっとしか経っていない。だから、専門としてコワーキングの運営を請け負う事業者はそうそう多くないのは承知している。

まして地方ともなるとまだまだ「コワーキング?なにそれ?」といったところだろう。ぼくも各地から相談を受けたり、コワーキングツアーで地方に出かけていったりするので、そのへんの温度感はよく判る。

中には不動産事業者が指定管理の感覚で手を挙げたりする。が、そもそもハコしか扱ったことのない者にコミュニティの運営ができるはずもない。そのことを知ってか知らずか、コワーキングを場所貸し業としか考えていないから、おざなりなオペレーションでせっかくのローカル経済のプラットフォームを台無しにする。

そうして、こういう事態が起こるべくして起こる。

言うまでもなく東京にはコワーキングが多い。2022年12月時点なので若干古いデータだが、全国に2,129箇所のコワーキングがあり、東京には641箇所のコワーキングがある。

この増加率からすると、今は2,300〜2,500箇所ぐらいはあるのではないかと思う。いや、パンデミック以降の社会情勢に鑑みればもっと多いかもしれない。

(ただし、この数字には個室だけとかドロップインのない固定メンバーだけの施設も含まれている可能性があるので、真の意味でのコワーキングは、たぶん1,500〜1,800ぐらいではなかろうか。あくまで個人的感触で言うのだけど。それはともかく、東京にコワーキングが多いのは紛れもない事実だ。)

勢い、東京のコワーキング運営者だったら間違いないだろう、だって東京だぞ、東京でやってるんだから一流に違いない、という盲目的な判断がされてるような気がする。穿ち過ぎかもしれないが、ネットで流れてくる情報の大半が東京発信だから鵜呑みしてしまうのも判らないでもない。

そのことは、ここに「地方コワーキングあるある」と題して書いてる。

でも、そんな簡単でいいのかな、と思ってしまう。

地元に適任者がいないならいないで、一緒に作っていきながら育てる、という選択肢はないのだろうか?

毎度言ってるように、コワーキングはみんなそれぞれ違う。同じコワーキングはひとつとしてない。みんな、ゼロから作っていくから、そこならではのカルチャーを持つコワーキングになる。で、そこならではの、つまり、ローカライズされたコワーキングこそがローカルには必要だと思う。

まして行政が地域のためにやるのなら、地元目線を失ってはいけないのではないか。東京の方法論に魅了されるのではなく、地元で共有される世界観や価値観、あるいは課題感を前提に、コミュニティとしてのコワーキングを起ち上げ、回していく。それがそもそも自治体の取るべきスタンスではないのかしらね。

やる気のある地元の民間事業者(すでにそのエリアでコワーキングを開業している事業者に限らない)と役所が二人三脚で、いや、三人四脚でも、四人五脚でもいいのだが、ガッツリ四つに組んで、各地の先行するローカルコワーキングを参考にしながら、自分たちの町オリジナルのコワーキング運営メソッドを築き上げる。それぐらいのビジョンとガッツを持ってやるべきプロジェクトだと、ぼくなんかは思うのだが。

…と書いてきて、ふと思ったのだが、例えば東京の事業者と契約するとしても、委託契約に定める業務内容に、契約期間満了後の引き継ぎ手として、地元の運営者を育成することまで含まれていたりするのだろうか?そんなことまでしないか、しないな、やっぱり。。

少なくとも、丸投げしてしまうのではなく、地元からも運営に携わる人材を配置したほうがいいと思う。でないと、結局、何も地元に蓄積されないままになってしまう。それではもったいない。というか、意味がない。いつまで経っても自分たちの町のコワーキングにならない気がする。

ぼくがこんなことを考えるのは、以前、ある地方の企業が主体のコワーキングが、東京のオペレーション会社に運営を委託したところ、はじまったはいいがローカル志向のオーナー企業とグローバル志向の運営会社とでまるで意見が合わず(その時点で、ぼくのところに相談に見えたのだが)、すったもんだした結果、契約破棄となった事例を知っているから。

ちなみにそのコワーキングは自前運営に切り替えて(もちろん、ぼくはそうすることを勧めた、で、そうなった)、今は順調に運営されている。最初からそうしとけばよかったね、という話。

自治体のコワーキングでそんなことは起こらないかもしれないが、少なくともコワーキング運営の要諦は自分のものにしておいてほしいと思う。

そこんとこ、ダイジョーブでしょうか?

ということで、今日はこのへんで。

※「今日のアウトテイク」はこの無料マガジンに毎日収録されています。ぜひ、購読ください。

(カバー画像:No Revisions


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