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きのこたけのこ時々アルフォート|短編小説

 きのこたけのこ時々アルフォート。いわゆる戦争の話である。プレッツェルと答えたあなたもその一員。
 無論優劣をつけるのが目的ではない。どちらが美味しいかを議論するのを楽しむ、ある意味宣伝の一つである。人間というのはたくさんいれば自然と争いを生むものだから、争う熱をお菓子を焼き上げる熱に変えたほうがよほど生産的で、価値があり、喜ばしい。
 喜ばしい。
 喜ばしい。
 おいしい。
 やさしい。
 たのしい。
 うれしい。

 戦争は、まったくいらないけれど。

 戦争という言葉を、平和に使える世の中でありますように。おいしいお菓子で心を満たして、やさしい気持ちになって、たのしい日々が続きますように。うれしいと思える毎日を送れますように。ぐっすりと眠れる月夜でありますように。陳腐で使い古された「世界が平和でありますように」が、当たり前すぎてほこりをかぶるような、明日でありますように。

 きのこたけのこ時々アルフォート。プレッツェルもあり。
 いわゆる戦争が、お菓子な日々でありますように。

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即興小説作品(お題:いわゆる戦争 制限時間:15分)
初出 2022/02/28
この作品は「pixiv/小説家になろう/アルファポリス/カクヨム」にも掲載しています。


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