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和漢医学概論 生薬

生薬とは

天然に存在する薬効を持つ産物から有効成分を精製することなく体質の改善を目的として用いる薬の総称

生薬を加工し、組み合わせることで漢方薬は作られる

日本薬局方における定義では


動植物の薬用とする部分:植物の葉、根、花、果実など
(動植物の)細胞内容物:デンプン、精油、油脂、ロウなど
(動植物の)分泌物:センソなど
(動植物の)抽出物:カンテンなど
鉱物

からなるものであること

②上述の素材に簡単な加工を加えたものであること

③原則として乾燥したものであること

長所

水溶性成分が多く、抽出しやすい

短所

品質の差が大きい
有効成分が明らかでないものも多い
多成分を含むので相互作用に考慮が必要

加工法

機械的方法
選薬:不要部分を除去
粉砕
切製:規格の大きさに切断

火を使う方法
煨(わい):泥団子か練った小麦粉で包み、熱灰の中で加熱する
煆(たん):るつぼに入れて焼き、脆くする
炮(ほう):鉄の鍋で黄色くなるまで、あるいは破裂するまで乾煎りする
炒(しゃ):炒める
炙(しゃく):薬物を液体の補助材料(酒、塩水、蜂蜜など)と一緒に炒め、補助材料を染み込ませる
烘烤(こうこう):炙り焼く
焙(ばい):とろ火で乾燥させる

水を使う方法
洗(せん):水洗い
漂(ひょう):水に晒して不純物を除去
泡(ほう):形を整えるための前加工として、水に浸して柔らかくする
潤(じゅん):霧を吹く
水飛(すいひ):水簸とも書き、細かく研磨してから水で洗い、沈殿させる

水と火を使う方法
蒸(じょう):水以外の液体で蒸すこともある
煮(しゃ):煮る
茹(じょ):茹でる
淬(すい):赤熱するまで焼き、水か酢で急冷する

薬性

生薬の性質のこと

寒:消炎鎮痛作用、体を冷やす
涼:消炎鎮痛作用、体を冷やす(控え目)
平:寒熱の境界あいまい
温:興奮作用、体を温める(控え目)
暖:興奮作用、体を温める

薬味

生薬の味のこと

辛:辛味→肺に作用する、発汗・発散作用
甘:甘味→脾に作用する、緊張緩和、滋養強壮作用
酸:酸味→肝に作用する、収縮作用
苦:苦味→心に作用する、熱を鎮め湿りを乾かす作用
鹹:塩味→腎に作用する、乾きを潤し、軟化させる作用

代表的生薬

補気薬:人参、甘草、黄耆、白朮
理気薬:香附子、陳皮、木香
補血薬:地黄、芍薬、当帰
活血薬:当帰、川芎、桃仁
化湿、利水薬:黒豆、滑石、木通
補陰薬:地黄、山薬

成分の同定された生薬

①大黄
アントラキノンを含む

過剰摂取による副作用
皮膚:発疹・発赤,かゆみ
消化器:はげしい腹痛,吐き気・嘔吐

②附子
アコニチンを含む

過剰摂取による副作用
動悸、のぼせ、舌のしびれ、吐き気など

アコニチンによりナトリウムイオン透過性が高まり、神経細胞機能不全

③麻黄
エフェドリンを含む

過剰摂取による副作用
不眠・発汗過多・頻脈・精神亢奮・食欲不振・悪心・排尿困難

エフェドリンは交感神経系活動亢進作用を持つ

④甘草
グリチルリチンを含む

過剰摂取による副作用
偽アルドステロン症(浮腫・高血圧・低カリウム血症等)

グリチルリチンの活性体であるグリチルリチン酸のアルドステロン作用による

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