ラグビーボールインタビュー#1
ーまずは、自己紹介をお願いします。
あ、ラグビーボールです。よろしくお願いします。
ーラグビーというのは、失礼ながら日本においてはマイナーなスポーツではあるかと思うのですが、その現状についてどう思われますか?
まぁ、そうですね。まず形が違いますからね。圧倒的に。球体ではないのにボールと言い張っているのは僕くらいじゃないですかね。まぁ、そこを誇りに思っているんですけど。
ー形について、コンプレックスだったことはないのですか?
いや、悩んだことはありますよ。なんで僕だけ?って。でも、見方を変えれば、オンリーワンじゃないですか。仲間外れか一匹狼か。まぁ一匹狼っていうのもダサイですけど…
ーかっこいいじゃないですか(笑)
そうですか?まぁ、予測不能。ってところは気に入ってますね。どう着地してどこに飛ぶんだ?って。どこに重心を置いてるんやコイツは?って。対策の取りようがないじゃないですか。そういうものを見てワクワクしますよね。
ーそれはたとえば、音楽やお笑いなどの趣向にも影響していますか?
そうですね。僕みたいなとんでもない跳ね方をする音楽やお笑い、映画とか漫画とかもそうですけど、やっぱり、ビックリしたいですね。油断してたらアゴガーンッてなるみたいな。ヘラヘラしながらアゴをおさえてるときが一番楽しいじゃないですか。
ー確かに(笑)。わかるような気がします。
中学のときの自分が今の自分を見たときに、重心の読めなさにワクワクしてほしいんですよねやっぱり。ほんとそれだけなんですよ。僕にとっての観客は、中学のときの自分なんですよ。重心は読めないながらも、真っすぐな芯が感じられる。そんな存在でありたいんですよね。第三の目が常にあるというか。
ー中学時代があったんですか?
例えばですよ例えば。人間さんが読むんですよねこのインタビュー?だから人間さんに伝わりやすいように中学って言っただけです。野暮ですよそれは。
ー失礼いたしました。
…あ、ほんと申し訳ないです。これだからいつまでも『尖ってる』って言われちゃうんですよね。後輩、いや先輩にも話しかけられないんですよ。よく見ると丸いんですよ尖ってる先も。ほら、触ってみてください。
ーあ、いいんですか?
はい。
ーあ、はい、ほんとですね。思ったより尖ってない。
もうちょっと撫で回して確認してもいいですよ。
ー撫で回す…んですか?
はい。
ーこう…ですか?
あーはい。ありがとうございます。
ーありがとうございます?
いえ、なんでもないです。今日はありがとうございました。
ー今のなんですか?
またよろしくお願いします!失礼します!
ーえっ、ちょっと!どこ行くんでイッタッッ!!!!!
慌てて跳ね回ったラグビーボールは、インタビュアーのアゴに激突してそのまま跳ね去っていった。
インタビュアーは舌と歯を負傷した。
本誌は、彼の予測不能な行方を追うことにする。
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