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地方の老舗企業でビジネスSHIFTに立ち向かう

KOBIRAは2022年9月から3年間の第4創業プロジェクトを進めていて、今ちょうどのその半分が終わったところ。まだ初めてたった1年半かと思うんだけど、組織、マネジメント、DX、広報、採用、全方面で大きく会社を変えることができた。その経緯や進捗などは下の年始の記事にまとめているので、読んでほしい。

主に「組織」「マネジメント」とリソースを配分してきて、ついに本丸の「ビジネスSHIFT」に取り組んでいる。日々、がっぷり四つで悪戦苦闘しているところだ。

ビジネスSHIFTとはなんなのか?

ビジネスSHIFTについては、「SHIFT : イノベーションの作法」という名著にまとめられている。(今は電子版のみ)

SHIFTというのは、「既存事業のリソースを活用して、より成長する産業に向かえるようビジネスの体質を変えること」と自分の中で定義している(原著の中の正式な定義は少し違ったかもしれない)。

ビジネス環境には「流れ」がある。世の中が進む方向に進んだほうが、ビジネスは楽だ。スタートアップの強さは適切な業界や課題を選ぶことで、その流れにマックスで乗れる事。そして、アトツギのしんどさは、ほとんどのケースで、本業が世の中の流れと逆の状態で事業継承をすることにある。

アトツギのビジネスSHIFTまでのステップ

アトツギ企業の場合、よっぽど緊急の時以外は最初からSHIFTに取りかからずにステップを踏んだほうがいいと思う。

自分がお勧めしているのは、以下の4ステップを踏むこと。
①名刺代わりのスモールサクセス新規事業
②組織状態の改善
③マネジメントの導入
④ビジネスSHIFT

「①名刺代わりのスモールサクセス新規事業」は「お坊ちゃん/お嬢ちゃん帰ってきたな」という冷ややかな視線から関係性を作るための手段。makuakeやアトツギ甲子園を使って少ないコストと助成金で「地元新聞にカラーで紹介される」小さな成功事業を作ること。キーパーソンのベテラン社員の「こいつ、やるやん」を引き出すのが目的。プレスリリースから逆算して作る手法に関しては以下の記事にまとめた。

https://note.com/kantakobira/n/n7f362ded4ff2

②③に関しては今自分の組織が下の図でどこにいるか次第でアプローチが変わるので、他人のやったことを鵜呑みにしないのが大切。

会社によっては、ブラックな「軍隊組織」だったり、ホワイトなだけの「友達組織」だったり、どちらもない弱い組織かもしれない。自分の所属する会社がどこにプロットされるか、考えて、その状態に応じて対策を行うのが必要。よく分からん、という時は組織系のサーベイを利用するのもおすすめだと思う(最近、LM社のMotivation Cloudに弊社は変更して良い感じ。)

KOBIRAは今、成果にもこだわり、個人の幸せも重視する「自律組織」に向かうことを挑戦中。そして成果へのこだわりと、個人の幸せは相反する時もあるのでその矛盾を統合するというアプローチに組織開発の面白みがある。

そして「組織状態の改善」はチームとして前に進める心理的安全性の高い状態に組織をすること、「マネジメント」とは組織運営において「情報流通」(収集と提供両方)「判断行動」(決める)、「支援行動」(助ける)がマネージャーとスタッフ相互の協力のもとで適切に目標達成のために実施運営されることと理解している(人事畑の人からしたら単純化しすぎかな)。

それに、加えてWill(やりたい)とCan(できる)とMust(やらないといけない)の相互の関係の中で特に個人のwillと仕事が結び付けられている状態にあり、会社と社員が相思相愛な状態(=エンゲージメント)が高い状態までチームがいけたら、さらにポイントが乗った状態になる。KOBIRAで半期評価ごとにWillやCanのワークシートを提出してもらったりするのもMustだけではないWillから始まる挑戦を応援し、社員のWillと事業がつながる状態を作りたいからだ。

そしてその組織とマネジメントの土台ができて、初めてSHIFTに挑戦する土台ができると思う。組織改善は漢方薬的にゆっくり効いていくものだ。人の体質改善に近い。そして、良くなったその組織の体質はSHIFTという「手術」に耐えられる土台を作る。

SHIFTにおける中小企業の葛藤

どのアトツギの会社にも、「トントンかちょっと赤字だけど未来はなさそうな事業」ってあると思う。それをぶった斬り、そのリソースを他の事業に向かわるビジネスのSHIFTを行いたいとは誰でも思うと思う。

ただ、そのSHIFTを行うと、大概の場合、取引先からの失望と、社員からの反発と、赤字の大幅な拡大が付いてくる。SHIFTは血を流す変化で、まさに立ち向かうものになる。

そのSHIFTへの強制的な圧力が、ここ最近の社会のインフレで発生している。ぼちぼちだった赤字が仕入れやコストの逃れられれない上昇で大きくなって、未来もないので打つ手もない。そんな会社の事業も多いのではないか?

KOBIRAでも同様で、この半年で、ほぼ全ての事業部で方針転換と利益構造の変更をおこなった。古いビジネスからの撤退を決め、社員にリスキリングを求め、誰も経験のない分野に挑戦している。大きな外科手術を行なったようなもので、流血中もハルネーションもあるが、チームが良い状態にそれでもいれるのは、最初に組織とマネジメントに重きを置いたステップがあったからだと思う。

SHIFTの成果

ちょうど、今日、プレスリリースをしたが、自社40年ほど前からやっていた新聞販売店や牛乳販売店のオンプレシステムを作り直してSHIFTしたSaaSサービスを出してみた。業界の裏の裏まで知っているKOBIRAだから作れた良いサービスだと思う。

最近、このままじゃ廃れるインフラをトランスフォームすることで次世代に残すのも地域企業の役割だと思ってて、新聞や牛乳販売店は厳しい産業ではあるものの、まだ全国に1.8万件(ファミマより多い)あって、「配る」インフラなので、地域の生活インフラとして、その在り方をアップデートするための基盤としてリリースした。すでに100件以上の導入計画がスタートして行っているところで滑り出しは上々だと思う。

大変だけど、報われるし、アトツギ冥利のある仕事がSHIFTだと思う。

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