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日本の教育絶望レベル

アメリカに来て1年と2ヶ月、たくさんのことを学びました。私は英語教育専攻だったため、今回は英語教育を中心に、そこで学んだことや感じたことを少しだけ話します。

自分自身、ここに来るまでの20年間、日本で生まれ育ち、その教育環境がずっと当たり前だと思っていた。先進国である日本の教育レベルが低いなんて考えたこともなかった。しかしながら、それがここに来て全てひっくり返された。いかに日本の教育が低いレベルにあるのか。

まず初めにそう言える根拠を示そう。

日本と世界の教育レベルの比較(1.0を世界平均とする)

これを見ると、日本の教育レベルは、先進国だけでなく、アジア太平洋地域の平均にも劣るレベルである。

これに驚きを感じる人もいるかもしれない。
では、一つわかりやすい例をあげよう。あなたが今までに受けた英語の授業を思い出してほしい。それらは教科書やワークがメインの授業ではなかったか。教師が黒板に書いたことをノートに書き写す、そんな授業ではなかったか。多くの人がこれを当たり前の勉強法だと思っている、これが1番の問題なのだ。また、日本語と英語は全くと言っていいほど異なる言語であるのに、日本語で英語が教えられているのに違和感を覚える。それゆえ、英語にあって日本語にない表現や感覚は伝わらず、見過ごされている。その言語を別の言語で勉強する、これがどれほどおかしなことなのかに早く気づかなければならない。


そもそもあなたは何のために英語を勉強していたか?テストで良い点をとるため、入学試験に合格するため、大半の人がこれら2つに当てはまるだろう。実際、日本の英語教育プログラム上、リーディングとライティングの二つが要点としてあげられている。学生時代に受けた授業をもう一度思い出してみてほしい。授業の大部分がリーディングとライティングで占められてはいなかったか。一方、他国では、英語は "入学試験に受かる" ためではなく、"実際に使う" ために教えられている。授業では、生徒と教師の会話だけでなく、生徒同士の意見交換やプレゼンによる発表が大半を占める。これが日本と他国との教育に対する違いである。現に、日本人はリーディングやライティングスキルは世界的に見てもトップクラスであるが、リスニングやスピーキングスキルになると一気に下位層まで落ち込む。実際に同じ留学生で高学歴と言われる学校出身の人が会話に苦しんでいるのを間近で見てそれを体感した。前提としてその日本の教育現場の中でも、もちろん素晴らしい教師も実際にいる。しかしながら、日本で行われる授業の大半は一方通行による受け身の授業である。これが日本の教育レベルが低いと言われる所以であり、このような状況が続く限り、日本人の英語力は到底伸びないままである。

それでは、日本は先進国であるにも関わらず、その教育レベルの低下がなぜ起きているのだろうか。

結論から言うと、それは日本の教育現場があまりにも過酷すぎるからである。

10時間を超える労働に、手当の出ない部活動指導、そして勤務時間外の残業など、例を挙げればキリがない。それゆえ、年々教員志望者が減り、採用倍率が下がり、本来教員としてふさわしくない者が採用試験に受かり、結果として、その低いレベルでの授業が行われている。それが現在における日本の教育レベルの低下を引き起こしている。

教員志望者数の変化


それでは、その現状を改善するには一体どうしたらいいのか。個人的にその対策はただ1つだと考える。

それは、教員の給料をあげることである。

"なんだお金かよ" 
そう思う人もいるかもしれない。しかしながら結局のところお金なのだ。

"指導方針を改善する" 
"大学での授業に力を入れる" 

これらは結局、綺麗事にしか過ぎない。そんなものにどんなに力を入れようと
"教員の仕事が給料に見合っていない"
これが一番の問題なのだ。

アメリカと比べ、あの過酷な労働環境でこの低賃金はあまりにも残酷である。

日本の英語教員の平均年収
アメリカにおける平均給与(約764万円)


"やる気を見いだす" "指導に力を入れる" などの綺麗事を並べる前に、まずはしっかり形として仕事内容に見合うだけの給料を用意すること、それが最も大切である。それにより労働環境の改善、教員志望数の増加、そして教育レベルの向上へとつながる。

自分自身、最終的な人生の目標として、日本の教育環境、教育指導を改革することをあげる。そのためには、これから世界を回り、教育についてもっと色んなことを学び、さらにそれらを深める必要がある。いずれその目標を達成できるようにこれからの人生を送りたい。


これから教師を目指すあなたにできること

上記に挙げたものは極論、国と教育の最高機関が働きかけなければ達成できない。しかしながら、教師を目指すあなたはこれから直接、生徒を育て、成長させることができる。一方で、教師である以上、そこには責任が生じる。実際、学生時代となると生徒は保護者同様、またはそれ以上の時間を教師と過ごすことになる。あなたが生徒に与える影響は多大である。あなたは直接生徒を育て、成長させることができる。その過程で、あなたの人間性、教育観に憧れた生徒がまた教師となり生徒を指導し、その中からまた新たな教師が生まれるという好循環を生み出すことができる。社会を見る機会が少ない生徒にとって、大人の見本はいつだってあなたたち教師なのだ

最後に

今日の日本において、教育レベルは低下を続け、少しずつ世界に遅れをとる形になっている。もちろんそれで今の教員たちだけを責めることは筋違いある。本来、この状況を把握し行動を起こさなければいけないのは、それら教員を生み出す、文部科学省や教育委員会にいる大人たちなのである。彼らが変わらない限り、この現状は変わるはずない。今こうしている間にも、日本の未来を担う子どもたちはその低いレベルの教育を受け続けている。まだ学生である私には直接彼らを救うことはできない、それに悔しささえも感じる。だからこそ、こうして自分の意見や考えを伝えることであなたが考えるきっかけになってくれればと思う。そしてそのあなたの考えがまた別の誰かへと広がり、最終的には国をも動かす大きな力になる。

これからの日本の教育がどうなるか、あなた1人の努力は僅かながらも、確実に日本をより良い方向へと導くことになるだろう。
一刻も早く、日本の教育レベルが高い水準となることを心から願う。

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