閑窓社
瀬戸が書いた映画の感想記事のまとめです。
熾野が書いた記事のまとめです。
はじめにはじめまして閑窓社です。文学フリマ東京を中心に、文芸同人誌「閑窓」を制作・頒布しています。毎号“架空の間取り”をテーマに、様々なゲストをお呼びして1号につき8名で「閑窓」を作っています。 メンバー 丸屋トンボ 昭和テイストの小説が得意。好きな作家は吉行淳之介・向田邦子。 熾野 優 家族小説が得意。好きな作家は滝口悠生・津村記久子。『光暈』で第6回世田谷区芸術アワード“飛翔” 文学部門受賞、『弾き継ぎ』で第2回文芸思潮新人賞入選。 瀬戸千歳(note) 恋愛・方言
はじめて「よつばと!」15巻の書影と帯が発表されたとき、私は「普通という奇跡」の意味を、コロナ禍における変わらない物語と捉えて疑わなかった。 しかしながら、これまで読者に感動と驚きを与え続けた「あずまきよひこ」「里見英樹」の両者が、そのような形で簡単にことを終わらせるはずがなかった。 このキャッチコピーは時代背景の反映なんてものではない。もっと長く、深く続く、変わらない想いを指した言葉だったのだ。 普通とは、奇跡である。 これまでの「よつばと!」で語られてきた
タイトルに強い言葉を使ってしまったけれど、「人生で初めて恋愛映画を観た」というのは、もちろんそのままの意味ではない。 26年も生きていれば否が応でも恋愛映画を享受する機会はやってくるもので、けれどそれを観たところで、しっくり来ることがなかったのも事実だった。 すべてが嘘とまではいかないまでも、「ああ、この映画は『陽の当たる場所』しか描かないのだな」とひねくれた感想しか持てなかった。中には日陰の部分を見せる作品もあったけれど、それはあくまでも陽に当たるための布石であり、日
2020年12月25日、夏の代名詞として有名なポケモン映画も、今年はコロナウィルスの影響によりクリスマス当日の公開となった。 登場人物たちが薄着であることに違和感を覚えつつ、ポケモン映画を劇場で見ている自分が厚着をしていることにも違和感がある。 大まかなストーリーは公式サイトを見てもらうのが手っ取り早い。 https://www.pokemon-movie.jp/story/index.php 簡単に言えば、幻のポケモン「ザルード」に育てられた少年「ココ」がサトシ
仕事が遅くなり、開始時間に間に合わなかった2020年「The W」。 吉住さん面白かった。納得の優勝。 これまでは「あー、そういえばやってたんだ、チェックしてなかったな」程度だったこの大会だが、今年は違う。 決勝者発表の一覧に、「Aマッソ」の名前があったのだ。 私がAマッソに出会ったのは大学四年生の夏くらいだったと思う。 夜中までだらだらと過ごし、なんとなくつけていたテレビでお笑い番組が始まった。深夜番組ということもあり、知らない芸人さんばかりだったけれど、も
1ヶ月に渡り連載してきた「共によつばを育ててきた人たちへ」もついに最終回。誰が読んでいるのかもわからないような記事だったが、今回は「よつばとこれから」と題し、今後の展開予想、また拾いきれなかった要素などを取り上げていきたい。 ■子育ては引き継がれていく 先日、友人にこの連載の感想を求めたところ、こんな話があがった。 「風香に牛乳を届ける回の最後、よつばを迎えにきたとーちゃんがよつばを殴ったのが衝撃的だった。なぜかとーちゃんはそういうことをしない人だと思っていた。もし
漫画というメディアは、長く続くことがよしとされている。 だからこそ常に変化を伴うし、面白い回があれば、面白くない回も存在する。しかし、「よつばと!」は類を見ないほどに、面白さを更新し続ける漫画だ。今回のテーマは「よつばを包む気配のこと」である。あずまきよひこがいかに「具体性」から「抽象性」へと物語を変容させてきたのかについて語っていきたい。ちなみに私は、この回を書くために「よつばと!」という漫画を取り上げたと言っても過言ではない。 ■周囲が感じるよつばの存在 「よつ
前回の記事にて、「よつばと!」は第5巻をもって章が区切られている、という説を私は提唱した。それは「夏が終わる」という明確な線引きの他に、これ以降この作品の基礎となる「”よつば”を”よつば”たらしめるもの」が生まれた時期だからでもある。今回は、なぜ「よつばと!」が漫画界において異才を放っているのか、その秘密に迫っていきたい。 ■よつばに命が吹き込まれた瞬間 そんなの最初から生きているキャラクターとして描かれていたじゃないか、と思われるかもしれない。けれど私は、あずまきよ
子どもを持たずして、子育ての妙を味わう方法がある。 2003年から連載が開始した漫画「よつばと!」 私の好きな漫画の中で、最も語るべき要素の多いものが「よつばと!」だと思っている。現在14巻まで刊行され、今年中に15巻が出るのでは、と巷ではささやかれているが、それまでのおさらいとしてこのレビューを読んでもらいたい。 ここに書かれていることは出典や根拠の明示された部分もあるが、完全な私見も含まれている。 ■「よつばと!」のターニングポイント よつばと!には現在(1