閑窓社

文芸同人誌「閑窓」を発行しています。 最新刊はvol.3「閑日月に捧ぐ」 問い合わせ→kansousha2019@gmail.com

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    瀬戸が書いた映画の感想記事のまとめです。

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    【掌編集】蛇蠱の子

    呪いの血筋、ふたりでの暮らし。 『諸字百物語』【唆 そそのかす】に出てくるふたりの物語です。百物語によく出てくる金髪占い師の千崎も登場します 1話800文字のお話が10篇入っています 装画:橋本ライドン 装幀:瀬戸千歳 ▼▽ 試し読み ▽▼ 【2話・手に負えるうちは】  泊まった部屋からは海が一望できたのだけれど、いたるところにお札が貼られていて思わず笑ってしまった。予約したひと部屋だけ明らかに価格設定がおかしかったから予想もしていたが、まさかここまでとは思わなかった。巳々花も「あちゃあ」とか言いながら一緒に笑う。テレビの脇や額縁の裏はもちろん、襖の奥や冷蔵庫と壁の隙間、果ては鏡のもっとも目立つところにさえあって、せめて隠す努力は惜しんでほしくないし、そもそも開かずの間にするべきでしょうに。こななん気休めやけんなんちゃ意味ないのになあ。巳々花がまだ新しいお札を剥がしだすので、アンタさすがに器物損壊やで、とたしなめる。  大広間に用意された食事も私たちだけ豪華だったし接客もバカみたいに丁寧で、それはとてもありがたいのだけれど、もしかして人柱なのかしら、なんて思いはじめる。巳々花は気にしていないのか、瓶に直接口をつけて日本酒がぶがぶ飲んでいる。や、せめてお猪口を使わないと、ほら仲居さん引いてるって。  卓球とスロットゲームに興じ、貸切の露天風呂から星を眺め、部屋へ戻ってだらだら飲み直し、いい雰囲気になったところで当然のように怪異が現れる。最初は無視を決めこもうとしていたのだけれど、ひとり、ふたり、と増え、しかもみんな目がこちらを向いているものだから、睦み合う気も削がれてしまう。ちょい早いけどもう寝よか、とふたりで並んで寝転がって目をつむってみても、ぼおおおおお、みたいな呻き声というか唸り声の合唱が耳から離れず、おちおち眠ることさえままならない。  ちっ。ぶしつけな怪異がやってきてから、どれぐらい経ったのかはわからないが、巳々花の舌打ちが聞こえた。すると怪異のひとりがうずくまってのたうちはじめ、そのうち他の怪異も苦しみだす。それって人間以外にも有効なんや。私がつぶやくとまあ人型やから内臓くらいあるやろ、とそっけなく返される。「祓魔師とかで生計立てる?」私が笑ったら、人の形しとらんやつは寄らんようにしとる、手に負えんけんな、と静かに言う。
    300円
    真夜中文庫
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    【掌編集】諸字百物語

    漢字ひと文字をテーマに420字程度の掌編を集めた百物語。 カバー付き・数量限定でオビ付き 本文は黒の小口染めです スピンオフの『蛇蠱の子』も併せてどうぞ 装画:すり餌 装幀:瀬戸千歳 ▼▽ 試し読み ▽▼ 【兄】あに  思いきり転んだ拍子に語彙の器が揺れたようで、身体からいくつも言葉が漏れ出してしまった。慌ててコンクリに散らばるそれらをかき集め、どんどん呑み込んでゆくけれど、いくつかは風に乗って飛ばされていったらしい。語彙の器がずいぶん軽くなった感覚がして、失われてしまった言葉を思い出そうとするものの、さっぱり見当がつかなかった。そうやって頭に浮かんだ言葉をくり返しているうちに、ふと、呪がふたつあることに気づく。異なった言葉を呪として身体にいれてしまったのかもしれない。ふたつになった呪はどうなるのか、それどころか元の言葉がどうなるかもわからず、医者へかかることにする。  非常に珍しい症例ですので……。医者は濁した。言葉が失われることはあっても、誤った言葉になるのは稀らしい。なにが呪になってしまったのでしょうか。医者は困った表情で■と■ですと答えてくれるが、どうにも聞き取れない。ご■弟はおられますか。すみません。なんとおっしゃっているのでしょうか。 【覗】のぞく  マンションはペット禁止なので空想上の猫と暮らしている。ベンガルのレオ。オス。しなやかな四肢で溌剌と駆け、水が苦手で、南向きの窓のそばで寝そべるのが好きだ。実際に飼ったことはない。母が許さなかった。私は猫カフェへ通って温もりをたしかめ、動画で仕草を研究し、鳴き声に想いを馳せる。油断していたらレオの輪郭が曖昧になるので、補助線を引くことは欠かさない。  ここのところ毎日レオは夜鳴きをしている。どうやら発情期らしい。発情期なんて考えもしなかったから、レオに奥行きが生まれたようではじめのうちは嬉しかった。しかし、やがておよそ猫には聴こえない声をあげ、玄関やベッドの下や枕元をひと晩中うろうろしている。叱ってみたけれどやめる様子もない。空想の去勢手術を施しても無駄だった。そのうち鳴き声はつねに聴こえるようになり、いつのまにかレオは天井を這うようになった。もしかしたら猫飼いにとって当然の光景なのかもしれない。天井に張り付いたそれと目があう。伸びた首が私の顔を覗きこんでくる。
    1,000円
    真夜中文庫
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    閑窓vol.5 道辻を灯す

    閑窓vol.5 「道辻を灯す」 架空の商店街、祝坐町商店街をめぐる短編集です。全8編収録。 執筆者 ・大木芙沙子 ・熾野 優 ・北木 鉄 ・桜田一門 ・瀬戸千歳 ・松尾 晴 ・丸屋トンボ ・宮月 中 なめらかでつるりとした/瀬戸千歳 やっぱり手がいい、指がことさらにいいと千崎さんからしきりに褒められ、その流れのまま水晶玉を磨くバイトにスカウトされた。八月、サウナでのことである。はじめは、もちろん断った。が、千崎さんもなかなか折れなかった。 今夜全てのゲイバーで/丸屋トンボ この店のお客さんは雨が苦手だ。金曜日の22時。店をオープンして2時間も経つのに今日はまだお客さんが来ていない。さっきまで頑張って営業をかけていたが反応が悪い。タクちゃんにシュウちゃんにウラタさん。いつも金曜日に飲みに来てくれるお客さんにで知っているひとは大体連絡したのだが、仕事が終わらないとか、会社の飲み会だからとか言われて、体よく断られてしまった。初めて一人で店に立つのだから、誰か来てくれるだろうと思っていた当てが外れた。 小規模な悪/熾野優 他人の幸せを心の底から祝うためには、まず自分自身が幸せでなければならない。手にした抽選券で誰がガラガラを回すかを決めかねている家族を見ながら、私はそう思った。 ふくらはぎ/大木芙沙子 あや子が母の姿について、思いだすのはふくらはぎ。店先や、浴室や、台所に立つ母の、ナイロン製のひざ丈スカートから伸びた脚。むきだしの皮膚にはよく見ると剃り残った体毛がちくちくと生えていて、しかしそんなことではすこしもその威厳を失わないような、立派なふくらはぎだった。 ...and more!! 写真:ヒロセミサキ 口絵:椎木彩子 イラスト:橋本ライドン 装幀:瀬戸千歳 閑窓社 2022.5.28 初版1刷発行 A6版/164ページ/カバーなし/帯付き
    700円
    真夜中文庫
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    【掌編集】蛇蠱の子

    呪いの血筋、ふたりでの暮らし。 『諸字百物語』【唆 そそのかす】に出てくるふたりの物語です。百物語によく出てくる金髪占い師の千崎も登場します 1話800文字のお話が10篇入っています 装画:橋本ライドン 装幀:瀬戸千歳 ▼▽ 試し読み ▽▼ 【2話・手に負えるうちは】  泊まった部屋からは海が一望できたのだけれど、いたるところにお札が貼られていて思わず笑ってしまった。予約したひと部屋だけ明らかに価格設定がおかしかったから予想もしていたが、まさかここまでとは思わなかった。巳々花も「あちゃあ」とか言いながら一緒に笑う。テレビの脇や額縁の裏はもちろん、襖の奥や冷蔵庫と壁の隙間、果ては鏡のもっとも目立つところにさえあって、せめて隠す努力は惜しんでほしくないし、そもそも開かずの間にするべきでしょうに。こななん気休めやけんなんちゃ意味ないのになあ。巳々花がまだ新しいお札を剥がしだすので、アンタさすがに器物損壊やで、とたしなめる。  大広間に用意された食事も私たちだけ豪華だったし接客もバカみたいに丁寧で、それはとてもありがたいのだけれど、もしかして人柱なのかしら、なんて思いはじめる。巳々花は気にしていないのか、瓶に直接口をつけて日本酒がぶがぶ飲んでいる。や、せめてお猪口を使わないと、ほら仲居さん引いてるって。  卓球とスロットゲームに興じ、貸切の露天風呂から星を眺め、部屋へ戻ってだらだら飲み直し、いい雰囲気になったところで当然のように怪異が現れる。最初は無視を決めこもうとしていたのだけれど、ひとり、ふたり、と増え、しかもみんな目がこちらを向いているものだから、睦み合う気も削がれてしまう。ちょい早いけどもう寝よか、とふたりで並んで寝転がって目をつむってみても、ぼおおおおお、みたいな呻き声というか唸り声の合唱が耳から離れず、おちおち眠ることさえままならない。  ちっ。ぶしつけな怪異がやってきてから、どれぐらい経ったのかはわからないが、巳々花の舌打ちが聞こえた。すると怪異のひとりがうずくまってのたうちはじめ、そのうち他の怪異も苦しみだす。それって人間以外にも有効なんや。私がつぶやくとまあ人型やから内臓くらいあるやろ、とそっけなく返される。「祓魔師とかで生計立てる?」私が笑ったら、人の形しとらんやつは寄らんようにしとる、手に負えんけんな、と静かに言う。
    300円
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    【掌編集】諸字百物語

    漢字ひと文字をテーマに420字程度の掌編を集めた百物語。 カバー付き・数量限定でオビ付き 本文は黒の小口染めです スピンオフの『蛇蠱の子』も併せてどうぞ 装画:すり餌 装幀:瀬戸千歳 ▼▽ 試し読み ▽▼ 【兄】あに  思いきり転んだ拍子に語彙の器が揺れたようで、身体からいくつも言葉が漏れ出してしまった。慌ててコンクリに散らばるそれらをかき集め、どんどん呑み込んでゆくけれど、いくつかは風に乗って飛ばされていったらしい。語彙の器がずいぶん軽くなった感覚がして、失われてしまった言葉を思い出そうとするものの、さっぱり見当がつかなかった。そうやって頭に浮かんだ言葉をくり返しているうちに、ふと、呪がふたつあることに気づく。異なった言葉を呪として身体にいれてしまったのかもしれない。ふたつになった呪はどうなるのか、それどころか元の言葉がどうなるかもわからず、医者へかかることにする。  非常に珍しい症例ですので……。医者は濁した。言葉が失われることはあっても、誤った言葉になるのは稀らしい。なにが呪になってしまったのでしょうか。医者は困った表情で■と■ですと答えてくれるが、どうにも聞き取れない。ご■弟はおられますか。すみません。なんとおっしゃっているのでしょうか。 【覗】のぞく  マンションはペット禁止なので空想上の猫と暮らしている。ベンガルのレオ。オス。しなやかな四肢で溌剌と駆け、水が苦手で、南向きの窓のそばで寝そべるのが好きだ。実際に飼ったことはない。母が許さなかった。私は猫カフェへ通って温もりをたしかめ、動画で仕草を研究し、鳴き声に想いを馳せる。油断していたらレオの輪郭が曖昧になるので、補助線を引くことは欠かさない。  ここのところ毎日レオは夜鳴きをしている。どうやら発情期らしい。発情期なんて考えもしなかったから、レオに奥行きが生まれたようではじめのうちは嬉しかった。しかし、やがておよそ猫には聴こえない声をあげ、玄関やベッドの下や枕元をひと晩中うろうろしている。叱ってみたけれどやめる様子もない。空想の去勢手術を施しても無駄だった。そのうち鳴き声はつねに聴こえるようになり、いつのまにかレオは天井を這うようになった。もしかしたら猫飼いにとって当然の光景なのかもしれない。天井に張り付いたそれと目があう。伸びた首が私の顔を覗きこんでくる。
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    閑窓vol.5 道辻を灯す

    閑窓vol.5 「道辻を灯す」 架空の商店街、祝坐町商店街をめぐる短編集です。全8編収録。 執筆者 ・大木芙沙子 ・熾野 優 ・北木 鉄 ・桜田一門 ・瀬戸千歳 ・松尾 晴 ・丸屋トンボ ・宮月 中 なめらかでつるりとした/瀬戸千歳 やっぱり手がいい、指がことさらにいいと千崎さんからしきりに褒められ、その流れのまま水晶玉を磨くバイトにスカウトされた。八月、サウナでのことである。はじめは、もちろん断った。が、千崎さんもなかなか折れなかった。 今夜全てのゲイバーで/丸屋トンボ この店のお客さんは雨が苦手だ。金曜日の22時。店をオープンして2時間も経つのに今日はまだお客さんが来ていない。さっきまで頑張って営業をかけていたが反応が悪い。タクちゃんにシュウちゃんにウラタさん。いつも金曜日に飲みに来てくれるお客さんにで知っているひとは大体連絡したのだが、仕事が終わらないとか、会社の飲み会だからとか言われて、体よく断られてしまった。初めて一人で店に立つのだから、誰か来てくれるだろうと思っていた当てが外れた。 小規模な悪/熾野優 他人の幸せを心の底から祝うためには、まず自分自身が幸せでなければならない。手にした抽選券で誰がガラガラを回すかを決めかねている家族を見ながら、私はそう思った。 ふくらはぎ/大木芙沙子 あや子が母の姿について、思いだすのはふくらはぎ。店先や、浴室や、台所に立つ母の、ナイロン製のひざ丈スカートから伸びた脚。むきだしの皮膚にはよく見ると剃り残った体毛がちくちくと生えていて、しかしそんなことではすこしもその威厳を失わないような、立派なふくらはぎだった。 ...and more!! 写真:ヒロセミサキ 口絵:椎木彩子 イラスト:橋本ライドン 装幀:瀬戸千歳 閑窓社 2022.5.28 初版1刷発行 A6版/164ページ/カバーなし/帯付き
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はじめにはじめまして閑窓社です。文学フリマ東京を中心に、文芸同人誌「閑窓」を制作・頒布しています。2019年の年始、飲み屋で酔っ払った3人の「みんな小説を書いてるんだし同人誌を作ろう。そして○○派と呼ばれよう」という一念から生まれました。毎号“なにかしらの間取り”をテーマに、様々なゲストの方をお呼びして「閑窓」を作っています。そうです。『間取り派』と呼んでください。 メンバー 丸屋トンボ 昭和テイストの小説が得意。好きな作家は吉行淳之介・向田邦子。 熾野 優 家族小説が得

    • よつばを育ててくれたとーちゃんへ

       はじめて「よつばと!」15巻の書影と帯が発表されたとき、私は「普通という奇跡」の意味を、コロナ禍における変わらない物語と捉えて疑わなかった。  しかしながら、これまで読者に感動と驚きを与え続けた「あずまきよひこ」「里見英樹」の両者が、そのような形で簡単にことを終わらせるはずがなかった。  このキャッチコピーは時代背景の反映なんてものではない。もっと長く、深く続く、変わらない想いを指した言葉だったのだ。  普通とは、奇跡である。  これまでの「よつばと!」で語られてきた

      • 「樹海村」感想あれこれ

        どうも瀬戸です。 今年も映画の感想などちまちま書いていこうと思います。よろしくお願いします。記事にしていませんが実は年が明けてから2本観てました。1本目は『聖なる犯罪者』、2本目は『花束みたいな恋をした』です。気が向いたら書くかもしれません。 というわけで2021年の3本目 『樹海村』 製作国:日本(2020年) 日本公開日:2021年2月5日 監督:清水崇 『呪怨』『輪廻』の清水崇が『犬鳴村』に続く「恐怖の村」シリーズの2作品目。『犬鳴村』に引き続き、シミュラクラ現

        • 人生で初めて恋愛映画を観た男が感じた様々なこと。

           タイトルに強い言葉を使ってしまったけれど、「人生で初めて恋愛映画を観た」というのは、もちろんそのままの意味ではない。  26年も生きていれば否が応でも恋愛映画を享受する機会はやってくるもので、けれどそれを観たところで、しっくり来ることがなかったのも事実だった。  すべてが嘘とまではいかないまでも、「ああ、この映画は『陽の当たる場所』しか描かないのだな」とひねくれた感想しか持てなかった。中には日陰の部分を見せる作品もあったけれど、それはあくまでも陽に当たるための布石であり、日

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          『ホモ・サピエンスの涙』の感想あれこれ

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          Aマッソのネタは「振り返ってはいけない」の一言で完成した。

           仕事が遅くなり、開始時間に間に合わなかった2020年「The W」。  吉住さん面白かった。納得の優勝。  これまでは「あー、そういえばやってたんだ、チェックしてなかったな」程度だったこの大会だが、今年は違う。  決勝者発表の一覧に、「Aマッソ」の名前があったのだ。  私がAマッソに出会ったのは大学四年生の夏くらいだったと思う。  夜中までだらだらと過ごし、なんとなくつけていたテレビでお笑い番組が始まった。深夜番組ということもあり、知らない芸人さんばかりだったけれど、も

          『Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 前編』の感想あれこれ

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          『燃ゆる女の肖像』の感想あれこれ

          どうも瀬戸千歳です。 さっそくですが、閑窓社のnote運用方法にめちゃくちゃ悩んでいます。更新頻度がちぐはぐなのがその証。活動報告などできればいいんですが、春と秋の文学フリマ東京に向けて冊子を作っている過程ばかりになってしまうし、今年はお品書きさえ更新していないありさま。そこで閑窓社メンバー(熾野・瀬戸・丸屋)と話し合った結果、せっかくなのでメンバーの人となりがわかるようなあれこれを不定期で発信していこうとなりました。今回こそはちゃんとやるぞ。 瀬戸、劇場で映画を鑑賞する

          共によつばを育ててきた人たちへ

           1ヶ月に渡り連載してきた「共によつばを育ててきた人たちへ」もついに最終回。誰が読んでいるのかもわからないような記事だったが、今回は「よつばとこれから」と題し、今後の展開予想、また拾いきれなかった要素などを取り上げていきたい。 ■子育ては引き継がれていく  先日、友人にこの連載の感想を求めたところ、こんな話があがった。 「風香に牛乳を届ける回の最後、よつばを迎えにきたとーちゃんがよつばを殴ったのが衝撃的だった。なぜかとーちゃんはそういうことをしない人だと思っていた。もし

          共によつばを育ててきた人たちへ

           漫画というメディアは、長く続くことがよしとされている。  だからこそ常に変化を伴うし、面白い回があれば、面白くない回も存在する。しかし、「よつばと!」は類を見ないほどに、面白さを更新し続ける漫画だ。今回のテーマは「よつばを包む気配のこと」である。あずまきよひこがいかに「具体性」から「抽象性」へと物語を変容させてきたのかについて語っていきたい。ちなみに私は、この回を書くために「よつばと!」という漫画を取り上げたと言っても過言ではない。 ■周囲が感じるよつばの存在  「よつ

          共によつばを育ててきた人たちへ

           前回の記事にて、「よつばと!」は第5巻をもって章が区切られている、という説を私は提唱した。それは「夏が終わる」という明確な線引きの他に、これ以降この作品の基礎となる「”よつば”を”よつば”たらしめるもの」が生まれた時期だからでもある。今回は、なぜ「よつばと!」が漫画界において異才を放っているのか、その秘密に迫っていきたい。 ■よつばに命が吹き込まれた瞬間  そんなの最初から生きているキャラクターとして描かれていたじゃないか、と思われるかもしれない。けれど私は、あずまきよ

          共によつばを育ててきた人たちへ

           子どもを持たずして、子育ての妙を味わう方法がある。  2003年から連載が開始した漫画「よつばと!」  私の好きな漫画の中で、最も語るべき要素の多いものが「よつばと!」だと思っている。現在14巻まで刊行され、今年中に15巻が出るのでは、と巷ではささやかれているが、それまでのおさらいとしてこのレビューを読んでもらいたい。  ここに書かれていることは出典や根拠の明示された部分もあるが、完全な私見も含まれている。 ■「よつばと!」のターニングポイント  よつばと!には現在(1