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「中島みゆき論」をガチンコ議論するファンの声@中国SNS

↑↑↑ 先日、こんな記事を投稿しました。

今回は、その続編です。

前回は「百度贴吧」から中国人ファンの声を拾いましたが、
今回は「知乎」から拾ってみます。

「知乎」は、中国 SNS 上のユーザーコミュニティです。

テーマに沿って、ユーザーが持論を表明し、それに対して他のユーザーが「賛同」(スキ)したり、コメントしたりするという形式です。

名称の「知乎」は、古漢語で「ご存じかな?」という意味です。

中には、小論文のように気合いの入った投稿も数多くあり、高品質で独創性の強い SNS プラットフォームです。

「中島みゆき」の欄でも、ガチンコの議論が展開されています。

「百度贴吧」は、「中島みゆき大好き人間」たちの集まりで、中島みゆきのことがとにかく好き、というコアなファンばかりです。

「知乎」の方は、ファンではあっても、ただ好きというのではなく、専門的に音楽性を分析したり、評価したりしています。

中島みゆきについて、さまざまな話題が提示されていまが、最もポピュラーなのが、

为什么说中岛美雪养活了大半个华语音乐圈?

(なぜ「中島みゆきが中国音楽界の半分を養った」と言うのか?)

というテーマです。

これは、中島みゆきの中華圏での絶大な影響力を物語る「常套句」ですが、このような言い方が、果たして妥当かどうか、という議論です。

「養った」云々というのは、中華圏、特に80、90年代の香港で、中島みゆきの歌が大量に「翻唱」(カバー)され、当時の音楽界を席巻していたことを指しています。

この「中島みゆき養育説」について、「熱烈な中島みゆきファン」と「中国音楽擁護の国粋派」の間で、賛否両論の激論が続いています。

このスレッドには、現在158人のユーザーが持論を掲げた記事を投稿していて、それぞれの記事に対して、数十から数百のコメントが付いています。

では、ファン(含アンチ)の声をいくつか断片的に拾ってみましょう。

虽然在华人地区并非人人都认识中岛美雪,但是大概很少人没听过改编自中岛美雪作品的华语翻唱歌。
華人地域では、中島みゆきを知らない人もいますが、中島みゆきの曲を元にした中国語の「翻唱」を聴いたことがない人はほとんどいないでしょう。

说中岛美雪养活了当年半个港台歌坛有点夸张了,但她和谷村新司、玉置浩二和桑田佳祐(南天群星乐队)一起养活了当年半个港台歌坛却是靠谱的。
「中島みゆきが当時の香港・台湾の半分の歌壇を養った」と言うのは、やや誇張かもしれませんが、彼女が谷村新司、玉置浩二、桑田佳祐(サザンオールスターズ)らと共に、当時の香港・台湾の音楽界を支えたのは確かです。

邓丽君《漫步人生路》啊、凤飞飞《潇洒的走》,这几首曲子都在两岸三地分别由不同的作词人填过不同的版本,给不同的歌手唱,这个是很奇妙的。 就是一首歌,可以影响不止一个华人歌手,而是三个、四个、五个……我想这个是空前绝后的。 我没有看过另外一个日本音乐人的一首歌,可以卖那么多次,而且大家抢着唱。
テレサ・テンの「漫歩人生路」(「ひとり上手」のカバー)や、鳳飛飛の「潇洒的走」(「この世に二人だけ」のカバー)など幾つかの曲は、中国、台湾、香港で、異なる作詞家によって異なるバージョンの歌詞をつけられ、異なる歌手によって歌われています。これは、とても珍奇な現象です。一つの歌が一人の中国人歌手だけでなく、三人、四人、五人に影響を与えるというのは、これまで例のないことです。他の日本の音楽家の曲で、これほど何度も売れて、しかも皆が競い合ってカバーするのを見たことがありません。

凡是真的相信“中岛美雪养活了大半个华语乐坛”或者相信“日本音乐拯救了华语乐坛”的人一般都是年纪偏小、对八九十年代华语乐坛真实情况了解得很少的人。那时候华语乐坛的原创歌曲还是远多于翻唱自日语歌的歌曲的。
「中島みゆきが中国音楽界の半分を養った」とか「日本の音楽が中国音楽界を救った」とかいう話を本気で信じる人は、おおむね若い世代で、80、90年代の中国音楽界の実情についてよく知らない人たちです。当時、中国音楽界では、オリジナルの曲の方が、日本の歌の「翻唱」よりも遥かに多かったのです。

我喜欢华语音乐,尤其喜欢80、90年代的港乐,我也爱听日本音乐,经常关注公信榜,几乎每年的红白歌会必看,听遍了中岛美雪、玉置浩二、谷村新司、中森明菜、安室奈美惠、宇多田光・・・日本音乐很强大、很优秀,但华语乐坛也自有态度,有无数默默耕耘的创作者,不需要谁来养活和拯救。
私は中国音楽が好きで、特に、80、90年代の香港の音楽が好きです。また、日本の音楽も大好きで、いつも「オリコンチャート」をチェックし、ほとんど毎年「紅白歌合戦」を見ています。中島みゆき、玉置浩二、谷村新司、中森明菜、安室奈美恵、宇多田ヒカルなど、日本の音楽は力強くて優れています。しかし、中国音楽界にも独自の作風があり、黙々と努力している数多くのクリエイターがいます。彼らは、誰かに養ってもらったり救ってもらったりする必要などありません。

总看到有人拿翻唱中岛美雪来诋毁华语乐坛的,说实话看都看烦了。不否认日本音乐在某些方面的领先,但要说华语音乐与日本音乐的差距多么大,完全是妄自菲薄了。 关于港台翻唱日本,并非因为日本音乐质量有多么高于华语音乐,而是商业模式和运作能力强而已。
中島みゆきの「翻唱」のことを持ち出して中国音楽界を貶す人がいますが、正直言って、もううんざりです。確かに、日本の音楽がいくつかの面で先進的であることは否定しませんが、中国の音楽と日本の音楽の差がすごく大きいなどと言うのは、まったくの自己卑下でしょう。香港や台湾で日本の歌が「翻唱」されているのは、日本の音楽が中国の音楽よりも質が高いからではなく、商業モデルや運営能力が強いからにほかなりません。

こうして、ざっと投稿記事を見渡すと、「中島みゆきの影響力は確かに凄いが、中国音楽界の半分を養った云々は言い過ぎだ」という主旨の意見が大半のようです。

「日本の音楽は素晴らしいが、中国にも独自の優れた音楽がある」という真っ当な意見も多く見られます。

中島みゆきに関しては、他にもいろいろなテーマのスレッドが立てられています。

中国的哪位歌手比较适合对标日本的中岛美雪?

(中国の歌手の中で、日本の中島みゆきに匹敵するのは誰か?)

就整个亚洲而言,邓丽君和中岛美雪谁的成就影响力更大一些?

(アジア全体から見て、テレサ・テンと中島みゆきとでは、どちらの業績と影響力が大きいか?)

罗大佑,中岛美雪,宇多田光,谁的词曲创作能力更强?

(羅大佑、中島みゆき、宇多田ヒカルのうち、作詩作曲の能力がより優れているのは誰か?)

など、日本や中国の有名歌手との優劣比較もよく見られるテーマです。

また、

为什么听中岛美雪的歌一耳朵听过去不好听,但是越听越好听?

(中島みゆきの歌は、初めて聴く時にはあまり良いと感じないのに、何度も聴くうちにますます良く感じるようになるのはなぜか?)

如何评价中岛美雪2023年的新专辑《世界が違って見える日》?

(2023年にリリースされた新アルバム「世界が違って見える日」をどう評価するか?)

というように、やや突っ込んだ議論や、

中岛美雪终生未婚,没有儿女,老了没人照顾,屎尿无人收拾,老了会很惨,她年轻时没有预料到这些吗?

(中島みゆきは、生涯独身で、子供もいない。年を取ったら誰も面倒見てくれない。下の世話もしてもらえない。老後は惨めになるってこと、若い時に予想していなかったのだろうか?)

のように、お節介なスレッドもあります。

ちなみに、これこそ余計なお節介(と言うか、不謹慎?)ですが、上の最後のスレッドを Chat GPT に聞いてみました。

すると、

「中島みゆきが一生独身で子供がいないこと、そして老年時に孤独を感じる可能性については、確定できる状況ではありません。人生の選択と経験は複雑で多様であり、各人の人生の軌跡は独自のものです。彼女が若い頃にこれらを予測していたかどうかは確定できません。なぜなら、個人の決定と将来の展望は職業、家庭、健康など、多くの要因に影響されるからです。一部の人は独身を選択し、生活の中で他の形式の充足感やサポートシステムを見つけることがあります。同時に、社会や文化の概念も変化しており、独身や未婚に対する態度は徐々に包容的になっています。したがって、中島みゆきの人生の選択が彼女を老年時に孤独に感じさせるかどうかを単純に断定することはできません。」

と、いかにも人工知能っぽい答えでした。

かくして、周りは言いたい放題、やりたい放題ですが、ご本人はそんな雑音どこ吹く風。

目下、コンサートツアー「歌会」開催中!

バリバリの現役で、これからも話題を提供してくれそうです。


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