5. 「ゲームシステム」とは

結論

ゲームサイクルの一部を切り取って説明したもの、それがゲームシステム。

はじめに

「ゲームシステム」という言葉は定義が曖昧なまま使われている。
「ゲームの仕組み」という言葉やそれに類する言葉で説明されるが、それが具体的にどのレイヤーでの説明なのかいまいち定義がされていない。なんというか、文系的というか、感覚的と言うか、フィーリングで把握されてる人が多いのだと思う。
だから、「これがゲームシステムです!」といわれて実際の説明を聞くと、「なるほど、こう言うシステムのゲームなのね」と理解できるのだが、いざ自分でゲームシステムを書こうとすると途端に難しくなることがある。どういう情報をどう言う粒度で載せればいいのかよくわからないのだ。

と言うわけで、似た概念である「ゲームメカニクス」「ゲームサイクル」「ゲームシステム」について、私の中でしっくりきた定義を述べる。

ゲームメカニクス

日本だとあまり馴染みのない言葉だ。
下田賢佑さんのnoteを参考にすると、要するにゲームそのもののルールと共に、それを取り巻く環境、プレイヤーの思考、SNSなどソーシャルな状況などを含めてゲームを形作る広範な概念だ。
この中でゲームデザイナーが責任を負うのは、ゲームそのもののルール(+プレイヤーの思考のシミュレーション)であり、それ以外についてはパブリッシャーがやってくれることが多いと思う(もちろん、デザイナーが考えて損はないはず)。

ゲームサイクル

これは皆ぱっとイメージがつくと思う。

●ダンジョンでモンスターを倒す
 →お金が手に入る
●ショップに行き、手に入ったお金で武器を手に入れる
 →キャラが強くなる
→この繰り返しでどんどん強くなり、いろんなところに行けるようになる

というループのことだ。ゲーム内の行動とその結果から構成される。

このゲームサイクルだが、上記のようなメタゲームだけではなく、インゲームのサイクルや、もっと細かく言えば戦闘のサイクルなども考えられる。とは言え、「ゲームサイクル」というと、たいていはメタゲームのサイクルを意味することが多い。

ゲームシステム

これは大変罪なネーミングだと思う。
「システム」という言葉は、「複数の要素が絡み合って作られた全体」というニュアンスがある。しかしながら、「ゲームシステム」という言葉が指しているのは、実のところ、ゲームサイクルの一部を切り取ったものなのだ。それをゲームサイクルで説明したよりも詳細に説明することで、「ゲームシステム」の説明となるのだ。

上の例で言うと、

「ゲームシステム: ダンジョン」:
 探索しつつ敵を倒し、お金を手に入れる。
 より強い敵を倒すことでより多くのお金が手に入る
「ゲームシステム:ショップ」:
 手に入れたお金を使ってアイテムや武器を購入できる。
 キャラクターを強化したり回復薬を手に入れることができ、
 その結果ゲームを有利に進めることができるようになる。

みたいな。
一度わかってしまえば何のことはないが、気づくまでけっこう時間がかかった。ググっても特に解説が出てこないので、多分感覚的な理解をしている人が多いのだと思う。悩んでいる方の参考になれば幸いだ。

参考文献


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