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ホルモンノート〜下垂体前葉〜

前回はホルモンノートの序章ということで
ホルモンの種類やホルモンの役割を総論的に解説しました。

確認する場合は下記の記事をクリックして見てきてください!

下垂体前葉から分泌されるホルモン

さて、早速ホルモンを分泌の臓器別で確認してみようと思います。
まずは、下垂体前葉から分泌されるホルモンです。
複数あるのでしっかり覚えましょう。
下垂体とは、下記のイラストのような脳の視床下部というところにぶら下がっているようなところです。


視床下部の下垂体前葉です。

成長ホルモン

成長ホルモンはその名の通り、成長を促す役割のあるホルモンです。
具体的には下記のように代謝を亢進させています。

血糖値の上昇とは、糖新生でグルコースを作ることです。
代謝ノートでやりましたね。乳酸、アラニン(アミノ酸)、グリセロール、グリコーゲンという材料を使ってグルコースを作り上げます。作られたグルコースは血中に行きます。このように糖新生を亢進させます。

中性脂肪の分解では、まさに体内脂質を分解することで脂肪酸はβ酸化に、グリセロールは糖新生に回るように動いています。こちらも代謝を亢進させたら起きるような反応ですね。

最後に筋肉や骨格の成長に関わります。
体タンパク質の代謝や骨の代謝の回転を亢進させていますね。

ただ、成長させるため、代謝を亢進させている

と覚えるのではなく、どのように代謝が亢進されているかを確認する!
それが国家試験を解答するために必要な知識となります。
受験生の皆さんはしっかりみておきましょう。
せっかく同じ分野を勉強していても、詰めが甘ければここまで辿り着きません。
少し慣れるまで大変ですが、最低限ここまでは確認してみてください。

副腎皮質刺激ホルモン

成長ホルモンと同じく下垂体前葉から分泌されるホルモンの1つですね。
副腎皮質ホルモンの分泌を促すためのホルモンになります。
少しややこしいかもしれませんが…
ぜひセットで覚えてほしいところが応用栄養学で毎年出題される「汎適応症候群」ストレスの応答についてです。

ストレスがかかると身体の状態はどうなるかという話になります。

イラストを見てください。
赤の線はストレスの抵抗度を示します。
最初は警告反応期といって、ストレスがかかった際に一時的に抵抗力がグンっと下がります。
警告反応期のショック層です。

一定のストレスが継続してかかると、抵抗力は戻ります。
これを警告反応期の反ショック層といいます。
さらに抵抗力が上がり、抵抗期に移ります。
この期間は、ストレスと闘っている最中なので他のストレスには滅法弱い状態です。
ストレスがずっと続くとやはり身体も疲れてくるので疲憊期として、抵抗力は落ちます。

この抵抗力に比例して、身体の代謝反応、ホルモン分泌も変わります。
さて、本題に戻りますが、
副腎皮質ホルモンは、ステロイドホルモンです。
代謝を亢進してくれるホルモンが多いですね。
つまり、抵抗力がかかっている段階ではホルモン分泌をさせるため、下垂体前葉から副腎皮質刺激ホルモンが分泌されます。

内分泌系ではこのホルモンによって、代謝が亢進され、

糖新生による血糖値の上昇
血圧上昇
体タンパク質の分解の亢進
中性脂肪の分解

が起こります。

また、神経系ではアドレナリンが働くことによって、
内分泌系でおきていた反応が加速します。
内分泌系と神経系でストレスへ抵抗しているのです!

代謝は亢進するので、やはりエネルギーや栄養素はたくさん必要です。
また、アドレナリンを作る材料として、

ビタミンC

が使われます。
そのため、ストレスがかかっているときにはビタミンCの必要量も上がりますね。
しっかり覚えておきましょう。

副腎皮質ホルモンは後日詳しくやりますので、今回は応用栄養学の分野と重ねて覚えておきましょう。

ホルモンノート② 確認事項

◇成長ホルモンは下垂体前葉から分泌される。
◇成長ホルモンは1日中分泌されるが、22時~24時で分泌量が増加している。
◇思春期は思春期前より2倍の分泌量となっている。
◇成長ホルモンは、血糖値の上昇を促す。
◇成長ホルモンは、中性脂肪の分解を促す。
◇成長ホルモンは骨・筋肉成長を促進する。(たんぱく質合成)
◇成長ホルモンが過剰に分泌されると、小児で巨人症を発症する。
◇成長ホルモンの過剰は下垂体の良性腫瘍が多い。
◇成長ホルモンが過剰に分泌されると、成人で先端巨大症を発症する。
◇副腎皮質刺激ホルモンは下垂体前葉から分泌される。
◇ストレスは、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌を促進する。
◇副腎皮質刺激ホルモンにより、副腎皮質からコルチゾールを分泌する。
◇ストレス応答の警告反応期(ショック相)では一時的に抵抗力が低下する。
◇警告反応期(ショック相)では体温、血圧、血糖値や神経系の活動が低下する。
◇警告反応期(反ショック相)で副腎皮質、副腎髄質からそれぞれホルモンが分泌される。
◇抵抗期ではストレスに抵抗するためのエネルギーおよび栄養素の確保が必要。

ホルモンノート② 管理栄養士国家試験

下記は既出の管理栄養士国家試験問題の一部になります。
こちらの記事の分野が出題されている問題は下記になります。
管理栄養士国家試験 第33回71問目の場合・・・(33-71)と記載。

1) 成長ホルモン ------- 低血糖(31-34)×
2) 成長ホルモン(GH)は、血糖値を上昇させる。(H26模試)〇
3) ストレス応答の抵抗期では、ビタミンCの需要は、減少する。(33-98)×
4) ストレス応答の抵抗期では、カルシウムの尿中排泄量は、減少する。(33-98)×
5) ストレス応答の抵抗期では、窒素出納は、負に傾く。(33-98)◯
6) ストレス応答の抵抗期では、副腎皮質ホルモンの分泌は、減少する。(33-98)×
7) ストレス応答の抵抗期では、エネルギー代謝は、低下する。(33-98)×
8) 警告反応期のショック相では、血糖値が上昇する。(31-98)×
9) 警告反応期の反ショック相では、生体防御機能が低下する。(31-98)×
10) 抵抗期では、新たなストレスに対する抵抗力は弱くなる。(31-98)〇
11) 疲はい期では、ストレスに対して生体が適応力を獲得している。(31
-98)×
12) 警告反応期のショック相では、血圧が上昇する。(31-98)×


ご愛読ありがとうございました。
次回も下垂体前葉が続きます。
ぜひ継続して勉強を進めていきましょう♬

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★はにわ

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