60代女性が避けたい靴 転倒予防編
“お洒落は足元から”
近年、60代の女性はとても活動的でお洒落、ハイヒールで闊歩している強者もいます。
ミセス向けファッション誌のくだりには
・ シンプルで快適なスニーカーは、カジュアルなコーディネートにぴったりです。色や柄を選ぶときは、自分の好みや季節に合わせて楽しみましょう。
・パンプスやローファーなどの革靴は、きちんと感のあるスタイルに欠かせません。ヒールの高さや形は、歩きやすさやバランスを考えて選びましょう。
・ブーツは、冬の足元を暖かくしてくれるだけでなく、お洒落なアクセントにもなります。素材やデザインによって、様々な雰囲気を演出できます。
・ サンダルやミュールは、夏の涼しげなコーディネートにぴったりです。足首やつま先を見せることで、女性らしさを引き出しましょう。
と、お洒落を楽しむ情報は絶えず発信されています。
“健康は足元から”
一方で、40代の頃に履けた靴だから、ローヒールを履いたから、靴をあまく考え、大怪我をしているケースや様々なトラブルにつながっている60代の女性もいます。
お洒落と健康の両立
ある60代女性のエピソードですが、
2カ月前に東京から帰ってきた際に、新幹線の改札前で転倒して救急車で搬送、前歯が3本折れ、口を7針縫う大怪我を負ったとのこと、両手にはお土産を下げて、靴はローヒールパンプスを履いていたようです。
家族の待つ家に急いでいたとはいえ、もしかすると防げた怪我かもしれません。
先ずは、両手にお土産では転倒時の受け身がとれません。
靴はヒールが低ければ大丈夫と思い込んでいる60代の女性が多いのですが、意外にもヒールがあると無意識にバランスを整え、ある程度の緊張感で歩行していますが、ヒールが低いと安心感から注意力が散漫になり、歩行バランスを崩し、つまずく要因になったのではないかとも考えられます。
70代でもヒールを履いて大丈夫な方もいますが、20代でもヒールを履けない方もいます。したがって、自分の体を知ってヒールを低くすること自体は間違いではありません。
しかしながら、その考え方には落とし穴があります。
パンプスは構造的にローヒールだからといっても歩きやすい靴ではないのです。
現在、女性の平均寿命は87.57歳(2021年)で世界一の長寿国ですが、戦前は女性も平均寿命は50歳程度ですから、そもそも60歳以上の靴の在りようなど、近年になってからのことなのです。
60代はお洒落をしたい気持ちと健康に過ごしたい気持ちの狭間で揺れる年代なのだと思います。
60代女性の感性
世代間でも感性の違いがあって当然ですが、靴を販売していて感じることは、若い年代ほど紐靴や・甲ベルト靴、スニーカーへの抵抗はないのですが、相対的に60代はプレーンな靴を好み、紐や甲ベルトは避ける傾向にあると思います。
最近は、60代の女性がスニーカーを履いて着こなしている情報も多くなり、パンプス一辺倒はなくなりましたが、健康面から紐靴か、お洒落からパンプスか、行きつくところがローヒールパンプスになったりします。
繰り返しますが、パンプスは構造的にローヒールだからといっても、決して歩きやすい靴ではないのです。
転倒しにくい靴の基本的なポイント
歩行を考えると、バランスを崩しやすいのは②から③で、甲が抑えられて足首が十分に可動している状況がのぞましいのですが、甲の抑えがないパンプスではダイナミックに歩行しようとすると脱げてしまいますので、脱げないように歩幅を狭くして歩きます。ダイナミックな歩行が出来なくなると、つま先は十分に上がらずつまずく原因になります。
また、②ではアーチが機能して③に移行するのですが、パンプスではアーチサポートも不十分になり、蹴りだしはスムーズにいきません。
つまり、転倒しにくい靴選びのポイントは調整具で甲を抑えアーチをサポートする必要があるということです。
次回は、60代女性が避けたい靴 健康編をお届けいたします。