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7年で3回転職した元人事から見た「採用」と「営業」にある「共創」という類似点

カバー写真がゆるすぎるんですが、現在Baseconnectではたくさんの職種を募集しています。

そんな状況なので社内でも採用の話になるのですが、先日出た言葉が

「採用ってマーケティングと営業だよね」

という言葉。

これ、皆さんの中でどのぐらいしっくり来るものなんでしょう?

一応採用担当をしていた人事の隅の方の端くれとしては、これに

「就活や転職も営業活動だよね」

という言葉も付け足したいと思います。


「採用がマーケティングと営業」というのは少し分解すればその通りで

・会社や募集要項 = 商品
・情報発信    = 認知獲得
・応募獲得    = リード獲得
・面談      = 商談
・内定承諾    = 成約

と、採用フローの多くが、モノを認知してもらって買ってもらうフローと対応するんですね。
(苦労せずとも採用ができる=売れてしまう一部の企業があることも、対応していると思います。)

それは就活や転職も同様で、「転職市場において、自分という商品をいかに企業に買ってもらうか」が重要になるわけです。

ここで面白いことが起きていることに気づくと思うのですが、採用場面においては両方が「営業=自分の商品売り込み」をしているわけです。

これを営業場面で考えると悲惨なもので、お互いがお互いの商品を「何とかして相手に売り込んでやろう」としている場合、まとまる話もまとまりません。

この場合、お互いに「相手のメリットになる提案をしよう」と思わなければ、商談自体が成立しないわけです。

つまり採用場面においても同様に、志望者と採用企業が互いに「相手のメリットになる提案をしよう」という気持ちで臨まなければ、本来的に有意義な「面接」は行われないのです。

ただ、どうもこの辺りが難しくて、どうしても採用となると志望者は「受かるために少しでも良く見せよう」とか「いい条件を引き出してやろう」とか思ってしまいます。

企業は企業で「どんなやつか見定めてやろう」「採ってやるんだから少しくらい厳しくしてやろう」なんて対応をしてしまい、時々炎上もしたりするのです。

とはいえ、まだ経験者採用であれば、お互いに「提供できる価値」や「期待する働きの度合い」が提示しあえるので率直な話もできます。

しかし新卒採用の場合「自分に何ができるか」もふわっとしており、かつ会社も「採用すべき軸があるようでない」ために、互いに「話が盛り上がった」などの雰囲気で選考が進んでしまい、「なんで受かったかよくわからないけど受かった」「結局似たような人ばかりを採用してしまう」といったことが起こるのです。


このことの是非や改善策を語れるほどではないのですが、最近大学生の人たちと話していると「結局就活で何を見られているかわからない」「自分が何をアピールできるのかわからない」といった悩みをどうしても抱えてしまっていて、それは就活という構造上の問題でしかないのに、そこに囚われる形になってしまっているのが非常にもったいないなと、そんな風に思うのです。

面接を営業と重ねて語るなら、やるべきことは「商品理解」と「提案先理解」でしかありません。
それはつまり「自己分析」と「業界・企業研究」なのですが、それは別個に行うものではなく、常に行き来しながら深掘りしていくべきものです。

なぜなら、提案先のことが分からなければ伝えるべき商品の価値や特徴も分からず、逆もまた然りだからです。

同じく採用と営業を重ねて語るなら、やるべきことは「商品のポジショニングの確立」と「相手の価値に応じた提案」でしかありません。
こちらは「採用ブランディングの構築」と「ある程度の個別事情を捉えた柔軟な選考フロー設計」になるでしょう。

もちろん、志望者も企業も互いに「見極める」と「受け入れてもらう」の両方を達成しなければならないため、そこには非常に複雑な関係性が生じます。

ただし、お互いがきちんとそれを分かっていれば、つまり採用場面とは「互いが互いを見極め、受け入れながら、寄り添える点を見出していく『共創』の複合的なプロセスである」ということを理解していれば、たとえ内定に至らなかったとしても、その採用は「良い採用だった」と言えるのではないかと思うのです。


1つ付け足すとすれば、「自己分析」や「採用ブランディングの構築」の時点で「あ、これ(自分や自社)は売れないな」ということに気づく場面があるかもしれません。

これはむしろチャンスで、自分などは転職を考える度に自分の「売れなさ」を感じて、そこを何とかリフレーミングしたり、仕事や学習の中で足りない部分を補うことで、少しずつ自信をつけてこれたなと思うのです。

そういう意味では、安易な転職はまったくオススメしないのですが、よく言われる「転職エージェントに会って自分の市場価値を把握しておこう」とか「NPOで活動して自分のスキルが世の中一般的にどのぐらいか知ろう」といったことは、とても重要だと思うのです。


人は、周囲を通じてしか自分のことを知ることができないと言います。
とするならば、採用や面接、マーケティングや営業というものは「自社や自分」を知るための貴重な機会だと言えるかもしれません。

そんな機会を、少しでも多くの人が「良いチャンス」として活かせるようになったら良いのにと、それなりに転職を重ねた身として思うのでした。

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