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手のひらサイズのミュージアム


古いものに魅せられ理解を深めていくと
古美術・古工芸品に興味を示す方も少なくありません。
しかし、目を惹く作家ほど贋作が多く、真贋を見破れる心得がなければとても手が出ないでしょう。
また、サイズ的にも家庭ではとてもコレクションし辛い大きな物が多いのが現実です。
しかし、私たちの古美術の真贋の世界には”名前で買うな、作品を見ろ”という言葉があります。

本来芸術を愉しむ心得は”有名無名はわからないけれど、この作品の味わいなんか素敵”であるべきと私は考えております。
その心得の下、今回お話しするのは有名でも何でもない
私が美しいと思う古き手仕事、”手のひらサイズのミュージアム”です。

此方は明治時代に建築された古民家から買取させて頂いた大きな印材です。水牛の角が経年で飴色に色づき、使われる事で摩耗した照りと時代の表面ヒビが光の差し込みで表情を変える姿は”時代を経ることで完成する美”があることを教えてくれます。

宋胡録といわれるタイの陶芸品です。
この素朴な質感は日本家屋とも相性がよく
筆で描かれた柄は一つ一つが歪でとても味わい深いです。


兎年の私のお気に入りの銅器作品。
ある満月の日、閑古鳥の裏手にある川の向こう岸で
何かを摘まんで食べる立姿を月明かりで見ました。
その姿がまさにこのシルエットでタイトルも作家銘もない
この作品を見た時に感動したものです。

幕末から明治でしょうか、こちらは手のひらサイズの獅子の木鼻です。
神社を華やかに彩る木鼻ですが、実際に柱から降ろされたものは
結構な見応えがあるサイズが殆ど。
そして、民間用神棚などのものは簡易的な彫り込みの物が多い中
こちらは立派な神社の獅子をそのまま小さくしたような佇まい。
小ささを感じさせない迫力は見事!の一言です。

此方は石の虎
背景の蔵戸と相性がよく、シンプルで武骨な彫りこみが
可愛らしさを感じさせてくれる作品。

これぞ西洋美術といえる細密な古いブロンズ像
こうして写真だけで見てしまうと小さいなどと思いもしない迫力。
時代を経た照りは本物にしか出せない美術そのものです。

こちらはANRIというイタリアの老舗の木彫細工ブランドの品。
この緻密な仕事、そしてかわいらしさを見て頂きたい。
ANRIの作品には可愛らしい世界観と独特のやわらかい彩色のものが多く
わたしもついつい飾ってしまう。


今回は家庭でも愉しめる手のひらサイズのものに絞ってご紹介をさせて頂きました。
美術品は私も大好きですが、大きい作品や著作家のものだけが
古美術の楽しみ方でないということ皆様に知って頂きたくて書かせて頂きました。
玄関やテーブル、棚の上に自分だけの小さなミュージアムを作ってみても素敵だと思います。

ご自宅・ご実家等に眠る、ご不要なお品物が御座いましたら
雑貨から古道具や家具、レコード、オーディオ、美術品までを愛でる店。
閑古鳥にご相談をお願い致します。
皆さまからのご縁を心よりお待ちしております。

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