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みんな地味ね、と言われた就活。

今でも忘れられない言葉がある。
就活で、あるブライダル会社のデザイナーの選考会のこと。

そこにいたのは、全身リクルートスーツを着た学生たち。

ツカツカと入ってきたお局さん風の女性は言った。

「皆さん地味ですね」

その瞬間、部屋が凍りついたのは言うまでもない。
正直いきなり先制攻撃を加えられ、どう対処していいかわからなかった。家に帰って出直して来ます、と言いたいぐらい、そう、穴に入りたいぐらい恥ずかしかったのを覚えている。

大きい声では言えないがさすが古都の女、そしてベテランデザイナー。

ブライダルの会社で、皆さんはウエディングドレスのデザイナーの選考会に来てるんですよ

と暗に釘を刺されたのだった。

会社の説明が少しあった後、持参したデザイン画を見せてその日の一次選考は終了。

一次選考を通過し、二次選考。
さて、何を着ていくか。

二次選考はパターンの実技試験。

私は家にあった山吹色のリネン混のスーツを選んだ。
スカートはセミロングのタイト。

かなり派手である。誰も就活だとは思わないだろう。

会場に行くと、想像通り、いや想像以上にみんなそれぞれ個性あるファッションに身を包んでいた。
そう、リクルートスーツの子は一人もいなかった。一次選考に来ていたのと同じメンバーかと疑うぐらいの変身っぷり。みんなとってもお洒落で素敵。その場にいるだけでワクワクする。

この会社は、パターンも思うように引けなくて落ちてしまったのだが、着ていく先に服を合わせることの大切さと難しさを学んだ。

さて私のリクルートスーツと言えば、濃紺のパンツスーツでバッグは左右非対称のマサキ・マツシマ。白シャツはピッタリ第1ボタンまで留めるというスタイル。靴は何を履いていたか思い出せないが、パンプスではなくローファーだったはず。ヘアスタイルはちびまる子ちゃんスタイル。普通の会社を受けるなら、それでもちょっと個性的だったと思うのだけれど。

今日は雨。ファッションは奥深い。何故か昔の苦い就活を思い出した朝だった。

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