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サーフィン歴25年、パラグライダーの世界に飛び込む!~パラグライダーと私~

都内で印刷所を営む松川さんは飄々とした40代男性、内向的な私ともウマがあう読書家ですが、実は25年以上サーフィンを続けているというスポーツマン。今回はそんなパラグライダー仲間に「パラグライダーと私」をテーマにインタビューをお願いしました。(取材日:2023年1月)

18歳で始めたサーフィンは、暮らしの一部。気が向いたときにふらっと海に行けば楽しく波に乗れる

4年前にパラグライダーを始めてからというもの、休みのたびに海・山どちらに行くか悩ましいという松川さんに、まずは海の趣味について伺いました。

サーフィンは18歳のときからやっています。若い頃はかなりのめり込んで、学生の頃は週3で都内から海に通ってました。社会人になっても20代前半は毎週末、土日両方とも海に行って朝から晩までサーフィンしてました。でも20代後半に結婚して家族が出来たり、同じ頃に親の会社を継いで仕事が忙しくなったりして、だんだん趣味やってる時間がなくなって…今はもう46歳、半日やったら身体ボロボロ(笑)。10~20代の頃は身体も動くし上達も早くて、めちゃめちゃ楽しかったなあ。

サーフィンは千葉に行くことが多い。半日だけやって午後から都内で仕事をこなすことも

今もサーフィンは楽しいけど、特に目標はなく楽しんでる。もう20代の頃のようなスピードでは上達できないし、暮らしの一部みたいな感じ。やり込んで経験を積んだから自分で状況判断できるし、趣味としてマイペースで楽しめるレベルに至ってます。海はしばらく休んでもフラッと海に行けば楽しく波乗りできるんです。「今日はあまり乗れなかった」という日もあるけど、それでも楽しい。楽しめる。そういう楽しみ方が出来るのって、ある程度やり込んで、その次の段階なんだよね。自分で色々なことを判断して、いわゆるベテランとして一人でも楽しめるレベルというか。自転車に一人で乗れるようになるのと一緒じゃないかな。パラグライダーはまだその段階に至ってないから、しばらく休むと出来なくなっちゃう。もっとやり込みたい。「一人で乗れるレベル」まではやっとかないと!と思ってます。

海に行けば、久しぶりでも楽しい。20代とは違う楽しみ方が出来るようになった

42歳で始めたパラグライダーは、まだ伸びしろが沢山。課題をひとつひとつクリアして上達していくことが楽しい

茨城にあるパラグライダーエリアは山。都内から車で片道2時間かかるのが難点

都内でインタビューを実施したのは、まだお正月気分の残る1月のこと。パラグライダーについて、まずは今年の目標を伺いました。

今の目標は、P証(パイロット証)ゲット。実は、昨年夏ごろあとちょっとのところまで行ったんです、でも色々あってまだ出来てない。うーん、noteを見てて思ったんですけど、かにさんは「楽しむ」を目標にしてますよね。でも僕は、パラグライダーについてそういうふうにやろうとしたら少しツラくなっちゃったんです。僕はそれよりも「X月までにP証取るぞ」みたいな目標を決めて向かっていくというか、仕事じゃないんだけど、タスクをクリアしていくほうが楽しい。

パラグライダーは、僕にとってはサーフィンと逆なんです。サーフィンはそれ自体が楽しいし目標はなくてもいいけど、パラグライダーはまだ初心者だから伸びしろがたくさんある。それはつまり、何か目指すものがないと楽しめないともいえる。禅問答みたいだけど「楽しむ」ことを目標にすると楽しめない。いずれP証を取ったらその次は「XC証取るぞ」って言うと思う。どんどん次のタスクを決めてクリアしていきたいし、やるからには上達したい。

「上達する」を目標にする→目標に向かっているうちに調子がよくなる→結果的にそれをするのが楽しくなる…という松川さんのようなタイプもいるし、私のように「楽しむ」を心がける→楽しみを追求するうちに練習に熱が入る→結果的に上達する…というタイプもいる。物事の学び方・学習スタイルは千差万別なんですね。自分に向いたやり方を把握しておくと、趣味にも仕事にも活用できそうです。

目標の次は、どんなことに苦労しているか訊きました。

パラグライダーでつらいこと? 同じタイミングにテイクオフした他の誰かがうまく上昇気流に乗って上げてるのに、自分はうまく上がれず着陸しちゃうとき。自分だけうまく出来ないときの、嫉妬というか悔しさというか、そういうの。つらいというより、羨ましさや悔しさかな。

そういえば、地上に降りた後にインストラクターにあれこれ質問している松川さんを見かけたことがあります。しかも一度ではなく何度か見た覚えがあり、印象に残っています。

問題解決型志向なんでしょうね。仕事のセミナーでも、講師の先生によく質問するタイプなんです。分からないことは人に聞いて、教わったことを実践して、問題解決して次に行く。そういうふうにサイクルを回したいんです。

だからパラグライダーでもうまく飛べなかったときは、インストラクターに「あの状況で自分はどうすればよかったのか?」を質問しちゃう。上手な人と自分の違いはなにか、プロのインストラクターなら分かるだろうから。その「なにか」が自分に出来ることなら実践すればいいし、まだ出来ないことなら練習すればいい。シンプル。僕はまだパラグライダー初心者で出来ないことが多いから「こうしたほうがいい」っていう課題は沢山見つかるんです。解決するのは難しいけど、質問する→課題がわかる→その課題をクリアする→次に行く…っていうサイクルがうまく回ると楽しい。

パラグライダーを始めて間もない頃に行った朝霧高原。富士山に向かってテイクオフ!
P証一つ手前のNP証を取ってから行った金沢の獅子吼高原。日本海の水平線が美しい

パラグライダーは怖い。楽しいけど怖い。怖いけど楽しい

パラグライダー仲間から、職場でパラグライダーの話をしたら『怪我して休むんじゃないか』と止められた…という話を聞いたことがあります。経営者の立場だとなおさら心配されそうです。松川さんは、どうでしょうか。

サーフィンもパラグライダーも、やっていることを隠したりはしない。家でも職場でも普通に話しますよ。別に悪い遊びじゃないから、隠す理由はないし。怪我しないかと心配される? そういうのはあまり気にしない。僕は小心者だってみんな知ってるから「無茶はしないだろ」って思われてるんじゃないかな(笑)。

スクールツアーを活用して、昨年は石垣島へ

パラグライダーで身体が空中に浮き上がるフワッとなる瞬間は、いまだに怖いですね。気持ち良いような怖いような…あの感覚は独特です。

僕は40歳を過ぎて漠然と「人生でやることはやったな」と思って、それでパラグライダー始めたんですよ。会社で今の立場になって10年くらい経ったし子供も大きくなったし、万が一のことがあっても別にいいかな…と。それで空を飛ぼうと思って、スカイダイビングとハングライダーとパラグライダー、3つの体験に行ってみたんです。そのなかで最も現実的で気軽に楽しめそうなのがパラグライダーだった。スカイダイビングはもう壮絶、落ちるだけ(笑)。ハングライダーは機材が大きくて重くて大変。パラグライダーなら機材は軽いし、60代・70代のひともやってるんだから40過ぎの自分でも出来るかなと思って。でも自分で始めるまで、パラグライダーはもっと危ないスポーツだと思ってた。…うーん、でも考えてみると、やっぱり結構怖いか…。落ちて木に引っかかることをツリーランとか言うけど、冷静に考えたらあれってかなり危ない行為ですよね。

実は、私達の所属するパラグライダーエリアで空中接触事故などの事故が続いた時期がありました。それを思い出しつつ、私が「ツリーランしても意外と怪我なくて大丈夫だったりしますよね」と言うと…

怪我なくて大丈夫っていう考え自体がもうヤバいよね! ちょっと麻痺してる。まあパラグライダー始める前は何かあったらすぐ大怪我かなと思ってたけど、そこまで危険ではなさそう。しかし今思い返しても、初めて一人で飛んだときはかなり怖かった。今も、飛ぶ感覚は怖い。楽しいけど怖い。怖いけど楽しい。表裏一体。その恐怖を楽しむような感じ。今も毎回「パラグライダーは怖い」と思ってます。

パラグライダーエリアへ遊びに行って、一日事故なく終えるとホッとします。海も怖いけどね。「エリアがやばいときに遊んじゃダメ」というのはパラグライダーと同じで、サーフィンの経験はパラグライダーでも役に立ってます。パラグライダーだと空域を見ての状況判断が大切でしょ。サーフィンでも「今日は海に入っていい日なのか」「どのあたりまで行ってよいのか」そういうことを判断をする必要があるんですよ。

石垣島滞在中の一コマ。海の上でSUP

パラグライダーのエリアへ行った帰り道に温泉寄ったり美味しいもの食べたり、田舎道にある産直で茨城の農産物を買ってお土産にしたり、そういうのも楽しいね。先週末もパラグライダーで1日遊んでから「ゆりの郷」で温泉に入って、フルーツラインの道沿いで採りたてイチゴを買って帰りました。

パラグライダーは機材も軽いし、割と活動しやすいよね。P証を取ったらサーフィン道具とパラ機材を車に載せて、風が良ければ飛ぶ、そうでなければ海でサーフィンする…みたいな旅行をしたいなあ。

サーフボードを車に載せて海へ。パラグライダーが加わる日も近い?

インタビューを終えて…

「タスクを決めてクリアしていきたい。やるからには上達したい」という松川さんと、「パラグライダーは趣味。色々なエリアに遊びにいって楽しみたい」という私。インタビュー中、二人でこんな会話もしました。二人の志向の違いがよく出ていて、書き起こしつつ面白かったです。

かに「私の場合は『P証を取るぞ』と根を詰めて練習していたら、パラグライダーするのがツラくなっちゃったんですよね」
松川「そういう様子を見て、僕とは性格が違うなと思いましたよ」
かに「P証を取った後に『大会出ない?』と友人に聞かれることもあるんですけど、私は大会に参加すると、他人と自分を比べて自己批判して苦しくなったり、チーム競技で仲間の足を引っ張ってる気がして申し訳なく感じたりしちゃうと思うから、それより色々なエリアに遊びに行って楽しみたいなと思ってる… がんばって上達するか楽しむか、どちらのモードに寄せるかは今も悩みますけど」
松川「でもそれを悩めるのも、P証とったからでしょう! 自由になるには技術を身につけなきゃいけない。自由と責任はセットだから」

お忙しいなかインタビューに協力いただいた松川さん、ありがとうございました。P証取得に向けて、引き続きがんばってください!


久しぶりのインタビュー「パラグライダーと私」、いかがでしたか。実は2年前に始めたシリーズ企画で、パラ仲間に協力してもらってマイペースに続けています。普通のひとの「飛んでいる」話に興味がある方は、ぜひこちら↓も読んでみてください☺


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