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カニを求めて徳之島 #2

きょうは、まず徳之島の北部
カニをモチーフとした屋敷神の石を探しに行く。
友人が教えてくれた写真集に載っていたものだ。

手がかりは、松原という集落。
この写真集が出された当時
区長をしていたMさん(苗字のみ記述)のお宅の庭に
カニの屋敷神さんが祀ってあったという。

松原という地区に入ると
農協があったのでそこで尋ねてみることにした。
レジのお兄さんにカニの石の写真をみせて
手がかりはないか聞いたところ
「うーむ」と唸って
ちょうどそこに買い物に入ってきたお兄さんに
島口で声をかけた。

すると、
そのお兄さんは知っているようだ。
「もう何十年も前に区長をしてたMさんは2人知っている。
 松原という集落は広くて、
 山の上の地区と、自分たちの住んでいる平地の地区とあり
 それぞれの地区に区長をしていたMさんがいる」という。

「連れていくからちょっとだけ待って!」
お兄さんはそう言って、
牛の鼻輪やロープを買っていた。
徳之島の農協は牛グッズが豊富にあっておもしろい。

鼻輪には子ども牛用、大人牛用といろんな大きさがある。

まずは、近くのMさん宅へ。
昔区長をしていた方は亡くなられ
今は家を人に貸しているという。

古い井戸のある大きなお家だったが、
住人の方はカニの石は見たことがないという。
案内してくれたお兄さんも
子どもの頃から遊びに来ていたが
見たことがないと言う。
ここではなさそうだという結論に。

次に上の地区のMさんのお家へ。
こちらは90数歳のご長老で
文化的なことをいろいろ知っている方だという。
しかし、お留守。

敷地内には【文化財ミニ資料館】という看板がかかった倉庫がある。
開いた扉からそっと覗くと、
昔ならがの農具などが保存してあるようだ。

ミニは後から書きたくなったのかな。ガムテープ。

「ここの長老は昔の話するのも好きだから
 いろんなこと知ってると思ったんだけどね。。。」

家の周りの様子から入院中かもしれないと。
一応状況を調べてくださるそうだ。
お会いできなくてとても残念だ。

案内してくださったお兄さんはTさんと言う。
Tさんは、昔教育委員会にも勤めたことがあり
文化財などの調査にも関わったことがあるのだという。
だから、こんなわたしのカニの調査にも
興味を持ってくださったのだ。

しかし、これまで、
カニ信仰は聞いたことがないし
カニの石も見たことがないという。

そうなると、ますます
このカニの屋敷神の石を
みつけたくなるではないか。

また何か手がかりがあれば
ご連絡いただくことにして
ここでお別れした。

カニサマのお導きのような
偶然の出会いがうれしかった。

お別れ際にカニポーズ!(掲載許可いただきました)

Tさんとお別れした後、
その地区にある松原神社に立ち寄ってみた。

霧雨が降ってきて
しっとりと幻想的だ。

神社の入り口に【フルゲンゴーイジュン】
と言う看板と矢印があった。

フルゲンゴーイジュン!
すごく聞いたことがあるぞ
どこで聞いたのか!?

「フルゲンゴーイジュンは焼酎の名前じゃない?」
薫ちゃんが思い出してくれた。

そうだ!
うすく色のついたわたしが好きな
徳之島の焼酎だ。
一気に親しみを感じる。

フルゲンゴーイジュンは古源神泉と書き、
小さな水場だが
とても気持ちのよい場所だった。
お参りしてお水をもらう。

立ち去ろうとした時
カニが目に入った!
よくよくみると何匹も!

4匹いらした。

カニサマに祝福されているような
ありがたい気持ちになる。
カニサマカニガトウ!

出会えたお礼に
カニ口説を歌った。

隣の松原神社は
琉球のノロ神である聞得の大君が祀られている
珍しい神社だった。
丸い玉が印象的だ。
水と天と火、
自然の要素を象徴しているのだそうだ。

丸い玉といえば、
屋敷神のカニも玉のようなものを持っている
(このnoteの表紙写真)
昨日の三京坊主さまも玉を持っていた。

丸い玉が何を意味しているのか
カニがつついている玉
三京坊主さまが大切そうに持っている玉。
そこには玉の秘密があるのかもしれない。

気がつけば
もうお昼近い。

湿度も高く風もなく
暑くてだんだんバテてきた。

カニの屋敷神石は
出会うまでに
根気がいるかもしれない。

さあ、クーラーの効いた車に避難して
次なる場所へ。

「カニにはなかなか出会えない〜」
と歌いながら車を走らせると
ガードレールにカニがいた。

カニに出会えた!

(カニを求めて徳之島#3 に続く)

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