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#20. フェルミ推定ってこんなに思考力鍛えられるんだ │ 『地頭力を鍛える』

皆さんは「フェルミ推定」どういう言葉を聞いたことがありますか?

フェルミ推定を知らない方に簡単に説明すると、

例えば「日本全国に電柱は何本あるか?」のような、一見わかるわけねーだろと思われる数量などを、限られた情報からロジックを組み立て概数計算し、そのおおよその数を推定する方法のことです。

この概数計算を得意としていた物理学者であるエンリコ・フェルミの名を取ってフェルミ推定と呼ばれています。

フェルミ推定について詳しく知らない方でも、コンサルや外資系企業の面接でよく問われる~程度の存在として知っている方も多いのではないでしょうか。

僕もその程度の認識だったのですが、今回『地頭力を鍛える』を読んでフェルミ推定に対する考え方が一変。
また、あらゆる場面で求められる思考力や「頭のよさ」についての理解が深まりました。

ぜひ最後まで読んでみてください!


地頭力とはなにか

結論から言うと、地頭力とは「頭のよさ」の中の1種で、
「結論から」「全体から」「単純に」考える力のことです。

そして頭のよさとは、「物知り」「機転が利く」「地頭がいい」の3種類あると本書で書かれています。

「物知り」とは、単純に記憶力が高く知識が豊富な人のこと。
「機転が利く」はコミュ力・対人感性力が高い人のことで、合理性の対極ともいえる能力ですが、良好な人間関係やあらゆるものごとを円滑に進めていくために最重要な力といえます。

そして「地頭がいい」とは、考える力が高い人のことで、地頭力のベースとなる知的好奇心や論理思考力・直観力の上に、「結論から」「全体から」「単純に」考える3つの思考力を有しています。

地頭力を構成する3つの思考力

この「結論から」「全体から」「単純に」考える力のことをそれぞれ、
結論から=「仮説思考力」、全体から=「フレームワーク思考力」、単純に=「抽象化思考力」であると本書では定義されています。

3つの思考力をフェルミ推定を絡めて説明するために、先に「日本全国に電柱は何本あるか?」という問題の解法例をざっくりと示しておきます。

解答例

①アプローチ設定:面積あたりの電柱本数を日本全体に広げて考える

②分類・分解:国土を市街地と郊外に分類、算出できるよう(面積あたりの本数✕面積)の式に分解

③モデル化:エリアごとの電柱配置から1km²あたりの本数を仮定、日本を長方形とみなして面積を算出

④計算:電柱の総本数=市街地の本数+郊外の本数≒3000万本
市街地の本数=日本の総面積(30万km²)×市街地率(0.2)×市街地1km²あたり本数(400本)≒2400万本
郊外の本数=日本の総面積(30万km²)×郊外率(0.8)×郊外1km²あたり本数(25本)≒600万本

このようにして日本にある電柱の本数をおおよそ求めることができます。
では、仮説思考力・フレームワーク思考力・抽象化思考力がこの問題とどのように関係してるのでしょうか?
以下で解説していきます。

仮説思考力

まずは、結論から考える仮説思考力から!

仮説思考力とは、
限られた情報・時間のなかで最も可能性の高い仮説を立てて先へと進む力のことです。
この問題における①のアプローチ設定と、それ以前の問題に取り組む際のスタンスがこれに該当します。

まずアプローチ設定について、もちろん電柱の数なんて元々知ってる人はそうそういないので、どの情報があれば電柱の数が分かるのか、算出するためのアプローチを考える必要があります。
今回は国土面積から算出するアプローチを取りましたが、この問題は世帯数などからも算出できます。

このように自分がすでに知ってる情報から算出するにはどのようなアプローチを取るべきか、フェルミ推定を通して鍛えることができるのです。

また取り組むスタンスですが、この問題ではどこまでを電柱と定義するかといった定義づけの問題で悩もうと思えばいくらでも悩めます。
しかし通常、フェルミ推定を解く際には制限時間が設けられているので、正確さにこだわりすぎず、前提条件を定めて先に進む力も求められます。

このようなプロセスからフェルミ推定で仮説思考力を鍛えることができるのです。

フレームワーク思考力

次に、全体から考えるフレームワーク思考力です!

フレームワーク思考力とは、
課題の全体像を俯瞰する力と、捉えた全体像を最適な切り口で切断してさらに分解していく力のことです。
この問題における、①のアプローチ設定と②の分類・分解がこれに該当します。

まずアプローチ設定について、上記の全体俯瞰力のある人はまず全国の電柱を市街地・郊外で見るといった全体把握から始めて、部分へ「ズームイン」する視点移動で考えるのに対して、
この力が乏しいと、いきなり自分の近所エリアから具体的な計算を始めて全体へと広げていく「ズームアウト」の視点移動で考えてしまいます。

そして②の分類・分解では、もれなくダブりなく全て足したら全国の本数になるように要素を分類して(今回は市街地と郊外で分けた)、それらを自身の既知の情報から算出できるように因数分解していく。

フェルミ推定でこれらの過程を経ることで、全体俯瞰・もれなくダブりなく分類・要素の因数分解を訓練し、フレームワーク思考力を鍛えることができます。

抽象化思考力

最後に、単純に考える抽象化思考力です!

抽象化思考力とは、
対象の特徴を抽出して、単純化・モデル化した後に抽象レベルで解を導き出して、それを再び具体に落とし込んでいく力のことです。
この問題における、③のモデル化がこれに該当します。

ここでは、日本列島や電柱の配置をモデル化して単純に考えました。
この発想そのものが抽象化思考であり、このモデル化のアプローチ以外で既存の知識・ロジックを転用させ概数を導く類推(アナロジー)も、抽象化思考です。

フェルミ推定を通して、様々なケースをモデル化・アナロジーで考えることで、抽象化思考力を鍛えることができます。

最後に

フェルミ推定がいかに思考力を鍛えることができるか、なんとなくでも理解いただけたでしょうか?

ここでの説明はまだまだほんの一部で、この3つの思考力に対する深掘り・考察や、これらの思考力のベースとなる論理思考力・直観力・知的好奇心についても書かれている名著なので、ぜひ一度読んでみてください!

それでは!

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