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【読書】 テスカトリポカ

蜘蛛(ラバ・ラバ)あいつはジャカルタのボルタリングジムでそう呼ばれていたのさ。(本文より)
ジャガーはアステカ王国で最強の獣だった。(本文より)

すごい…。
資本主義が生み出す凶悪犯罪と違法密売の暗黒世界。
宗教がらみにハズレなしなし!
この世界はヤクザより恐い…:(´ºдº:;`):

麻薬戦争が絶えないメキシコから逃げ出したルシアは、日本に渡りヤクザの男性との間に産まれた男の子、コシモを育てる。
成長したコシモは事件を起こし、少年院に入る。
メキシコの麻薬密売のカルテル、ライバルの「ロス・カサソラス」と「ドゴ・カルテル」の縄張り争いから逃れ、日本に渡ったロス・カサソラスの1人、バルミロ。
川崎の廃車工場で、仲間「蜘蛛(ラバ・ラバ)」と共に、あるビジネスを始める為に仲間を集める。
暗黒の資本主義社会と、アステカ神話が交差するのカルト・バイオレンス。

これはカルテル同士の麻薬戦争だけがメインの話ではなく、アステカの宗教への信仰や、虐待による孤児、人身売買など、社会問題が生々しく描かれています。

テスカトリポカはアステカの神。
「煙を吐く鏡」
バルミロは、少年の頃から祖母により繰り返されていたアステカの教えが染み付いています。
彼はいけにえとして殺した人の心臓を取り出し顔の上に乗せる儀式をします。
禍々しい雰囲気ではなく、当たり前のように淡々とこなす場面が日常のように映ります。

廃車工場で4人の殺し屋を育てるのですが、喧嘩や抗争シーンはとても迫力があり、ハラハラドキドキです。

そして読後の余韻がすごい。
麻薬や孤児、人身売買の現状にショックを受けます。

佐藤究先生の作品を読むのは2作目です。
とても幅広い情報が、最後に全て繋がる技術がすごい。



前作『Ank: a mirroring ape』は、チンパンジーの鏡像行為(ミラーリング)の研究をする研究施設の話。
高い知能を持ったチンパンジーが複数いる施設で事件が起きる、こちらもハラハラドキドキします。
そして、チンパンジーと猿の違いの勉強にも^ ^
最新技術を用いた施設の様子も興味深く面白いです。

佐藤究先生の別作品『QJKJQ』もいずれ読みたいです。


初めてジャガーを描いてみました。
写真を見ながらですが、バランスが難しいです😅
ちょっと頭でかくてぽっちゃりしてしまいました。
おかしいなぁ…笑
たまには動物描くのもいいですね‼️

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