見出し画像

俺ガイル結2感想会。続

はじめに

前回の続きです!

※1
以下のブログを参考に話しているところがあります。適宜ご参照ください。

※2
また、参加者は以下の通りです(前回の登場順。カッコ内はツイッターアカウント)

 pf (@HumbertWendel)

 clp (@clpXclp)

 才華 (@zaikakotoregail)

 ひろたき (@la_volche)

 なみもん (@namimon_jp)

 飄々図書室 (@hyohyolibrary)

 ゆき (@genuine_note)


②当たり前のように、一色いろははそこにいる。

奉仕部室で雪乃の誕生日パーティー。いろは、マラソン大会後の打ち上げを計画。
(※あらすじはpf氏のサイトより、書き起こしている時点で記述されているものを引用。以下同じ)

clp ここで進路指導の話(10巻、125頁)が無くなっちゃって、その代わりに(打ち上げを)奉仕部でやるという形になりました。

才華 ここはそんな話すことはないのでは?

clp わかりやすいですよね。雪ノ下が「噂、か」(65頁)って言ってるのも、みなさんわかるだろうって話だし。一色が考えている来月のイベントっていうのは、10.5巻のフリーペーパーだろうという話で(註:pf氏の補足記事とclp,pf両氏の討議あり。下記参照)。それくらいですよね。……そう言えば、ゆきさんは挿絵についてはどう思われました?

ゆき 挿絵は、一回止まりましたね、ページをめくる手が。この一個前の由比ヶ浜と比企谷のところではそんな止まらなかったのですが、雪ノ下のとこで(59頁)、一瞬、おっ? ってなりましたね。

clp やっぱり止まりますよね。

clp 10.5巻の八色☆千葉デート編で、一色は全てのお店で領収書を貰って、それを(余っている)生徒会の予算で落とすためにフリーペーパーを作ると同時に、制作に奉仕部を巻き込むために領収書をちらつかせて八幡を説得?したので、デートの時点でフリーペーパーまでは地続き(予算も共通)ではないかと。

clp もちろん、結3以降ではフリーペーパーがまるっと無くなって、八色デートの言い訳として全く別のイベント(例えばバレンタインとの融合とか)が登場する可能性もありますし、そもそも一色の出番が無くなってしまう展開もあり得ますが。。

pf フリーペーパー発刊は10.5巻内での材木座見てて思いついた様なので
1. 結2 八幡デートを思いつく
2. 10.5 材木座が同人誌作ろうとしているのを見てフリーペーパーを思いついてデート代と絡める
3. 制作に奉仕部を巻き込む
の順かなと
たぶんとてもどうでもいい話だけれど


③間が悪く、比企谷八幡は葉山隼人に声を掛ける。

噂に関しての三浦優美子の警告と回避法、八幡に「ちゃんとしろ」。八幡は回避。葉山は特に噂には対応しない。

才華 まぁ、ここもだいたいはよくて、しいて言うなら、なんで進路を聞かなくなったかって話ですけど、でもそれは、進路の話にならなかったからだっていう気がする。

clp 三浦が寝取られちゃったからだっていう説もありますが(前回参照)。

ひろたき 私は、引き下がったところがやっぱり、うーん、って感じですけどね。

clp と言いますと?

ひろたき 葉山の爆笑を受けてというところは間違いなくあるし、噂のことを突き止めるにあたって八幡に目線も遣ってるし、そこまで重く受け止めてはないとは思うのですが。ここけっこうわかりやすい雪ノ下の依存的なやつの表面化だったじゃないですか。それがまるっとなくなって、じゃあ雪乃はどうなるのみたいな気持ちはなくはないですが……、しかし、それを書くと変なことになる気もしなくもないなって。この時点で三浦のママみみたいなのはあんまりなかったですよね。ママみ、世話焼きのような。海老名に関してはけっこうあったような。

clp 面倒見がいいっていうのは7巻の海老名もそうですし(210頁)、ディスティニィーで一色が(スペマンで)酔った時にもいち早く対応したりとか(9巻、315頁)、告白の場面でもそうだし(9巻、352頁)。

ひろたき 14巻の三浦の居心地の悪さというか、そういうのが僕の中にあって、こういう描写が出る度に心が痛くなるんですよね。

clp モブっぽくなっちゃうってことです?

ひろたき モブだし、属性っぽくなりすぎちゃうというか。14巻以降のいろはとか小町も含めて、属性感が強く出てて、その感じがなんかギョッとしてしまうんだよなっていう、まぁ、ただの感想なんですが。お気持ち表明ですね笑


④いつでもどこでもどんなときも、戸部翔は戸部翔である。

噂が拡散する。戸部は結衣の周辺がざわついていることを指摘する。戸部は葉山の多面性を見抜いている。相模は噂の拡散に関与しない。

スタンフォード監獄実験と緑色の目をした化け物

clp スタンフォード監獄実験(112頁)は、再現性がないと言われていたと。

飄々図書室 なんか、ありましたよね。

clp わりとスタンフォード監獄実験って、オタクは大好きですよね、この例出すの。至るところで読んでる気がする。

才華 パノプティコンと二大巨塔ですよね、オタク大好き思考実験。あとシュレディンガーか。じゃあ三大オタク大好き実験だ。

clp 緑色の目をした化け物(128頁)。

飄々図書室 これは、調べれば出てきます。わからなかったので調べました。

clp みなさんご存知でしたか?

才華 これもよく出るやつじゃないですか? みんな何かしらの作品で出会う。ちゃんとシェイクスピア読んでる人は読んでるかもしれないけど。


戸部について、キャラクターの倫理

clp 飄々さんが書いてらっしゃる、「竹林での嘘告白があったけど、別にそれに関しては八幡をライバル視していない」。俺負けねぇから的なことを言ってた(7巻、253頁)わりには。

飄々図書室 これは本編でもずっと気になってたことで。いつまでライバルだと思ってんのかなーってのは。

一同 笑

ひろたき この戸部の理解度も、この時点では全くそぐわない理解度。いやわかんないですけど、もっと後半になって戸部なんか意外とうんぬんかんぬんみたいなのはあったけど、この時点でこれを察することはできるだろうけど、こういう感じで描かれる(131頁、下記参照)ことはそんなになかったんじゃないかって。

「あー、いや、わり。今のやっぱなし。ネタにしていいやつじゃなかったわ」
「……意外だな」
 まるで自己嫌悪するかのように苦い顔をし、戸部は俺から目を逸らす。

渡航.やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。結2(ガガガ文庫、小学館)

飄々図書室 なんか、ずっと馬鹿でいてほしかったみたいな感覚はありますよね笑

才華 本編での戸部はこの時点ではもっとアホっぽかった印象です。でもそれは悪い意味じゃなくて、あんなにアホだったから、10巻で進路を「(自分でよく考えろって、)教えてくんねーんさ」(195頁)みたいな、「隼人くんは優秀だから悩みないんだよ」みたいな(ことを言われて納得したり)、「困ってても俺馬鹿だからわかんねーんだわ」みたいなこと言うのが、やっぱ本当に「馬鹿」だから感動するんだけど、この戸部はちょっと成熟しすぎですよね。

一同 笑

才華 ちょっといいやつだもんな。

clp 劇場版戸部、みたいな。

ひろたき みんないい奴になりすぎ問題は。

才華 それあるー。

ひろたき ありますよね。折本も相模も。

才華 相模もちゃんと噂にすることは回避するし(139頁)。丸くなってんじゃねーよっていう笑

一同 笑

clp その分モブがクズだという説が。

才華 そうなんだよなぁ。

なみもん モブがそうなのは、相模の変化を描くために取り入れられてる感はありました。

ひろたき 後半になってネタバラシはあるんですけど、けっこう陰口とかで過剰反応するじゃないですか。あれ見てる時ちょっと怖かったんですよね。1巻のノリやるんかな、みたいな。だとしたらどうしようって思ったんですけど、後半で解決するので、いいんですけど。ハラハラはしましたね。

才華 これは難しいですよね。明らかに筆は達者になったけど、キャラクターに対する倫理みたいなのはいつも難しくて、誰かを悪役にしなきゃいけないんですよね。そのときに犠牲になるのがモブっていうのが、いいのか悪いのかって、ちょっと難しいな。

clp ただ、すでに犠牲になった相模をさらに犠牲にするのは……、ってなりますよね。

才華 何でもそいつに押し付けとけばいいのかっていうと、そうじゃないので。だから、そういう反省があって、戸塚がちゃんと自立したキャラになったみたいなのが本編であったと思うんですよ。戸塚を女性の代わりとして「消費」していたことへの反省みたいなのがあったと思うんで。

clp ストーリーを進めるにはこういう悪役みたいな、悪役というか汚れ役を担当する人がいないとあれだし。

才華 世界は普通にそうですからね。こういうクズみたいな奴らがいっぱいいるのが普通ですから、それでいいんですけどね。

clp そう言えば、総武高校、民度がやばくね説というのが一部でありまして。進学校の設定のはずなんだけどな。

才華 ふつう高校生はこんな事しないと思うけどな。そんなことないのかな。

clp どなたかの感想を見ると、相模も真っ当になってて偉いみたいな感じで感動したっていう人もいらっしゃったので。我々の受け取り方がひねくれすぎている説……。

一同 笑

clp 由比ヶ浜が比企谷の服の中に入っていったとかいうのも「わー!」って盛り上がる読者さんがいるわけじゃないですか。それに対して我々は「ん? キャラ違くね?」とか思っちゃうわけですが(前回参照)。

才華 ま、考え方によるっていうことで。


モブ子・モブ美について

clp あとは、飄々さんが「モブ子・モブ美」(136頁、下記参照)についてけっこうこだわってますが。

 三浦や川崎のように目立つ容姿というわけでもなく、さりとて別に可愛くないわけでもない、クラスで8番目とか9番目とかに可愛い子くらいの感じである。……よし、8番目に可愛いほう、お前は今日からモブ子だ! もう一人はモブ美でいいや。

渡航.やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。結2(ガガガ文庫、小学館)

飄々図書室 ここ、ふつうにやばくないですか? 大丈夫か比企谷っていう。人の見た目に順位を付けたりしてるし。言葉に拘っているらしい者の態度としてもどうなんだろうっていうところがだいぶあります。

clp 八幡は元からクズっていうのは言われてましたが(14巻、479頁)、この方向性ではなかった気がする的なのはありますね。クズの方向性が違うというか。

飄々図書室 キャラが全然違うというか。

clp キャラ設定としては、どちらかというとリア充のやられ役みたいな感じの発想ですよね、この「8番目に可愛いほう」とか言ってるのは。

飄々図書室 モテすぎて調子に乗って女性を駒としか認識しない認知の歪み方になっちゃったか、モテなすぎてこじらせすぎてこうなっちゃったか、どっちなんでしょうみたいなことを考えてました。

clp 「川なんとかさん」って呼び方もどうなんでしょうね、ってのはあるけど。ま、このあたりの描写は危ない橋を渡ってる感がありますよね。

飄々図書室 ちなみに10巻と同じですか、これって。

clp 10巻の展開はまた違って、マラソン大会の前に授業で走る時は、戸塚とも進路の話をしてたんですけど(203頁)、相模は出て来て……?

ひろたき ないんじゃないですか。

飄々図書室 あー、だとしたらさらにやばいですね。完全に調子乗ってますよね。14巻でパートナーができて、俺もいっちょ前に学年一の美女と付き合ったでぇ〜つって調子に乗ってるやつですね、これは笑

clp だからだいぶこのあたりは変わってますよね。ただ、anotherとどう変わってるかはわからない(註:相模・モブ子・モブ美が登場する流れは同じ)。なみもんさんはこのあたりまで読みました? 全く読んでなかったでしたっけ、another。

なみもん 読んでないですね。いい加減に読まないとな。


⑤そういえば、そんな意識高い系男子がいた記憶がある。

喫茶店にて折本とマラソン大会打ち上げの相談。雪乃と八幡は結衣を気にかけることで合意。いろは、八幡にデートコース考案依頼。折本と玉縄と会話。

clp 「そういえば、そんな意識高い系男子がいた記憶がある。」タイトルでも玉縄は名前を出してもらえない……。

一同 笑

clp ここはまずあれですか、いろはと由比ヶ浜が待ち合わせ、待ち合わせというか、一緒に来たの? っていう部分ですよね。

ひろたき pfさんがSPY×FAMILYのうんぬんって言及されてて。

clp スパイ適正と、こいつ殺し合いに向いているのでは的な話ですね(147頁)。ちなみに、一色の中の人がSPY×FAMILYでは後輩ちゃん(WISEの諜報員フィオナ)なんでしたっけ?

才華 そうです、後輩ですね(註:ロイド(cv.江口拓也)を「先輩」と呼ぶため既視感を覚える)。

clp なるほど。一色と由比ヶ浜が一緒に来たのはなぜ、っていうのは、どなたか意見あります? 何を隠しているのか、何をしてきたのか。154頁ですね。

ひろたき けっこう、やっぱりちらつくなやっぱり14巻が。

飄々図書室 そうですよね、やはり。14巻で結託したのがそのままの設定になってる、みたいなのを感じてしまう。

clp 諦めないでいいのは女の子の特権です(14巻、481頁)、のとこですか?

飄々図書室 そうですね。

なみもん 14巻から転生してきてるみたいな話を踏まえると、たしかにわかる。

飄々図書室 こういうのもファンサービスの一部に捉えられてしまう。だって、答え明示されてないじゃないですか、おそらく。この巻の中では。……そんなことはない? 僕は明示されてないように思って、だからファンサービスかなって。特に答えがないやつ。

ひろたき この章ですか、デート商法。

才華 そうですね、149頁とからへん。

ひろたき たしかに。どうなんだろ、言うのかな。デレる雪ノ下は10巻あたりでもあるのかな、っていう想像を巡らせていました。

才華 10巻はギリギリあるかもしれないぐらいかな。ないか。いやあるか……。

ひろたき 依存の話が出てたなら……、依存っていうか、「助けてね」(9巻、342頁)が出てるならどうなんだぐらいな感じですかね。

clp 13巻の一番最後で部室で向き合った時に、3巻で遊びに行った時もめちゃくちゃ緊張してとか、いろいろ言ってたじゃないですか(正確には「二人で出かけるのだってすごく緊張して、初めてでわからないことだらけで……」、356頁)。だから、こんなうぶな反応を示すというのは、私はそんなに違和感はないのですが。

ひろたき たしかに。まぁ、それまでに引っ張られすぎてる可能性はあるかもしれない。でも、この後に、「昔ほどひどいことはない」(151頁)がある……。

clp ……ちょっと話を戻しますね。先ほど話に出た、由比ヶ浜と一色が一緒に来たのが154頁くらいなんですが、その先の212頁、7章なんですけれど、「当たり前を守ろうって頑張る人も結構かっこいいと思いますけどね。そんなの見たら応援したくなっちゃいますよ」っていう一色の発言が、回収ではないかと思ったんですよ。

才華 というと?

clp 何かやっていると。噂の回収のために由比ヶ浜が一色と裏で動いていて、っていうののヒントを撒いているのかなって。まぁ、だから回収とは言えないか……。

才華 これヒントですかね? 回収と言えば回収ですけど。

clp この巻で言うなら、って感じですかね。

才華 これはもしかしたら次巻を待ってもいいかもしれないですね。ここで解釈つけることも多分にできるとは思うんですけど。

clp だいたい考えられるとしたらそれくらいかなーという感じでした。……これ飄々さんの「疫禍への言及」はこの章?

飄々図書室 そうですね。

clp あーここ地の文やたら長かったところね。166頁。やっぱり開き直ってる感じありますよね、全体的に。時代設定とか、ネタとか。

飄々図書室 どうでもいい話なんですが、ここでノンアル事情をばばばーっと喋って、その後に「などと、俺がなんちゃらしていると」みたいな構文が目につかなかったですか?

clp 引っかかったってことですか?

飄々図書室 なんか、このパターン多いなって思って。そういう書き方が多かったなぁって思った、ってだけの話です。

clp たしかに、けっこう最近確かに目につくような。……なんでしょうね、サウナあたりで悪いことを覚えたような気もしますけどね。

一同 笑

飄々図書室 サウナはたしかに、想起されますね笑

ひろたき サウナかなって言おうとしたんですよ笑 私がサウナ好き過ぎる説があったんで。

clp モクテルとかは話を深めます?

ひろたき モクテル……、流行ってるんですか?

clp わかんない……。我々は酒飲んじゃう人たちだから笑

なみもん ファミレス行き過ぎなのでは?

ひろたき ファミレスにモクテルが置いてあるんですか?

なみもん どっかの大手のファミレスが、ドリンクバーのディスペンサーでモクテル作ろうみたいなキャンペーンやってた記憶がありますね(註:みんな大好きサイゼリヤでした。当時のNews release。)。今もやってるかも。


⑥当然のことながら、平塚静にも十七歳だった頃がある。

結衣が誰かに告白される。平塚は八幡に雪乃の代わりに結衣を選んでも良いとする。

由比ヶ浜が告白される

clp 由比ヶ浜が告白されてる場面(181頁)を読んだ時、みなさんどうでした? 特にショックとかそういうのはなかった?

才華 むしろ書かれるべきことがやっと書かれたなって感じ。あんなに1巻で「ビッチ」とか言ってたのに。

clp 八幡のショックの受け方が、私が思ってたよりも大きいなとは思ったんですが、そういうのはみなさんなかったです?

才華 噂の時から、由比ヶ浜が言い寄られてることを考えたくないみたいなモノローグがあって、「ふーん、お前はそう思うんだ」って思ったっていう笑

ひろたき けっこう手前から過剰反応するし。そこには、必ず「そう考える自分はうんぬん」っていうのが付いているから、来るんだろうなとは考えていましたが。俺ガイル、こういうところは徹底的に避けるというか、やらないのかなと思っていたので、中心までそういうのが波及するのは意外だったかもしれないです。

clp ただ、由比ヶ浜結衣の物語なんだったら、ありと言えばありなんですかね。


「本物」はどこにいった?

ひろたき オチが「まだ紛い物でもいい」っていう感じでしたけど……、それで(八幡が)納得するかなってのはちょっと……。

飄々図書室 由比ヶ浜が告白されてこんなにショック受けてるのに、「紛い物の物語モック・テイルで構わない」(309頁)って着地でいいんですか、っていう感じですか?

ひろたき というよりは、ちらつくのは「本物」で。「本物」をやるにしてはこの論理では通らないんじゃないの、とは思いました。もうちょっと、(関係性への)ねじれみたいなのはないのかとは思ったんですが、どうでしょうか?

clp 9巻とかのあれこれが逆になかったことになってるような気配もありますよね。

ひろたき 9巻は通過してますよね。

clp 通過してるはずなのに、「本物」発言とか(255頁)、雪ノ下の「いつか私を助けてね」発言とか、もろもろあったはずなのに、そのあたりが薄れてるような気もするんですよね。

才華 意図的になくそうとしてる気もします。「本物」はもろ、そうですよね。本編が八幡主体の八幡視点の「本物」を重視する感じはあった。もちろん、雪乃と結衣の視点があるにもかかわらず、っていうのはそうなんですけど。別に雪乃は「本物」を目指してないわけですから、最初から。「結」はそれを変えようとしている雰囲気はありますよね。ま、そのせいで一貫性がないわけですけど。

ひろたき なくなるならなくなるでいいんですけどね。別の仕方みたいなのを期待しているので。「本物」じゃない仕方があってもいいはずなんだけど。オチで肯定的な着地をするのはちょっと怖いかな。

才華 モクテルが思いつきだっていうのは、あるよな笑

一同 笑

才華 絶対オチから決めたじゃないですか、これ。

clp たしかに。

なみもん それは言えますね。

才華 だからモクテルとか紛い物を一時的に認めるための説得力のある話はそんなに作れてないですよね。

clp 最後の締めの言葉はいいけど、それまでの……。

才華 納得し難くないですか。だから、もしかしたらその反省で次の巻ではやっぱり結2巻で思ってたことは間違ってたみたいな話が来るかもしれない。共依存の時みたいに。俺ガイルはいつもそういう反省があるわけですから。かもしんないけど、そのエクスキューズとしても、ちょっとどうなんだっていうのはわかりますよ。納得できるかな、って。

ひろたき だから、次……。次しか言ってないですけど笑 次巻なんだよなぁ。っていうのがモクテル周りでは思いますかね。


比企谷サイコパス説

clp モクテル周りでは、ゆきさんはどうでした?

ゆき ちょっと話ずれるかもしれないんですけど、181頁の由比ヶ浜を見つけたところの「なら、俺もちょうど部室へ行くところだし、一声かけたほうがいいかな……」という文章がすごく浮いて見えるというか、これ本当に比企谷か? って。1章とか直前とか、それまで一緒に部室に行く流れは由比ヶ浜だけがまだ続いてるものと思ってるみたいな感じのニュアンスなんですが、急になんか。比企谷側からこんな意図的に由比ヶ浜の告白を見に行かなくても、っていうのを思っちゃいましたね。

一同 笑

ゆき 何かを避けて偶然出会ってしまう方が比企谷らしいのでは、と思っちゃいました。

clp 一声かけたほうがっていうのがまずらしくないし、自らそっちに行っちゃうっていうのもらしくないし。

ゆき しかも告白を目撃するって、すごいこの手の主人公らしすぎて。……全部がモクテル頼みというか、結局モクテルで回収されてる……、回収されてるっていいのかわかんないんですが、全部が結局紛い物、それらしい物と言ってしまえばそれまでなので、意図的なような気がするんですが。それにしても浮いた文のような気はしちゃいましたね。……比企谷の文章で「〜したほうがいいかな……」の語尾に点が付くやつって、諦めてたり馬鹿にしたりする時の印象があるので、それ通りに行くっていう、その感覚が比企谷の中になかったっというのもあって、意外でしたね。

clp 周りに言われて仕方なくとか、そういうのではなく。

ゆき 「〜なんだよな……」みたいな言い方だったらすごいわかるんですけど、「一声かけたほうがいいかな……」なので、急に知らない人格が比企谷から出てきて。

一同 笑

才華 まじでそれ。

飄々図書室 めっちゃおもろい笑

ゆき 急に優しい比企谷が出てきて、と思いましたね。それこそ、「モブ美」って言ってる人から「行ったほうがいいかな……」って、なんか怖くないですか?笑

一同 笑

clp 同一人物とは思えない。

ひろたき サイコパスです。

clp 前に飄々さんが言ってたのかな、三浦に「いい人だなぁ……」(14巻、112ページ)っていうのがサイコパス系の素質があるって。突然自分が部外者みたいな感じで語りだすみたいな。

飄々図書室 雪ノ下にカフェで声かけなかったのと対比か何かになってるんですかね、物語的には。

才華 どこでしたっけ?

clp 143頁くらい。ここで声をかけないのは対比っていうよりは、物語上の要請っていうか、本編との違いを出すためにみたいな感じの気配がしますが、どうでしょう? それも合わさって、さっきの「作り物みたい」っていうのが、全キャラに何かしら当てはまるというか、突然意志を失ったかのように行動し出すというか。

飄々図書室 そうなんですよね。

clp おかしいな、ちょっと前までは小説がうまくなったとかいう話をしてたのに……。

ひろたき 気になるけど、おもしろかったというか、スラスラ読めたんだよな。

飄々図書室 スラスラはたしかに。

ひろたき 14巻なんてずっとサウナ周辺で止まってましたからね。許せなさすぎて。

飄々図書室 サウナけっこう長かったからだいぶ止まったんじゃない?笑

ひろたき サウナは許せなかったからめっちゃ時間かかった。

clp 雪ノ下に声をかけない八幡っていうのは、どちらかというとらしいと言えばらしい。

飄々図書室 らしいですよね。不自然さはなさそうな感じはしますけどね。

clp モブへの対応とか、さっきゆきさんが指摘してくださったところとかに比べると、八幡らしい部分はありますよね。

才華 やっぱいい奴になってるってことなんですかね。声かけないと結衣に申し訳がないから、みたいな。

clp ていうのと、噂を気にしてみたいな描写もなかったでしたっけ? 143頁か。「噂話が囁かれてる現状、余計なネタを提供する必要もないだろう」と。

才華 人のことをちゃんと考えてる。

ゆき てことは、「ここで一声かけたほうがいいのかな……」はおかしいことになりますよね。一声かけたら……。

才華 噂が。

ひろたき よりまずい。

才華 やっぱ章ごとに変わってる? 八幡。入れ替わってる?

ゆき ここでもっともらしい理由をでっちあげて声かけるか、だったら、それらしいと思っちゃうかもしれないですね。これはこれで、この巻はこれでいいような気もしてきましたね。

clp 一応、折本に追いやられてっていう理由もあり(結局は雪ノ下に声をかけて)ますが。なんかパラパラめくってると、説明臭く思えちゃうんですよね。「私のことより由比ヶ浜さんのほうが少し心配ね」(151頁)とか、誘導されてる気が……。

ひろたき 「他校の男子」(というジョーク)が雪乃から出るのは、ありえますか、普通に。

clp 148頁くらい?

ひろたき あ、でもこれは八幡から仕掛けてるから、いいのか。

clp 雪ノ下もけっこう謎というか、3巻くらいでデートしてた時は「一緒のお店に入ることを許可します」みたいな感じのことを(正確には「今日一日に限り、恋人のように振る舞うことを許可する、ということよ」、119頁)言ってたりしてたじゃないですか。

才華 うわ、なつかし。

一同 笑

clp そこらへんの雪ノ下ともまた違うっちゃ違うし。噂になる基準というか、これだったら噂になるんじゃないかって警戒するレベルがわからない気はしますが。

才華 逆に、そのガバガバさが高校生らしいと言えばらしいかもしれない。あんまりそこで成熟しすぎててもおかしいっちゃおかしいのかも。


平塚先生について

ひろたき 結1巻はけっこう二元論、二者択一が明示されていたけれど、結2ではここくらいですか。あ、そっちがメインじゃないんだ、とは思いました。二者択一を乗り越える的なのになるのかなって結1巻を読んだ時には思ったんですが。結2では、全体的に「結衣一択になるべき」というようなニュアンスを感じなくもないです。

clp やはり妄想日記説が(前回参照)。

一同 笑

才華 結1は拮抗してて、どうするんだみたいな状態だったけど、2巻はどうするんだも何も結衣しかいないしなみたいな、そういう状態になっちゃったんですよね。

clp だからかわかんないですけど、結衣ルートに入ったとか、そんな感じの感想も多かった気がしますね。完全に入っちゃったねっていう。

才華 文理選択みたいな話も、消えてないんだけど後景に退いたっていうのもでかいですよね。もっと二者択一的なものを強調するんだったら文理選択の話を残しただろうしな。

clp とりあえず、文理選択というか進路相談会に関連して陽乃も来ていないということですが。……飄々さんが書いてらっしゃったのは、「酔えない」などと絡めて考える、196頁(下記参照)。

「……けどね、君たちにとっては代替品なんかじゃない。むしろ、酔いで誤魔化さない、誤魔化せないからこそ、より純粋なものだと言える」

渡航.やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。結2(ガガガ文庫、小学館)

飄々図書室 これはたぶん、みなさん同じような感想というか、何かキーになる部分だと思ったのではないかと思うのですが、どうなんでしょう。

clp 本編の「酔えない」っていう部分を思い出させる読者サービスもありつつ。

飄々図書室 あと、もちろん「代替品」ももちろんそうですし、俺ガイル完を印象づけるというか、方向性を示すというか、そんな台詞になっているように思われ。

clp この196頁の「大事なのは気持ちだ」っていうのも、「心だ」っていう9巻の部分(226頁)を思い出しますが。

ひろたき 先生の言っていることは、けっこう変わらない気はしますね。

才華 間違ってても、「計算しかできないなら計算しつくせ」(14巻、228頁)みたいなのが、未熟さの肯定に繋がるのはちょっとわかる気がする。

clp わりと八幡は平塚先生の話を聞いてないなっていうか、196頁で先生が言ってるのは「どんな不格好なモクテルだって、そこらの安酒よりよっぽど上等だよ」っていう話なんだけど、結論は「今はまだ、紛い物の物語モック・テイルで構わない」なんですよね。ていうのはやっぱ話聞いてないなって。

一同 笑

pf 平塚先生、何も言わないよね、基本。耳障りはいいけれど。

clp で、その耳障りのいいことを都合よく利用してみたいな感じで、八幡が持っていくっていう。

pf テーマっぽいことを言うので。ひとつだけテーマをぶっこんで関係ないことをたくさん言うのが平塚先生の厄介なところ。

clp そういう飲む・酔う話があって、最後「初めて酒飲む相手はもう決めてるんで」(199頁)っていうの、飄々さん「なんで?」って。

飄々図書室 これ、「酒飲む相手」って平塚先生のことを指してるって理解でよろしいんですか?

pf 他に読みようがない。

clp そうですよね。3年後とかはいろはすを思い浮かべますが(14巻、475頁)。まぁ、それも読者サービスなだけで。で、初めて飲む相手をなぜ決めてるのかって言われると、それはそれで難しいですよね。一緒に成人した由比ヶ浜とか雪ノ下と一緒に飲んでもいいじゃないですか。その二人とかを差し置いてなぜ平塚って考えると、それはそれで疑問になりません?

pf 何を表現したいのかわからないんだよね。

飄々図書室 だから、もしかしたらこれ平塚先生を指してないのかと思って、読み直したんですが、どう考えても平塚先生なんで笑

pf 「甘くても苦くても酸っぱくても」「クレーム対象でしょ」(198頁)っていうのは。カクテルのクレームは甘いよなっていう駄洒落どこかにあるかな、みたいなこと探して読み直しました。

ひろたき これこそ、ファンサービス、じゃないですか。

clp 3年後の描写を見たいみたいな感想も見た気がしますね。

ひろたき 平塚ー八幡ラインがけっこう輪にかけて強くなっていたし、それを(無印最終章あたりから)繰り上げてこのへんでやってるみたいな。

才華 ここもゲームっぽくないですか? 平塚ルート。17歳の平塚もスチルで見れるし、3年後の酒を交わすスチルも描いてくれるっていう。

pf そっか、エンディングルート入り選択肢か、これ。

才華 私が画描けてたら、これ描いてバズってましたよ笑

一同 笑

才華 この画を描いて、結2の感想を落書きみたいな。あるんじゃないのかな。誰か描きそうな気がするけど。

clp 書記ちゃんへの対応とかも(204頁)、お前は本当に八幡か? って感じですよね。

pf 言ってることぐちゃぐちゃだ。まあ八幡だしな。


⑦毎度のことながら、比企谷小町は兄のことをよく見ている。

いろはは現状維持の努力を応援する。葉山は八幡を見透かし当てこする。小町は八幡に川崎沙希京華のクッキーを渡す。

「当たり前を守ろうと頑張る人」について

clp ここの進路相談会(210頁)で陽乃要素は抜けると。で、生徒会の独力で小規模にやっていると。

pf ここの本編との分岐に意味があるのかないのかってのがちょっとわかんないのがね。陽乃が出てくるとややこしくなるし。

clp 本編の10巻あたりだと、物語を先に動かすために陽乃ばっかり頼ってるみたいな、そういう感想もありましたけど。

pf 10巻あたりだと、陽乃が出てくると隼人くんが動くので、本編のマラソン大会には陽乃は絶対に必要だったよね。

clp ただ、葉山の進路問題がこちらではなくなっている。葉山ははやはち関連で勝手に動くと。……とりあえずですが、pfさんも飄々さんも挙げてらっしゃる、さっきも出ましたが、「当たり前を守ろうと頑張る人」。

pf まぁ、結衣だよね。

才華 うん。

clp まぁ、由比ヶ浜でしょうね、212頁。

pf たぶん結衣といろはす何かやってんのよね、喫茶店来る前に。結託してたみたいな。

clp やっぱそこですよね、繋げるとしたら。

ひろたき 何やってるかの時なんですけど、ここでいろはの「当たり前を守る人」が結衣を指しているのだとしたら、もうちょっと後で待たない方に舵を切るじゃないですか。それはつまり、いろはと喋ってる時はまだ舵を切ってないというか。

clp 舵を切ったっていうのは、マラソン大会の後の八幡との(266頁、下記参照)、ってことですか?

「あの噂のことさ……。あたしもなんかできるかなーって思ったの……。これなら……、隼人くんの噂、みんな気にならなくなるかなって」

渡航.やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。結2(ガガガ文庫、小学館)

ひろたき そうですね。そっちに行くにあたって、その前段階でいろはと結衣が喋ってるのかなって、思ったのですが。

pf それたぶん次巻だと思うよ。

clp そこはさっきも才華さんがおっしゃってたように、次巻だと。私は、噂の根源みたいなのを二人で探ろうとしてたのかな、みたいな妄想をしていたのですが。ていうか、それくらいしか可能性としては思いつかないのですが。

pf 噂に対しては誰も動く必要はないよっていうことになっちゃってる以上、結衣も動かないので、きっと。いろはと結託して結衣が取る行動がないのですよね。結衣はけっこう動いているとはいえ、その中でいろはが必要な行為というのがとりあえずない。

clp で、さっきちょっと話に出てたのが、14巻を経たキャラたちだから、あの「諦めないでいいのは女の子の特権です!」の人たちの二人組ではないかと。

pf それか笑 まあ次巻じゃない?

clp まあ次の巻ですね。


葉山と自転車ニケツについて

clp で、次、飄々さんの「自転車のニケツのところ、取ってつけたみたいだなって思っちゃった」。214頁。これもやっぱ不自然ですか?

飄々図書室 めちゃめちゃ不自然に思いましたね。

一同 笑

飄々図書室 好評な場面に水を差すようであれなんですが。

clp どの方面に好評なんだろうなぁ。

飄々図書室 感想見てると、ここ良かったって言う方がけっこう多い、けれども。

clp これはanotherでもあったみたい(h、67頁)。

飄々図書室 別に、なくていいじゃないですか、これ。待ち合わせして、近くに公園があったからそこで喋りました、でいいじゃないですか。それをなぜかわかんないけど、遠く離れたところに行かなくちゃいけなくて、という不自然な点が1つあって。で、ニケツを促すっていう不自然な点2があって、というふうに私には思えてしまいました。

clp むしろ不自然しかないみたいな感じになっちゃった、と。

ひろたき 本編時空の同じ時期だと考えるとやっぱり気まずすぎるだろ、というのはありますよね。あと八幡はごちゃごちゃと考えていましたが、自転車を押して歩くのはべつに変な行動でもないし……。だからあえてニケツを提案したあたり、やっぱり関係性は結構仕上がってるんじゃないですかね。

pf だって、ついでに言うと、あの陸橋が見えるとこよね。「掴めねぇんだよ」(14巻、393頁)の。

才華 うん。

clp 雪ノ下とのとこですよね。

才華 8巻とかで、サンマルクで座らないかって言われた時ですら拒否してたのに、八幡(199頁)。

clp それがもう、ニケツ。

pf この違和感って強烈に読み込んでる人じゃないとないからね。

clp そうなんですか。

才華 そっかぁ。

pf そうじゃないかな。書いてる側ははやはちを書こうっていう意図が絶対にあるのはわかるけどさ。

clp めちゃめちゃありますよね。むしろそれしか感じないというか。

才華 あるよ、絶対だって、ギャグ書こうって思ってるでしょ。それが「ギャグ」になるって認識はまずい気がするのだけど……

pf ここを読む人が、違和感まで覚えるかっていうと、どうだろう。

clp どうですかね。ただ、それなりに読んでるくらいの人でも、8巻の拒否とか、いろいろずっと見てるわけじゃないですか。アニメでもはやはちの、何ていうんだろ、踏み込まない感じのところとかを見てきてるわけだから。どうでしょうね。違和感をどこまで覚えるか。

ひろたき 一回やってるからできることなんですかね。ギャグというか。一回ループしてるからこれをおもしろい方に解釈できる?

clp 完結後だからできる、と。

ひろたき これが一回目だと考えると、まぁ、逆におもしろいけどな……。

才華 はやはちもそうなんだけど、真面目なことを言えば、はやはちで笑いを取りにいくのはけっこうアウトだけどな、っていう。あんまりよくはないんだが、そういうふうに狙いに行くのは明らかにファンサービスですよね。

pf これファンサービスはファンサービスなんだけどさ、同性愛方向のファンサービスではないでしょ。笑いでもないと思うな。ふつうに隼人くんは八幡の裏人格というか、同位体ですよっていう描写。新とか13巻は隼人くんと八幡がそういうふうになっちゃった話なんで。それの後を引いているだけという気がするけれど。隼人くんは八幡の裏返しだよねっていうのは、新とかだと露骨に書いてあるので。

clp 私はどっちかっていうと笑いを取りに行ってるっていうよりは、マジではやはちを書きたいのではないか派なんですけど。

才華 それは絶対にそうなんだけど、でもそうしたらニケツいらなくないかって思わないですか?

clp それは、はやはちを書きたいからじゃないです? いらないっていうのは?

才華 ニケツするとむしろ、はやはちを毀損しませんか?

pf 人によってニケツに対する抵抗とか違う? もしかして。僕は何の違和感もないのだけれど。男子校育ちなのでなんともっていう。

ひろたき 10代のはやはちの構図だと、ニケツには至らないんじゃないかなって私は思います。けっこう勇み足的にニケツにたどり着いているんじゃないかな。まぁ、私はしたことないんで知らないですけど。友達いないのがバレちゃう。

pf 自転車乗れないのがバレちゃう。……そんなに抵抗っていうか、意味のある行為なのか、そもそも。

飄々図書室 例えば、本編の方で「待たなくていい」(14巻、341頁)って言った公園とかあるじゃないですか、由比ヶ浜に。そこまでニケツで行きましたみたいなのがあれば、今回もそれを流用というか、ニケツをする意味があるんだな、と思うんですけど。でも、さすがにさっき言ったとおり、公園が遠くにあって、二人だけで喋んなきゃいけないからみたいな感じで、無理やりすごく遠くに行って、っていう。

clp 誰にも聞かれない話を、っていう言い訳はあるけど。

飄々図書室 なんか不自然なんですよね。

clp たぶん飄々さんが引っかかってるのって、例えば由比ヶ浜との14巻の公園での話も、誰にも聞かれたくないような話なのに、けっこう平然としてて。でも、なぜか今回に限って遠くに行くみたいな取ってつけたような理由に思えるみたいな、そういう話じゃないです?

飄々図書室 そうですそうです。

clp それはわりとわかるのと、それと私、このあたりの土地勘がまったくないから、そういう意味でもよくわかんなかったんですけど。話し終わった後、ニケツで連れられていった葉山くんが去っていくじゃないですか(229頁)。あれは、あの後どうやって帰ったんだろっていうのが本当に謎で。

一同 笑

clp でも土地勘がないからわかんないんですよね。

才華 一応、歩けるけど……

clp 歩ける距離ではある、と。

才華 歩けるし、バスもあるけど。

pf 隼人くん家、設定あるのかな。

才華 さすがに考えて……、考えてないのかな? ニケツには違和感がないんだけど、物語でニケツをすることには違和感がある。

ひろたき 大学生はやはちだったら、ギリ。かな。大学生っぽくないですか、全体的に。

clp 年齢層高めですね。

pf それを言うと、八幡くんめっちゃ頭よくないですか、今回。

才華 めっちゃ頭いいですよね。

clp 頭いいし、行動に卒がない。

pf まちがえないってそういうことよね。だからニケツもはやはちもメタな視点ではまちがってない。

clp そのくせ、由比ヶ浜の告白場面に自ら行っちゃうんですよ。

ひろたき あれですよね。「一声かけたほうがいいかな……」が浮いてるっていう話がさっきあって。

clp 由比ヶ浜を見かけたからといって、声をかけとくかみたいな発想には八幡は至らないだろって。

飄々図書室 この行だけ人格が変わってるんじゃないかみたいな。

pf 結の八幡はちゃんとそこは話しかける人だと思うなぁ。言葉にする話よね、動く話よね。逆にいうと、普通に小説を書くとそうなるので。

才華 だから結の八幡はコミュ障じゃないんだよ笑

clp 普通に小説を書くと八幡は本当に動かないから困るんですよね。

才華 千葉村行かない問題ですよね。性格的に八幡は絶対に千葉村に行かないはずなのに、どうやったら千葉村に行かせることができるのかっていうのを考える必要が出てくるのが無印だったと。(下記参照)

pf それは『レプリカ』の原稿書こうとして読んでる時にも思った笑


「平塚静の優しい説教を己の都合よく解釈した」

才華 さっきの平塚先生の話を都合よく解釈するみたいな話、普通に書いてあって、227頁の真ん中らへんに。「平塚静の優しい説教を己の都合よく解釈した」って。

pf あー、そうだった。

clp 書いてますね。

ひろたき これ、「都合よく解釈した」のは、何を指してるというか、どういう意図で言及されてるのかよくわからないんですけど。

才華 モクテルでいいんじゃないですか。

ひろたき モクテルでいいんですけど、モクテルの八幡の解釈はオチ(「紛い物の物語モック・テイルで構わない」)に繋がるじゃないですか。ここってオチの前段階だから、なんかピンとこないというか。平塚先生の解釈を否定するなら、オチが(平塚の)否定になっていないのは変というか。否定はしなくていいですか?

clp 否定はしないけど、そのまんま受けてはいないというか、都合よく利用しているというか。

ひろたき 何に利用しているんですか。

才華 大事なのは気持ちだって言ってるのに、紛い物の話にスライドさせてるし、未熟なままの思いでもいいっていうことになってて、気持ちが大事だっていうのと、気持ちが未熟なままでいいっていうのは全然違くないですか?

ひろたき この部分は、問題視したことに対する反省というか、原因をあげつらっている。

才華 そこもそうだし、あと、普通には「もう選んだのか」(188頁)って言われて、由比ヶ浜とかの話をしないで、「文理選択だよ」に乗っかって、すっとぼけをしたっていう。

pf それは説教じゃないじゃん。

ひろたき これ、陽乃に言われた時の八幡のモノローグとすごく似ている。その再演というか。共依存の時なんですが(12巻、346頁)。

pf 謎解きよね。

ひろたき 平塚先生が言ったことに対して八幡の解釈が飛躍しているのはわかるんですが、「それをわかっていながら俺はあえて問題視した」の部分に、繋がっていない気がするなとは思ったんですが。

pf 反省ではないです。「八幡くんは何を自分自身に言い聞かせましたか」っていう問題文です、これ。だから「義憤にかこつけて理由をでっちあげた」とか「真摯な言葉を混ぜっ返して曲解した」とか4つ5つ条件があって、で、「どう曲解した」とか「どう見過ごした」とか「どうお茶を濁した」っていうのを全部並べて、八幡くんが自分自身に言い聞かせていたのは何ですか? というのを問うている文章だと思います。

ひろたき なるほど。あー。

pf その答えを探さなきゃならないんだけど、俺ガイルってどうせ、それ全部出して考えてもその結論って、結衣が告白されてるのを見てムカついたとか、ドキドキしたとか、本当は結衣が好きなんだけどそれに気づかないことしてたとか、普通にラブコメ脳が至る結論と同じなので、あんまり考えなくてもよいのです。

ひろたき たぶん解決しました。解決する手段を得ました。

pf 違和感があるのは当然で、じゃあ違和感がない答えを探しましょうという文章です、と言いたかった。その答えを隼人くんが見透かしてるって書いてあるのがすごいよね。超はやはちよねって。

才華 だからやっぱ成熟しすぎで頭いい。


アニメ化したら台詞が理解不能になる?

clp ちなみになんですけど、この227頁のはやはちの見透かされてる場面なんですが、八幡の手はどういう状態なんです? 「口元を手で覆い隠し、息を震わせ」うんぬんって書いてあって、その次に「顔を覆った指の隙間から、葉山を睨む」(228頁)って、どういう手の当て方なんですかね、これ。

才華 これはルルーシュじゃないですか。

clp なるほど。

才華 それで伝わるんだ笑

ひろたき ここも率直ですよね。「嫌な言い方するな」とか、あけすけというか、素直だなって思っちゃいました。受け入れるのが早い。

pf これアニメにすると絶対意味わかんないと思わない? アニメっていうか、台詞だけを見てると、八幡のモノローグなしで。

ひろたき わからなさすぎる。

才華 『続』をアニメで初めて見てた人はみんなそんな気持ちだったのかな笑

clp たぶん笑 飄々さんとかどうでした? 『続』を見てて。

飄々図書室 そうですね、謎解き甲斐があったというか。原作読んでわかることがけっこうあったような気がしましたね。嘘告白のところとか、アニメだけ見ても何が何だかわからなくて、原作読んだらちゃんと書いてあったから、ああなるほどねって。……一ついいですか。228頁の「男の嫉妬は醜いって話さ」っていうのは、比企谷と由比ヶ浜は両思いですよと、でも、葉山は陽乃と片思いでしかないので、比企谷のことが羨ましいなっていう理解ですか、これは。

pf これ、結衣関係ないよね。

clp 君を見つけた途端うんぬんっていうのは、陽乃と『結1』で買い物に行って……(256頁、281頁)

飄々図書室 ああ! わかりました。全てわかりました。了解です笑

pf だけど八幡くん絶対誰のことなのかわかってない笑

ひろたき 何の話、すぎますね。

clp 葉山と八幡に陽乃の観測具合に違いがあって、あれが楽しそうと八幡は思えない、と。けど、でも葉山はめっちゃ楽しそうやんあの人みたいな感じで思っちゃうと。

pf 二人で楽しくじゃないよね笑 この会話すごい好きなんだよね。

clp やはりはやはち。


つづく

「俺ガイル結2感想会。完」に続きます!

この記事が参加している募集

文学フリマ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?