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大好きな彼に振られ、ラコステのハンカチを2枚貰った。

私には大好きな元彼がいる。

付き合っていた時点で、元彼みんな好きだが、その中でもある元彼(以下A君)は

生涯お付き合いした人の中で、一番燃える恋愛をした人だと思う。

ちなみに、A君は以前の記事で書いたように

私を振ってからも、私の恋心を延ばしに延ばしたのだ。

今思うと、あの時の私は「本日閉店!最終セール!!」を信じて

何度も店に訪れるカモだったに違いない。

そんなA君に振られても、メール(当時はLINEが無かった)がくるたびに

私は日本海のごとく、そしてゴジラのように騒いでは泣いていた。

前を向くキッカケ=走る

日本海で騒ぐ涙のゴジラも、毎度となるとさすがに疲れる。

家に帰りながら「家に着いたらA君に返信しよう…」と

少しでも返信時間を設けようとする自分にも嫌気がさした時、

家につく100m手前くらいで

“走ろう”

とふと思ったのだ。


ちなみに私は元陸上部でも何でもなく、ランニングシューズもない。

でも、家に着くや否や、姉のよく分からないなんちゃってスパイクを借り

どこぞのブランドが分からないが2,980円で買った真っ黒の安いジャージに着替え

再度外に飛び出した。

なるべく人通りが少なく

でも暗すぎない交通量が多い道を

ひたすら走った。

正確には500mの直線の道をひたすら往復した。


30分くらい走ったあたりで汗がだらだらだった。

うーん爽快。

星も綺麗だなぁ。

あれ、私って何に悩んでたっけ…あ、そうだA君からメールが着ていたんだ。少しでもよく思われるようになんて返すか悩んでたけど、まぁいっか!


この辺りから、A君の想いは変わらないがくよくよ落ち込むことはなくなった。

ただパブロフの犬のように、A君の事を考える=走るという回路になり

その結果私は3kg痩せたのだ。足が私史上美脚になった。


時は流れ、社会人

田舎に住んでいた私は、大学卒業とともに都会に引っ越し

念願のデザイナーとして働いた。

もちろんA君からの連絡は変わらず絶妙なタイミングできていて

こない日でも夢に出てはパブロフの犬になり、走っていた。

ちなみにこの頃になると、A君に関わらず

もやもやしたりアイディアがでなかったりすると

近くの河川敷をよく走っていた。

当時は残業で深夜11時に帰ろうが疲れていようが走っていた。

今思うと、仕事後でも暗闇の中、走っていた若さに驚くわ…


社内マラソン部

ある日、社内にマラソン部があることを耳にした。

かつては社内の半分がマラソン部だったらしいが

今ではほぼ活動0らしい。

それなら逆に参加しやすそう!と思い

マラソン部のかつての部長と部員を誘い、計4人で走った。

それまでは1人で走っていたが、皆で走るのもそれはそれで楽しかった。

部長含めメンバーはまぁまぁの地位の人なので

私は何ともラッキーなことに、好きな事でコミュニケーションをはかれたのだ。

これぞ走りケーションである。


かつての部長、再熱

幽霊化した社内マラソン部に入り、半年位経ったある日

かつての部長が「マラソン部には一大イベントがある」と教えてくれた。

どうやら、会社がはいっている保険組合が1年に1回、5kmマラソンを開催しているらしく

黄金期のマラソン部ではそれが最大の見せ場だったらしい。

部長は熱を取り戻したのか、もう一度参加しよう!と提案したのだ。

正直その時の私は、タイムにこだわりは無く

何なら走っているときの頭の片隅には常にA君がいて

熱を取り戻した部長に反し、私はヨコシマだらけだったのだ。

まーゆるい部活になっている事だし…と思い、とりあえず参加した。

結果は何位か忘れたけど、まぁ楽しかった。


エスカレーター式な部長就任

時はさらに1年経ち、ゆる〜くながらもマラソン部は継続していた。

「そ〜言えばそろそろ5kmマラソンの時期ですね〜」と

かつての部長に伝えたら

「そうだな、お前が部長になる時がきたな。」

え?!?!?!?どうしちゃったの、かつての部長。


どうやら部長は心のどこかで世代交代を早くしたい!と考えていたらしい。

社会人2年目でまだ満足に実績を出せてない私が

部長だなんて早いのではと思ったが

まぁ部活っていっても月1くらいの開催だし、

ゆるい感じで良いって言っていたからいいか、と切り替え

「わかりました、がんばります☆」みたいな感じで返した。


しかし変な所で真面目な私は、部活以外でも自主練をして

かつてのパブロフの犬も、手段が目的になり

走ることに命をかけていたのだ。

もはや走れメロスではなく

「走れパブロフの犬」である。


結果、5km26分42と私の中では新記録を達成した。


そして部長就任式も高架下の居酒屋で行われた。

走りきった後のビールは美味しかった。


小洒落た小包

5kmマラソンと部長就任も無事に幕を閉じ、

忘れた頃、什器プレゼンの資料を作っている私の元へ

総務が小洒落た包みを持ってきた。

「5kmマラソンの入賞贈呈品です」

うっっっっっっっそ!!入賞してたんかい!!!笑


かつての元部長も「あの大会に贈呈品なんてあるんだな」と私の横に来て

一緒に開けた。

中にはラコステの可愛いタオルハンカチが2枚はいっていた。

ラコステをクロコダイルと言っていた位だから興味がなかったけど

入賞したことが何より嬉しかった。


そして、頭の片隅にいたA君を思い出した。

その時、

パブロフの犬は

“走ること”から

“ラコステのタオルハンカチ”に

のりうつったのだ。


おわり

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