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#15 「ものづくり」で大切なこと・難しいこと(所見を書く時に感じたこと)

小学校の教師をしています。
今一学期の所見を考えています。

「もっといい文を書きたい」と思うのですが、なかなかうまくまとまりません…

所見を考えながら、ふとスタジオジブリの「魔女の宅急便」のあるシーンを思い出したので、紹介したいと思います。(ただの現実逃避かもしれませんが、お付き合いいただければ幸いです…)



魔女の宅急便の作中で、絵描きの「ウルスラ」という女の子が登場するのですが、主人公のキキに対して、「スランプに陥った時の対処法」をアドバイスするシーンがあります。

ウルスラは「(納得いく絵が描けない時は)描いて描いて描きまくる」というセリフをいうのですが、

このセリフはいつ聞いて「ものづくりの本質」を突いている言葉だよなと感じます。

私は大学時代、教育学部の美術の専攻だったので、この言葉にものすごく共感できます。

(全然関係ありませんが、このウルスラというキャラは、主人公キキと同じ声優の高山みなみさんが演じています。この二人が会話する「描いて描いて描きまくる」のシーンは同じ人物が自問自答するような感じになるので好きです。)

「描いて描いて描きまくる…」
大学を卒業して、小学校の先生をしている今でも、これと同じような感覚になることがあります。

今回そのことについて紹介します。


私の頭の中には、
「もっとも面白い授業をしたい…」
「もっといい所見の文書を書きたい…」
「もっとみんなが楽しめる研修を提案したい…」

といった自分なりの小さな目標がいつもあります。

仕事は、何年かやっていくうちに、慣れてきて作業自体は速く効率的にできるようになっていくのですが

授業でも何でもそうですが、何度もやっているうち、それが当たり前になってくると、自分のなかで「全然面白くない」と思ってしまうことがあります。

技術や経験が上がるほど、やり方や実態を知れば知るほど「あ。これって、誰かもやっていたことじゃん」ということにも気づいてしまいます。(これと同じようなことをウルスラも言っています。)

今回ものづくり(今の私の場合は、作品ではなく主に「授業づくり」ですが)で大切にしていることを順番に整理してみようと思いました。


①    まず数をこなします。(たくさん文章を書いてみたり、たくさん実践してみたりとにかくジタバタしてみます。)


②    数をこなすと「あ、こうすればいいのか」という傾向やルーティーンが見えてきます。(この決まりが見える瞬間までは面白いと思います。)


③    しかし、②のやり方を繰り返していくと、パターン化されてきて、つまらないことに気づきます。

(※ここからが私なりの考えになりますが)

④    それが「つまらない」と思ったら、ひたすら今度は「そのつまらない」ことの違和感を分析するようにします。

この「分析」が大切な気がしています。「自分のつまらなさ」に気づけているか、そして、この「違和感の正体が何なのか」を考えようとしているか、「つまらないと思っていることが何か」が分かるかどうかが結構重要だと思うのです。(あくまで私の個人的な考えです。)


⑤    「つまらないこと」を分析した結果、次にそれを乗り越えるための、なにか新しい視点がないか考えます。

自分の頭の引き出しではがんばっても見つからない場合があるので、全く違うものを参考にしたりすることもあります。(ウルスラのいっている「そんな時は散歩したり、景色を見たり…」するという感覚に近いと思います。)


⑥    いろいろな刺激を受けながら、「これは何か使えそうだぞ」という情報やアイディアを、ノートやパソコンなどにメモしておきます。

(新製品のお菓子や、イルカショーみたいな授業と全く関係ないものからなにかヒントになりそうなものを得ることもあります。)


⑦    そして体調のよい時、時間に余裕がある時に一気に集中して形にします。

集めた情報を組み合わせて何かできないかを一気に考えます。
ここは大喜利に近い感じで、ひらめいたアイディアの中で使えそうなものをさらにブラッシュアップさせながら形にしていく感じです。

この流れが、ものをつくったり、創造的な仕事したりする上で、自分が割とよくやっている流れかなと思っています。



授業をつくる時でも、何か絵を描く時でも、指導案などを書く時でも、何でもこのような順序で考えているような気がします。

自分の中で「何かこのパターン飽きたな」と思ったら、まず書いてみる、やってみる。

そのうえで「うーんなんかイマイチ」と思う時は、さらに上の解像度や視点で見ていくことが大切なのかなと思います。
それを続けることで、今までとは違った次元のものが生まれるような気がします。



今書いている、所見文だったら「いつもと同じ感じでつまらないな」と思ったら、今の自分の文章に何が足りないかを考えてみます。

・その子を表すエピソードをもう少し欲しいな
・エピソードとその子の性格が一致していないな
・子どものやったことの価値づけが足りないな
・もっとわかりやすくて、頭に残るフレーズにできないかな
・その子の「今までの背景」と「今学期やったこと」が「将来」につながるような文章にしたいな
・もっと滑らかに読みやすい文章にしたいな

など今の自分に足りていないものを分析します。

このように言語化できると次にこうしたものをつくりたい、書きたいというコンセプトが見えてくるので、自分の場合ちょっとやる気が出てきます。

(もちろん全てできているとは思っていませんが、自分に足りていないものが見えた時の方が、「いいものを作ろう」というモチベーションは上がっているような気がします)


前回#11の「私の所見の書き方」では、やや具体的な手立てを紹介しましたが、今回はアイディアを生み出す順序を紹介してみました。


余談ですが
ウルスラは「描いて描いて描きまくる…」
それでも書けない場合はまず「描くのをやめる」
と言っています。そこから「散歩したり、景色を見たり、昼寝をしたり、何もしない。そのうち急に描きたくなる」ということ言っています。


しかし今の私には締め切りがあるので「書くのをやめて、何もしない」という選択肢はなさそうです…
でも締め切りがあるからこそ、よいアイディアが生まれることもあると思うので…
とにかくあと一日少しでもいい文章になるようにジタバタしてみようと思います。

私の現実逃避の文章に付き合っていただきありがとうございました。
もしこれを読んでいらっしゃる小学校の先生がいましたら、あと少しで一学期が終わりますね。
どうぞお体に気をつけて、お互いよい終業式を迎えられるように頑張りましょう。