衝撃の出会い2
彼は突如、人物というよりも写真として現れました。
「会って10分でこれ」
と、普段あまり表情を見せないイメージの友人が、彼とスキンシップをしている写真を見せてきました。
狐にも騙されたような気分で、どのくらい時間が経ったかも分からないまま、その写真を見ていたような気がします。
写真なんか見ていなかったように時間が過ぎて、3ヶ月くらい経った頃でした。
自分のやっていることに限界を感じ、もっと自分以外の世界を知らないといけないという危機感に駆られ出した頃、ふと友人の顔が浮かびました。
彼に教えてもらった場所であれば、何か変えられるかもしれない。
少し緊張しながらメッセージを送ってみれば、返信は快く受けれてくるような内容で、喜び半分と、罪悪感半分。(別れがほぼ失踪だったので)
そのことをきっかけにかれこれ、初めて出会ったのはこの上なく美味しいコーヒーを飲める部屋でした。
入る前に彼と目が合ったので「友人から聞いているよ」と伝えたら、聞いていた通り頬擦りをしてきました。恐ろしい男。
でも、間違いないのは、初めましての人に偏見なしでここまでできるというのは、自分にとってそれこそ、この上なく重要なことを教えてくれる存在だと感じていました。なんの根拠もなく。
それ以来、目はあっても不思議な顔をされるので、忘れられたんだろうな。
だから、「ずっと喋りたかったんだよね。」と連呼していた当時は、必死に彼自身にも言い聞かせていることだったんだろうと今でも思っています。
初めて話したのは、友人の友人の誕生日会。
夜中、バースデイボーイの家に泊まってケーキにお菓子にバースデイムービーに見てガキの如く騒いでいました。
初めてまともに喋った彼は、思っていたよりも頭のいい面白いやつで、想像以上に愛情より笑いでした。
初めて話したやつとベランダで爆笑したなんてのは、彼が最初で最後になるんではないでしょうか。
後日、彼から”唐突なお願い”が来ました。
「友人を励ますメッセージ動画を送ってほしい」
単純で簡単なお願いを、しつこいほど丁寧に長めの文章で送ってきた時には、同じ年数生きて彼ほどに出来上がっている人間がいるのかと驚かされました。
その日、翌日の友人主催のサウナを境に、連絡を頻繁に取るようになりました。
衝撃はその翌週かの夜でした。
彼と二人で話す機会を設けました。
僕は、あまり彼と深く話せなかったから。
彼は、僕との心の壁を破る糸口を探りたかったから。
たった2時間で、価値観の一つや二つくらいが180度ひっくり返るような時間でした。
前にも書いたので、ここでは深くは書きません。
ほぼ初めてサシで話した内容とは思えないほど、ぐいぐい入り込まれてきましたが、相手は彼だったのでそこまで不快ではなかったのもまた不思議です。
半開きの瞼で必死にさまざま話を聞いてきた彼の表情は今でもなんとなく覚えています。
文字通り必死でした。
月日は流れて今日に至ります。
二度目のサシでした。
カラオケで熱唱してから、ご飯を食べるっていう、ありきたりにも程がある日でした。
でも、それで十分なのも彼だし、いい時間を過ごすためにあまり多くを考える必要がないのも彼です。
僕にとって、希少な存在だと思います。
出会ってたったの3ヶ月、会う頻度だってそう多くない彼が、どうしてここまで印象に残るのか。
今日、この記事の内容は薄っぺらくても、
これからだんだんと濃いものになっていくんだろうと。
彼は、この僕に、そう思わせるような人間です。
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