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平均来店者数の150%超え!銭湯コミュニティマーケティングの実践記録

台東区にある銭湯(湯どんぶり栄湯)のオンラインコミュニティを運営している”ふがし”です。

高知県の入浴剤メーカーとコラボした「松田医薬品ジャック」を企画してお店の平均来店者数150%超えを記録し、更にはSNS上で多数のUGCの創出にも成功してXのトレンドに初めて入ることができました

このnoteはコミュニティメンバーと一緒に松田医薬品ジャックで来店者数を増やすための施策をまとめたものです。

コミュニティとの共創を通じたビジネスやマーケティングに関心がある方に、読んでいただけると嬉しいです。


そもそも「湯どんぶり栄湯」「松田医薬品ジャック」とは

施策内容を紹介する前に湯どんぶり栄湯松田医薬品松田医薬品ジャックについて説明をします。

前提-1:湯どんぶり栄湯とは

湯どんぶり栄湯は台東区の三ノ輪駅で75年以上の歴史がある老舗の銭湯です。ファンの方ともっと距離を縮めるために銭湯業界初のオンラインコミュニティ「湯どんぶりの待合室」を開設しました。

前提-2:松田医薬品とは

松田医薬品は高知県の老舗の企業です。”本物の生薬の入浴剤”をつくっていますが、OEM(受託製造)がメインで自社商品の入浴剤の認知・販売・ファンづくりに奮闘されていました。

前提-3:出会い

松田医薬品との出会いのきっかけは高知県で毎年開催されているCLS高知というイベントでした。

松田医薬品の取締役の松田さんとわたしが出会って湯どんぶり栄湯×松田医薬品のコラボが決定しました。

2023年10月のCLS高知

前提-4:松田医薬品ジャックとは

湯どんぶり栄湯はスーパー銭湯なみに浴槽があります。しかし、75年の歴史で一度もすべての浴槽に入浴剤を投入したことはありません。

コミュニティメンバーさんの声から松田医薬品の入浴剤で湯どんぶり栄湯の浴槽をジャックする!という松田医薬品ジャックを企画が始まりました。

5月12日~14日の3日間限定で開催

松田医薬品ジャックまでの流れ

松田医薬品ジャックはすぐに開催することはしませんでした。

なぜならすぐに開催しても湯どんぶり栄湯の既存のお客様だけが松田医薬品のことを知るだけになりそうって思ったからです。

松田医薬品ジャックは湯どんぶり栄湯の来店者数を増やして(目標は120%でした)、松田医薬品の認知度向上・ファンづくりに貢献するつもりでした。

そのためには当店のコミュニティ内で松田医薬品のエンゲージメントを高めてから松田医薬品ジャックを開催したほうが来店者数、つまりは松田医薬品の認知度向上とファンづくりになるだろうと思いました。

4つのフェーズを設けてそれぞれのフェーズごとに施策を打ちました。

まずは当店のコミュニティの中でもコア・アクティブなメンバーさんと松田医薬品の松田さんが仲良くなることを目指しました

なぜならコア・アクティブな人たちは行動力・発信力が高い人達です。

コア・アクティブなメンバーさんが同じ神輿を担ぐ「仲間」になってくれたら松田医薬品ジャックの成功する確率は高まるだろうと思いました。

それでは、それぞれのフェーズごとに目的と行った施策内容を書いていきます!!

1:出会う

1‐1:顔が見える関係性をつくる

出会うのフェーズでは「商品(入浴剤)」ではなく、まずは松田医薬品さんの松田さんの想いを知ってもらうことを目指しました。

そのための手段として松田さんをコミュニティのオンラインイベントにゲストスピーカーとして参加してもらいました。まずは松田さん個人がコミュニティメンバーさん達に想いを知ってもらうところから始めることにしました。

1‐2:情緒価値を伝える

イベントでは松田医薬品さんのオリジナルの入浴剤の紹介だけではなく、自社の入浴剤の想いも語ってもらいました。機能価値(商品)だけではファンになりづらいので想いを語ってくださいと事前に伝えていました。

想いを語る松田さん

イベント後にアンケートをとったところ松田さんを応援するメッセージが多数届いていました。目的どおり松田さんの人柄が伝わったようでイベントがきっかけで松田医薬品を推してくれる人ができました。

「松田医薬品さんの入浴剤に実はまだ浸かったことがないので、今日のお話を聞いて俄然楽しみになりました!」
「湯どんぶりでの松田さんとのリアルイベント、楽しみにしてます!」
「入浴剤を作っている方の裏話が聞けて良かったです。」

このイベントで松田医薬品ジャックの構想を伝えてどれだけの人が「行きたい!」と思ってもらえるか?をアンケートをとりました。その結果、96%の人が行きたいと答えてくれました。

1‐3:余談(集客の裏側)

イベントは最初から集客が順調ではありませんでした。そこで松田医薬品の入浴剤を参加者全員にプレゼントすることを集客期間中に発表したところ、約40名の方がイベントに参加してくれました。

今になって思えば松田医薬品(松田さん)がコミュニティ内で知られていないのでイベントを開催しても「参加したい」と思う気持ちは生まれづらいよな・・・と思いました。

なのでサンプリングという手段を使うことを途中で決めました。

2:熱中する

2‐1:松田医薬品WEEK

松田さんの人柄を知ってもらった後には好意度が冷めないうちに”松田医薬品WEEK”と題した松田医薬品の入浴剤を湯どんぶり栄湯で体験する週間イベントを開催しました。

松田医薬品WEEKで松田医薬品の入浴剤を知った方も多くいました。

このフェーズで松田医薬品の入浴剤の機能価値を実際に体験してもらうことで松田医薬品推しの人を増すことに成功しました。

3:感謝する

3‐1:生薬のオリジナル入浴剤づくり体験会

感謝のフェーズはコミュニティメンバーさんが松田医薬品に対して「ここまでしてくれてありがとう!」という感情になることを目指しました。

そのために松田医薬品の松田さんと社員さん達に高知から来ていただいて湯どんぶり栄湯の浴室で入浴剤づくり体験会を開催しました。

この体験会もコミュニティ限定のイベントにしました。

この記事を読んでくれているあなたも同じような体験をしたことをあるかと思いますが、リアルで会うことで一気に関係値が深まりませんか?

あと”推し”と”推す人”の間に「壁」があると思いますがリアルで会うことでその壁が無くなりました。そして最後のフェーズの「仲間化」に繋げていきました。

3‐2:オリジナルの入浴剤開発

更に入浴剤づくり体験会にコミュニティメンバーさん×松田医薬品でオリジナルの入浴剤を開発する会議を行いました。

男性の意見は「こってりとした汗がめちゃめちゃ出る入浴剤がいい」で女性からは「湯船に浸かりながら癒やされるチル的なのがいい」という意見が出たので2種類開発してもらうことになりました。

入浴剤メーカーと共同で入浴剤を開発するという体験はレアなので参加したコミュニティメンバーさんはますます松田医薬品へのエンゲージメントは高まっていました

4:仲間化

4‐1:コミュニティから仲間を募った

「出会う」→「熱中」→「感謝」のフェーズをひとつずつ丁寧につくっていきました。最後は「仲間化」のフェーズです。

ここまでのフェーズを経て、コミュニティ内で松田医薬品の認知度は爆上がりしていました。

「一緒に松田医薬品ジャックを盛り上げたい」というメンバーさんも居るだろうと考えてコミュニティ内で松田医薬品ジャックの”広報委員”を募集しました。

広報Tシャツをつくったことで”チームビルディング”に寄与

広報委員は3つの山のうちのひとつでした。松田医薬品ジャックでは大きく3つの話題の山をつくって、コミュニティの中と外で期待・盛り上がりをイベント前から高めるようにしました。

山をつくってお祭り感を出した
コレクター魂をくすぐりませんか?

デザイナーでもあるコミュニティメンバーさんにステッカーのデザイン制作を依頼し、更にはSNSで松田医薬品ジャックのPR活動も協力してもらいました。

外部のデザイナーに依頼していたらPRの協力も難しかったと思いますが、コミュニティメンバーだったので快く協力をしてくれました。

デザイナーの方にはファンがいるのでデザイナーのファンも来店してくれました

4‐2:広報委員の選定・キックオフMTG

広報委員を選定する時にどの方法があるか?を考えました。すると下記の3つの選定方法があることを知りました。

5名募集のところ数日で15名以上の方が応募してくれたので早期受付終了しました

今回は自己応募制にしました。そしてすごく悩んだのですが広報委員は申込み者全員ではなく申し込み者の中から選ばせていただきました。その理由は2つありました。

1:広報員に選ばれたことの嬉しさによりコミットメントが高まると思った
2:目標達成のためにチームづくりを行う必要があったため

お申し込みページにはいくつかアンケート項目を用意しており、そのアンケートの結果を点数化しました。そして20点満点中10点以上の方を広報委員として任命させていただきました。

キックオフMTGでは広報委員メンバーさんに「松田医薬品ジャックを沢山の方に知ってもらって来店してもらうためには?」のアイディアを一緒に考えてもらいました。

すると想像以上のアイディアが出てきたので実現可能なモノを選定してPR戦略をつくりました。

自分と松田医薬品だけでは浮かばなかったであろうアイディアもあり、コミュニティのチカラをこの時も実感しました!

アイデアを考えてもらっただけではなく広報委員と下記の施策を行いました。

【広報委員がメインで行ってくれた施策と活動】
・松田医薬品のインタビュー記事の作成
・松田医薬品ジャックの告知チラシの配布
・松田医薬品ジャックの案内チラシの作成
・松田医薬品ジャックのPR動画の作成
・プレスリリース内に広報委員のコメント
・宣伝スペースを共同企画&運営
・オンラインイベントの登壇
・松田医薬品ジャックの前日祭の運営
・入浴剤の投入式をインスタライブで配信
・熱波師の広報委員による熱波イベント実施

詳しくはnoteにまとめているのでよかったら読んでください。

5:入場制限になるほどの来店者!

お客さん増えるかな…とドキドキしてましたが杞憂でした。

松田医薬品ジャックはこのnoteのタイトルにも記載したように松田医薬品ジャックを開催して平均の来店者数の150%超え、そして初のXのトレンド入りという成果になりました!!

松田医薬品さんの認知・ファンづくりのために設定していたSNSのUGCの創出数・来店者アンケートの目的数値もクリアすることができました!!!

嬉しすぎて泣きました😭

この成果は湯どんぶり栄湯と松田医薬品だけでは絶対に無理だったと思います。コミュニティメンバーさん達が『松田医薬品ジャックを盛り上げよう!』と協力してくれたからこそです。

コミュニティの活性化は超大変(本当に・・・)ですがコミュニティは確かにビジネスに貢献するんだと実感しました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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