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色川武大/阿佐田哲也

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大好きな作家、色川武大についての記事を掲載しています。
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色川武大「百」

色川武大「百」

色川武大「百」は川端康成文学賞受賞作品です。
「生家へ」のように、父親との関係を主軸に置いた作品ですが、この短編においては老いた「父親」と作中の「私」との関係が描き出されています。
老い衰え行く「父親」のを見、その中で移ろいゆく「私」の心境が淡々とした筆致、平明な文書で表現されます。

あらすじ「弟」の嫁からの電話で、「父親」が「母親」を縁側から突き落とし骨折させたという知らせを受けた「私」は夜中

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色川武大・阿佐田哲也佳撰7品

色川武大・阿佐田哲也佳撰7品

戦時中の動乱から昭和の終わりまでを生き抜いた色川武大。
今回はその作品の中から代表作7つを厳選してご紹介致します。

「怪しい来客簿」  1977(昭和52)年、色川48歳の年、泉鏡花賞受賞。
 1961(昭和36)年、色川32歳、「黒い布」での中央公論新人賞受賞以来沈黙していた色川武大の名を再び世に知らしめた作品です。
 戦時中に見た人々の様子を独特なタッチで描く「空襲のあと」や中学の級友との

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放埓の人―色川武大・阿佐田哲也の生涯

放埓の人―色川武大・阿佐田哲也の生涯

 色川武大といえば、無頼の人というイメージを皆さん持たれていることであろうと思います。事実その通りで、幼少の頃は浅草に入り浸り、戦後は博打うち、そして小説家へと色川独自の道を進んでいきます。
 今日は、そんな色川の流転の絶えぬ人生を、年代を追って辿っていきましょう。

なお、『別冊・話の特集――色川武大・阿佐田哲也の特集』、『色川武大阿佐田哲也全集』第16巻収録の「年譜」を参考にさせていただきまし

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色川武大のこと

色川武大のこと

色川武大という作家について、これから少しずつ書き溜めていこうと思います。

理由は、私が色川武大が好きだから、という理由と、私が学生の頃卒論を書く際に先行研究が少なく苦労した経験があったので、これから色川を研究したいと思ってらっしゃる方の一助になればと考え、この試みを始める次第です。

とはいえ、色川武大の魅力を感じていただけるような軽い読み物にできればと思っていますし、ただ色川を研究したい、とい

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