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自発的な社員はどうすれば育つのか? ~JリーグFC町田ゼルビア黒田剛監督からの学び~

こんにちは、お金が入るでかねいりです。

先日、ある企業に訪問し、人材育成の場面で、社長や幹部に「社員に期待することはどのようなことですか?」と聞くと「自発的に考えて、行動できる社員になってほしい」という話をされていました。

実はこういった声、多くの企業で耳にします。経営者として組織作りをおこなっていく上で重要なテーマであることがわかります。

今日は「自発的な社員は育つのか、育つとすればどう育てれば良いのか」について考えたことをお伝えできればと思います。

■中堅・中小企業の多くの社員の傾向

中堅・中小企業の現場でコンサルをしている中で、多くの社員の方々が、会社や仕事に対してあまり良いイメージ・印象を持っていないと感じています。

具体的に言えば、仕事は「お金をもらうための手段」で「つらいもの、大変なもの」。そのため、やらせれ感が強い社員が多いと感じます。

「やらされ感=言われたことをやる」という状態なので、自分から考えて行動するということにはなりづらい

そうした中で、どうすれば自発的な社員が育つのでしょうか?

■会社が・仕事が「自分ごと」になるか

ポイントは「自分ごとになるかどうか」ではないかと考えます。
言い換えれば「当事者意識を持てるかどうか」

目の前の仕事が「やらされているもの」ではなく、「自分の意志でやっているもの」になるかどうか。

例えば、お客様第一という考え方があります。お客様の視点に立って考えて行動するというもの

頭ではわかっても、なかなか行動に移すのは難しい。その境界線は、目の前の仕事が自分ごとになっているかどうかだと考えます。

自分ごとになっていれば、お客さんに対して「自分だったらこういうことをしてくれたらうれしいな、お客さんだったらどう思うかな」という発想が生まれる。

言い換えれば「自分という媒体を通して、お客さんの立場を考える」ということができるかどうか。自分事になっていないと、自分を媒体にするというプロセスにたどり着きません。

では、どうすれば、目の前の仕事を「自分ごと」として捉えられるようになるのでしょうか?

■町田ゼルビア黒田監督の考え方

そこにヒントを与えてくれたのが、今サッカーJリーグで話題の町田ゼルビア黒田剛監督の言葉です。

黒田監督は、もともと青森山田高校の監督を務め、7回の全国制覇を成し遂げる名門サッカー部へと育て上げました。そこに目を付けた町田ゼルビアの親会社サイバーエージェント藤田社長が黒田監督に声をかけ、高校サッカーから直接Jリーグの監督になるという異例中の異例な抜擢となりました。

当時J2(J1の下のカテゴリー)だった町田ゼルビア。前年は15位。J1昇格を目指すもなかなかその目標が達成できていない状況でした。そんな状況から、黒田監督就任1年目でまさかのJ2で優勝。夢のJ1昇格を果たします

さらに、現在行われている2024年のJ1リーグ。町田ゼルビアは、4月27日時点で首位に立っています。J2から昇格したチームが首位に立つことも異例なことです。

こうした異例なことを実現してきた黒田監督が「強い組織づくり」について、次のようなコメントをしていました

「誰かの役割がない。何をやっていいのか分からない。いてもいなくても一緒。そういうスタッフや選手が一人でもいることが最悪なこと。一方で、みんなが「わー」とコーチングして、何が何だか分からない状況も効率が悪いわけで、誰かが主導権を握り、組織を整理しないといけません」

「負けた時も勝った時も矢印が全部監督に向くのはよくない。一般組織でも矢印が社長に向くのではなく、それぞれのセクションの部長や課長が、または社員一人ひとりが序列の中で威厳を持って仕事をする。そういうシステムを作ったほうが組織としては頑丈。ブレない組織になっていく。みんなが責任を持ってやることですごく大きい、みんなが自立した良い組織ができてくる」

サッカーダイジェストTVより

「自立した組織や社員をつくるためには、一人一人に組織全体のための役割を与える。言い換えれば、スポットライトを全員に当てる誰一人として脇役をつくらない。」

ということだと理解しました。そしてこの話を聞き、ある企業のことを思い出しました

■やりがいを持つ社員が多いA社の要因とは?

その会社(A社)は中小企業ではありますが、びっくりするほど、社員の方々がやりがいを持って働いている会社でした。自分の仕事や会社のことを自分ごととして考えらえる社員の方が多くいました。

A社の社長は自身の苦い経験から「社員に誇りを持ってもらえる、やりがいを持ってもらえる会社をつくろう」と決意し、試行錯誤の中、いろいろな施策を打ってきました

その中のひとつに「委員会活動」というものがあり、会社が重要視するテーマの委員会をいくつも立ち上げて、その委員会に全社員を振り分けて、活動をおこなっています。そこには、新入社員も入っていて、新入社員には、会社の紹介映像をつくるというテーマが与えらえれています。そのテーマを通して新入社員は、会社の魅力に気づき、自分と会社の距離が近づくという体験をします。そして、その映像を全社員で視聴、先輩社員や社長からねぎらいの言葉がかけられます。そこで、新入社員は自分たちの努力が報われたという経験をします。

そうなんです、この委員会の仕組みとプロセスが、黒田監督が言っている「一人一人に組織全体のための役割を与える」、「全員にスポットライトを当てる」ということと一緒だと考えたのです。だからこそA社は、自分ごととして捉える社員が多く育っているのだと考えました。

言い換えると、何もしないで勝手に社員が、会社や仕事を自分ごととして考えるようになるということは難しいということ。会社主導でそういった仕組みをつくっていくことが必要であり、それを社長や幹部がどう考えて動いていくかということがとても重要

黒田監督とA社の話が結びつき、そうしたことに気が付かされました。

町田ゼルビアの黒田監督には、今後も注目をしていきたいと思います。

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