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若手社員の退職から考えたこと ~組織としてのリーダーシップとは?~

こんにちは、お金が入るでかねいりです。

取引先企業の若手社員を育成するための1年間にわたる塾を毎年開催しているのですが、3月の最終回、スタート当初のメンバー全員が残っていることは少なく、定員の16名中、1~2名の方が途中で退職となることが多くあります。今年は、5名の方が退職されました。

別の取引先の会社(A社)でも、とても期待をしていた若手社員が退職となりました。

そこで、今日は、A社の若手社員の退職から考えたことをお伝えできれば思います。

■期待の若手社員の入社

A社では、若手社員をようやく採用して育てることができる状態となり、会社の将来のことを考え、若手社員の採用活動を行っていました。

しかしながら、若手の採用は、少子化の影響で数が少なくなっていることや多くの企業が有望な若手を積極的に求めている背景もあり、競争が激しく、内定を出すところまではいくのですが、入社まで至らないというケースが続いていました。

そうした中、業界経験を持つ優秀な若手社員と出会いました。

採用面接時に、自社が大事にしている考え方取引先とどうかかわっていきたいかどんな会社にしていきたいかなどをすり合わせるとともに、今の会社の課題入社後に苦労する可能性があることなどを正直に伝えました。本人にとっても難しい判断もあったと思うのですが、A社への入社を決めてくれました

■これまで以上に育成にも力を入れた

A社はこれまでベテラン社員の入社が多かったこともあり、採用後の育成ということについて、ほぼ整備がなされていませんでした
しかし、若手社員はそれでは、不安で辞めてしまう可能性があると考え、1カ月間、座学で学べるカリキュラムをつくり、自社の社員たちと接点を持ってもらいながら、育成を進めていきました。

その後の2か月間は、自社の社員の案件に同行することで、少しずつイメージを持ってもらうということを行いました。

そして、2カ月経った後に、次の1年でどんな状態になっていたのかという目標設定を行いました。

その後は、他の社員の仕事をサポートしながら、自分自身が主導して仕事ができる案件を探すということを行いました。

2週間に1回のペースでチームリーダーがその若手社員と面談を行い、現状で困っていることや相談したいことがないかなど会話を続けました。

その若手社員は、取引先との現場で主体的に発言したり、ミーティングを進めることもできるようになり、また社内で議論する場でも良い意見を発言するなど確かな成長を遂げていました。

■突然の退職

そうした中、若手社員から事業部長へ退職したいという報告がありました。

社内で、そのような予兆を誰も感じ取ることができていなかったこともあり、突然という印象は否めませんでした。

また、優秀かつ順調な成長を見せていただけに衝撃度はとても大きく、茫然としました。

本人に話を聞くと、「入社時にギャップはなく、自分が思い描いていたことをやっている会社だと感じたし、その中で自分自身も大きく成長できたと感じている。一方で、この先のことを考えたときに、この延長線上で、自分が皆さんのような社員になれるのかというとそのイメージを持つことができなかった」ということでした。

他にも思うところはあったと思うのですが、素直で正直な若者だったので、その理由は本音に近かったのではないかと思います。

しかしながら、採用や育成に主体的にかかわっていた採用責任者の社員(Zさん)は、ショックが大きく、数日立ち直ることができなかったと言います。

■何が問題だったのか?

ようやくショックから立ち直りつつあったZさんは、何が問題だったのかということを考えました。

そこで考えたのは、若手社員自身の問題でなく、これは全面的に会社側の問題だと考えたのです。

採用や育成はそこまで大きな問題はなかったと思うのですが、若手社員がいた際に、組織としてできていなかったことがありました。

それが、会社の方向性を固め、指し示すことです。

こんな会社にしたいというものはぼんやりとあるのですが、その具体化に乏しいところがありました。

また、その課題は認識していながらも、その具体化に苦戦をしていたという現状がありました。

若手社員からすると、「この組織のこの議論の状態で、方向性は果たして具体化されるのだろうか?」という不安があったのではないか。

言い換えれば、組織としてのリーダーシップが欠けていたと考えたのです。

■組織としてのリーダーシップとは何か?

若手社員が辞める際に、採用責任者の社員のZさんに対して、次のようなことを言ったそうです。

「Zさんが事業部長をやったほうがうまく進むんじゃないかなと思います。会社を良くしたいという想いが強いのと、その上でニュートラルに皆さんの意見を聞ける方だと思います」と。

組織としてのリーダーシップが欠けていたことへの反省と若手社員の言葉も手伝い、Zさんは自分ができることは何なのかということを考えました

これまで社内で議論してきたことを踏まえて、以下のことについて自分なりの考えを整理していきました。

①長期を見たときに優先順位の高い会社の課題を特定する
②そこから、何を検討すべきかの論点を明確にする
③その論点から何を考えるべきかを決める
④考えたことから、アクションの方向性を決める

そうして整理したことを他の社員に個別に話し、意見を聞き、すり合わせを行いました。

そうしたところ、Zさんの行動からある社員から「これがまさに組織のリーダーとしての仕事ですね」という言葉を。また別の社員からは「もやもやしていたものがスッキリしました。目の前が明るくなりました」という言葉をかけられたそうです。

私は、これらの社員の方々の言葉から、「①~④についての案を考え、メンバーへ提示するというZさんの行動」が組織としてのリーダーシップではないかと考えました。

A社の自社の方向性の検討については、まだ道半ばです。しかし、「Zさんの行動=組織としてのリーダーシップ」がA社を良い方向に導くのではないかと私自身は考えています。今後もA社の動向を追っていきたいと思います。

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