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生はちみつの「生」ってなんだ?と思ったら読んでほしいお話

こんにちは!京都の蜂蜜屋・金市商店広報のはにまるです。

生ビール、生キャラメル、生チョコレート、世の中にはなんだか「生」がつくとオイシソウ!が増す食べ物がたくさんありますね!

もちろん、はちみつにもあります、

『生はちみつ』です!!

■生はちみつってなに?

私が初めて生はちみつと言う言葉を聞いた時、そもそもはちみつって生ものじゃないの??(ハチの巣にかぶりついている人もいるのに!)と、疑問がいっぱいになりました。

ズバリ言うと、
生はちみつの「生」は、「非加熱」ということ。

わざわざ「非加熱」と主張するなら、はちみつって普通は加熱しないといけないの!?(ハチの巣にかぶりついている人もいるのに!!)とさらに衝撃を受けた記憶があります。

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ところが、少し検索してみると、生はちみつの紹介の仕方は本当に様々。
非加熱というキーワードは共通しているものの、それ以外は細かな決まりがないためです。非加熱の取り扱いや考え方次第で、生はちみつのイメージはガラッと変わってくるかと思います。

ですが、そもそもはちみつの個性は千差万別。ひとつの尺度だけでは語りきれない部分も多いです。

いろんな紹介の仕方がありますが、「従来のはちみつとは全く別の食べ物」というよりは「はちみつの一部」と思ってみていただくと、美味しいはちみつとのさらなる出会いにつながるかもです!

というわけで、はちみつをもっと楽しんでいただけるよう、生はちみつについてご紹介していきたいと思います。

巣蜜とミツバチ

■生じゃないはちみつがあるのはなぜ?

そのまま食べている人もいるのに、生ではない(=加熱する)はちみつがあるのはなぜなんでしょうか。

大量生産のために、水分が多く含まれた未熟なはちみつを集め、加熱で水分を飛ばして濃縮する、なんて話もあるようです。
でもこれは、養蜂家さんたちの顔が見えるようなはちみつにはあてはまるお話ではなさそうです。弊社でもしていません。

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加熱する理由は、はちみつの個性にありました。

はちみつの個性は、その「蜜源(植物)、採蜜地、採蜜時期」によって異なります。はちみつのとろりとした粘度や、固まりやすさ(結晶のしやすさ)の度合いもそれぞれ。

そして、自然のものなので、ゴミ等の不純物を取り除く作業が必要になります。フィルター等に通して行うろ過です。

ろ過をする身としては、できるだけスムーズに流れてほしいところ。ところがはちみつによっては、ドロ~リとして動きたがらない、既に固まりつつあるなど好き勝手な状態。さらに、気温が低くなる冬季や、採蜜から時間がたつほど結晶化していくはちみつも多くなります。みんな自由です。

お客様にはちみつをお届けする以上、不純物が多く含まれているものや、仕入れたままの一斗缶でお店に出すわけにもいきません。

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そこで、風味や成分を損なわないように低温で加熱してろ過します。加熱と言うと誤解を生みやすいのですが、直火でグツグツするわけではなく、ご家庭でもなじみ深い湯煎。

温めることで結晶化をゆるめたり、粘度を低下させる
→はちみつがちゃんと動いてくれる
→ろ過と瓶詰めができるようになる

ということになります。

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■生はちみつができるのはどうして?

では、ろ過のための加熱も一切しない、完全非加熱と言われる生はちみつは、どうやって瓶詰めしているのでしょうか。それには、加熱をしなくてもいい状態のはちみつを使用するんです。

採れたてのはちみつです。

それでもサラサラではないので、大きめの不純物を取り除くだけの「粗」ろ過をします。普通のはちみつより花粉などが多く含まれるのですが、結晶は花粉を核として起こる傾向があるため、固まりやすいという特徴がでます。
※はちみつの種類によっては、粗ろ過でも結晶しにくいものもあります(あかしあ蜂蜜など)。

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▲左が通常ろ過のはちみつ、右が粗ろ過の生はちみつ。同じ時期に瓶詰めした同じ種類のはちみつですが、花粉などの含有量で結晶のしやすさに違いが。9月撮影。

全てを一度に瓶詰めできればいいですが、すぐに瓶詰めできない分もでてきます。時間が経てば、どうしても先ほどの加熱の工程が必要となってくるのです。

こうした事情から、加熱を一切しない生はちみつは、採蜜シーズンである春~夏だけに瓶詰めできる特別なはちみつとも言えそうです。採れたてのはちみつを瓶詰めしているので、フレッシュで明瞭な風味を感じることができます。

百聞は一口にしかずで食べてみたところ、採れたての風味のよさは格別でした!出会いがあれば、ぜひ一度食べてみてほしいと言うのが正直な感想です。

新蜜

■「生」と「じゃない」とで変わらないアレ

どの生はちみつにも共通して言えるいいところが一つあります。

それは、賞味期限が変わらないこと!

ほとんどの生〇〇と言われる食べ物は、製造上の理由から、加熱したものより賞味期限が短くなるのですが、生はちみつは変わりません。ろ過のためだからこそ、と言えるかもしれません。

■生はちみつとは、つまり

今でこそ「生はちみつ」と呼ばれてはいますが、その言葉が出てきたのはつい最近のことだそう。とはいえ、加熱理由を考えれば、養蜂家さんたちにとっては昔から当たり前にあったオイシイものでした。獲れたての魚しかり、もぎたての野菜しかり。

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できるだけ自然に近いものを食べたい方々の想いや、その声に応えたいという工夫や努力が、元々は「はちみつ」の一部だったそれに名前をつけたのです。

細かな決まりはなくとも、生と言う言葉には「こんなはちみつが食べたい!」という希望が詰まっている気がします。

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生はちみつとそうじゃないはちみつ。
少し工程が変わりますが、私たちにとっては、どちらもミツバチと養蜂家さんが分けてくれた大切で美味しい「はちみつ」です。

なんと言っても、世の中には美味しいはちみつがいっぱい!
ぜひ、それぞれの個性や味わいを、皆さんの好みに合わせて楽しんで頂けたら嬉しいです。

生はちみつ

最後までご覧くださりありがとうございました。

こちらの記事で紹介したのは、あくまでも金市商店の生はちみつの定義に基づくお話となります。はちみつを選ぶ際の、ひとつの参考としていただけましたら幸いです。

(補足)金市商店のはちみつの定義

■コールドフィルタリングハニー(COLD FILTERING HONEY・低温濾過蜂蜜)
金市商店では、年間を通じて一定の品質で蜂蜜を安定的に供給するために、「低温(約50度以下)で加熱、不純物を取り除く濾過工程を経て、瓶詰充填した蜂蜜」を取り扱っております。
蜂蜜を低温で加熱することで、蜂蜜に含まれるビタミンやミネラルを損なうことなく、蜂蜜の風味をしっかりと残したまま、濾過工程にて不純物を取り除くことができます。その製法で充填した蜂蜜を「コールドフィルタリングハニー」と定義しております。
■ローハニー(RAW HONEY・生蜂蜜)
金市商店では「養蜂家の元で蜂蜜が採取された後、一度も加熱を行わず、大きな不純物だけを取り除くために粗濾過し、瓶詰充填した蜂蜜」を「ローハニー」と定義しております。
気温が低くなる冬季や、蜂蜜が結晶してしまうとローハニーの生産は難しくなるため、春から夏にかけて採れる、新蜜を養蜂家から仕入れし、そのまま瓶詰いたします。そのため、コールドフィルタリングハニーよりもさらに、フレッシュな蜂蜜の風味や香りを感じることができます。蜂蜜内の黒い点は花粉です。そのまま召し上がっても問題ございません。また、花粉が核となり、蜂蜜が結晶しやすい可能性があります。

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