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転勤あり?なし? 養蜂スタイルで変わるミツバチの仕事場事情

こんにちは!京都の蜂蜜屋、金市商店広報のはにまるです!

私たちが毎日おいしいはちみつを食べることができるのは、養蜂家さんがミツバチを大事に飼い、ミツバチと共にがんばってくださっているおかげです。

でも、普段の生活の中では、なかなか養蜂を目にする機会はありません。

今回は、そんな近くにあるようでなかなか出会えない養蜂についてのお話しを少し。

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養蜂とは・・・ミツバチを飼育すること。

一口に養蜂と言っても、はちみつを採るだけではなく、ミツバチを販売したり、農作物の受粉のためにレンタルするということもあります。また、お仕事から趣味まで関わり方も様々。

では、はちみつを採る養蜂家さんたちは一体どこでお仕事をしているのでしょうか。

養蜂を大きく分けると、移動養蜂と定置養蜂に分けられます。

移動養蜂(転地養蜂)

移動養蜂(吉岡養蜂) (2)

移動養蜂
転地養蜂ともいわれ、季節の花々を求めて各地を移動しながら養蜂すること。南から北へ、開花時期に合わせて巣箱を運び、全国に養蜂場を移していく。

ミツバチと共に移動する養蜂家さんは、九州をはじめとした温暖な地域から、トラックにミツバチの巣箱をのせて、春を追うようにして日本列島を北上していきます。
ミツバチたちが過ごしやすいよう、菜の花、れんげ、あかしあなどの開花時期に合わせて全国を移動します。

7月~8月になると、本州は真夏。蜜源植物が減ってしまうので、冷涼な北海道で越夏し、お盆過ぎまで様々なはちみつを採ります。

秋には、ミツバチを寒さから守るため、温暖な地域に戻り越冬することが多いです。

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移動養蜂(吉岡養蜂)トラック2 (2)

移動養蜂(吉岡養蜂) 3 (2)

▲写真は、50年以上にわたりミツバチを大切に育て、おいしいはちみつを届けてくださる奈良県の吉岡養蜂園さん。夏場は北海道に移動して採蜜を行い、秋になると元気よく育ったミツバチを連れまた奈良県へ戻ってきます。

季節により異なる花のはちみつを効率的に集められることから、移動養蜂は後に書く定置養蜂よりも生産量は高いと言われます。

ですが、
・移動や設備などを含めて生産コストが高い
・温暖化で気候が変わり開花時期が読めない
・養蜂家の高齢化
などの問題によりその件数は年々減少傾向にあります。

都道府県外への転地養蜂の申請数
1985年には4,270件あったが、近年、2,000件台で推移し徐々に減少傾向にある(2020年1月は2,415件)
※農林水産省データより

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ちなみに、金市商店のハニーハンターも同じく南から北へ、それぞれの時期にあわせて全国の養蜂家さんを訪ねて移動します。時に採蜜も一緒に行うこともあり、安心安全で高品質なはちみつを仕入れるため、養蜂家さんと同じような感覚をもって行動しています。

定置養蜂

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定置養蜂
一つの場所に巣箱を置き、そこに咲く花の蜜を集めること。

定置養蜂は移動をしないため、その地域ならではの季節を感じられるはちみつを楽しむことができます。
先ほどの移動養蜂は減少傾向にあるものの、国内の飼育戸数や蜂群数は横ばいです。かわりに小規模な蜂群の飼育戸数が増加していることから、趣味や副業などで定置養蜂をされる方が増えているように思われます。
(※蜂群:1蜂群は、女王蜂1匹と約2万匹の働き蜂で構成された巣箱1箱を指す。)

また、近年では、環境活動として様々な都市部で「都市養蜂」なる定置養蜂も注目されています。
2010年3月には、大阪梅田のヤンマービル屋上で大阪初の都市養蜂が開始されました。

ミツバチの行動範囲は、公園や街路樹はもちろん、小さなプランターの草花にも訪れている事が確認されています。
都市養蜂は、そんな小さな自然への気づきを呼び覚まし、都市生活者に自然と触れ合う機会を提供する役割を担います。

そして、環境への意識を向上させると同時に受粉を通じて周辺植物の活性化にも貢献できるユニークな取り組みとなっています。

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都市養蜂なる養蜂が登場する裏側で、ミツバチの飼育に必要な蜜や花粉が採れる植物は減少し、養蜂の環境は厳しくなっています。
ミカンやリンゴの農家が減り、農地にはレンゲを植えなくなり、山の荒廃も進んでいるためです。

国内で蜜を採ることのできる植物の総面積
1985年に約37万ヘクタールだったが、2019年はその約31%の約11万6千ヘクタールにまで縮小。
※農林水産省データ

そんな中でも、ミツバチの蜜源確保のために12ヘクタールの菜の花畑を植えたという養蜂家さんもいらっしゃいました。養蜂家さん自身も、ミツバチと環境のために動かれているのです。

12ha菜の花

私たちにできること

私たちにできることは限られているかもしれませんが、一人一人がミツバチたちの環境を知り、自然との関わりを見直すことが重要です。

自然に咲く草花の手入れをしすぎないことや、庭にミツバチが好きな花を植えるのも一つです。
ローズマリーやラベンダーは、放っておいても長期間花が咲くそうでおすすめだとか。

環境に優しい暮らしを意識していきたいですね。

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さて、本格的な夏がきて、これから採蜜の舞台は東北から北海道へ。

こんなに暑くても、防護服を全身にまとい、はちみつを採ってくれる養蜂家さんは本当にすごいです。

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おいしいはちみつが食べられることが楽しみであるとともに、養蜂家さんたちとミツバチのがんばりに改めて感謝したいと思います。

養蜂 美味しいはちみつ

最後までご覧くださりありがとうございました!

【参考資料】
・農林水産省 養蜂を巡る情勢
・中国新聞 <1> 伝統の養蜂 自然と共に
【SpecialThanks】
吉岡養蜂園 https://www.instagram.com/yoshioka_youhouen/


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