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100以上の企業で新商品開発を推進して気づいたこと

私が起業してから数年経った時、ある中小企業の経営者から質問を受けた。
「新しい商品を作れと指示しても、従業員が動かない。何をしてもいいと言っても、誰も提案しない。どうすれば、従業員が自発的に価値を創造するのだろうか」と。
 
以降、なぜか私の頭にはこの問いがずっと残っていた。
問いを残したまま、様々な経営者に会った。
 
■    「うちの従業員はやる気がない」と言って新事業を諦めてしまった人
■    逆に「従業員に任せてもダメだ」と割り切って一人で精力的に動く人
■    外部からコンサルタントを入れたものの従業員に反発されている人
 
挙げればキリがないが、みんな心の内では「従業員がもっと考えて動いてくれたらいいのに」と思っていた。
 
私は10年以上、中小企業の顧客価値創造の推進役を請け負っているが、このような境遇にある経営者が多いことに気付いた。せっかくやる気のある経営者がいても、組織がうまく動かなければ新たな価値の創造は難しい。企業の価値創造が進まなければ、やがて日本の国力は衰える。いや、すでに衰えているように思える。
 
第二次大戦後、焼け野原になった日本からソニーや本田技研工業といったベンチャーが生まれ、経営者と従業員が一体となり懸命に価値創造に取り組んでいたのに、どうして今日の日本企業で顧客価値の創造が進まなくなったのか?
 
やっても、やらなくても、自分の給料に影響しないから?
大きな責任を課されたくないから?
ハングリー精神がなくなったから?
 
これらは多少なりとも影響していると思うが、私なりの答えは「働くことに感動できていない」ことが原因ではないか、と考えている。
 
本来、顧客価値の創造とはワクワクするものであり、自発的に行われるべき活動だと思う。商品やサービスを通じて、顧客に喜んでもらい、その対価としてお金を頂き、やりがいと給料がもらえる。なんと素晴らしい活動じゃないか!
 
しかし、多くの企業では「新商品を考えろ」「新しい売上を作らなければ」と、前向きな活動になっていないのが現状だ。私は100人以上の経営者に会ってきたが、「顧客の感動体験を実現したい」と言う人に出会ったことがない。顧客価値の創造とは、言い換えれば「顧客の感動体験を創造すること」であり、そのために人と人が協力し合い顧客をハッさせる商品やサービスの「作り方」や「売り方」、「見せ方」、「伝え方」を突き詰めることだ。
 
今の世の中には、商品やサービスが山ほどある。人はスマホやネットを手にし、情報が溢れかえっている。このような状況で、顧客に感動してもらえるモノやコトを生み出すには、頭を使い切らなければならない。もっと言えば、他の人の知恵を拝借し、一人で考える限界を突破する必要がある。
 
この「一人で考える限界を突破する頭の使い方」こそが、顧客価値を創造する源泉であり、このアプリがインストールされている企業は従業員が自発的に価値を創造できる。
 
私は、これまでに何度か一人で考える限界を突破した経験がある。その経験談は折に触れお話しようと思うが、実は共通点があることに気付いた。それは、「こんな人にこういう価値を提供したい」と理想を突き詰める頭と、理想をカタチにする現実解を突き詰める頭、そして理想と現実の解像度を引き上げながら推進を突き詰める頭が揃い、それぞれが役割をキッチリ果たした時だった。全て満足いく結果となり、身震いするほどの感動を味わった。
 
一人で考える限界を突破し顧客の感動体験を実現するには、この「理想役」「現実役」「推進役」がそれぞれの役割を演じ切ること、つまり「思考のロールプレイング」をマスターすることだ。昔の諺を引用すれば、「三人寄れば文殊の知恵」の実践である。
 
様々な企業で推進役をしてきた経験から、理想役や現実役は何をすればいいのか、そしてロールプレイングのキーパーソンである推進役がどのように動けば結果に繋がるのか、そのエッセンスを私の経験談を踏まえながら次回以降少しずつお伝えしたい。


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