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言葉の蛇口〜人は向かい合うから分かり合えない①

人は向かい合うから分かり合えない。
なぜって、私たちはお互いのことが見えていないから。
見ているつもり、聞いているつもりでいるけれども、皆んな、見てもらえない、聞いてもらえないという思いを抱いている。
それは夫婦でも、恋人でも同じ。
親子でも、友人同士でも、先生と生徒でも同じ。
人と人との間には、いつでももう1人、別の人が存在していて、私たちが見ているのは、自分が期待する相手の姿で、その人自身ではないの。
私たちが語りかけるのも、耳を傾けるのも、自分が期待する相手であってその人自身ではない。
だから、どれだけの時間と言葉を費やしても、
分かり合えているという実感を抱けないのよ。
分かり合えないからと言って、向かい合おうとしても、うまくはいかないよね。
見ようとしてこなかった相手の姿や、
聞こうとしてこなかった声が、自分の期待とは違っていることを思い知らされるだけだから。
向かい合うことで、お互いに失望して、対決のようになってしまうのよ。
向かい合っていなくてもいいの。
同じ方向を見て歩みを進めてきたのなら結構なことじゃない。
全然別の方向を見ていたのだとしても、
背中合わせで一緒にやってきたのなら、それも結構なことよ。
相手を見ようとしないこと。
その相手と自分が、どうやって生きてきたのかを確かめるの。
どんな風に生きてゆきたいのかを確かめるのもいいわね。
そうやって、向かい合うんじゃなくて、同じ方向を見ることで、気づかされること、理解できることがあるんじゃないかしら。


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