マガジン

  • 言葉の蛇口〜夫婦、子供、家族、そして自分

    子育てや教育について、家庭や人間関係について、 これまでに考えてきたこと、学んできたことを書いています。

  • 言葉の蛇口〜生きるヒント〜寓話

    生きるということを考えるための寓話をまとめています。

  • 言葉の蛇口〜地獄の話

    おじいさんから聞かされた、地獄の話。 幸福に生きるヒントになればと思っています。

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言葉の蛇口〜ありがとうを10万回

人には、一生の間に言わなければならない 「ありがとう」の回数が決められておる。 10万回だって。 あの世では、生きている間に何回「ありがとう」を言うてきたかが正確に記録されておって、「あなたは4257回でした。あと95743回足りません。10万回になるまで地獄で過ごしてもらいます。」「あなたは68212回でした。あと32788回足りません。10万回になるまでの間、地獄で過ごしてください。」という風に、10万回に足りなかった者は地獄へ行かされる。10万回を超えていた者は、天国

    • 言葉の蛇口〜軽やかに生きるということ

      生きるということは、負債を返すということ。 命を授かった時から、私たちは大きな負債を抱えているの。 誰かに借りがあるとかいうことではないのよ。 言ってみれば、神様に借りがあるの。大きな大きな負債が。 多くの人が、恵まれていると表現したりするけれど、それも本当は負債なの。 だからね、恵まれているって言って自分の境遇を誇っても苦しいの。 借金で大きな家を買ったようなものだから。 負債を抱えて生きるのは苦しいの。 負債は返せば返すほど、身軽になるし、自由になれる。 そうでしょう?

      • 言葉の蛇口〜最善の準備をして、あとは委ねる。

        今日も、亡くなっったA先生のことを話すわ。とりあえず、A先生のことはこれで最後かな。 教えられたことは多かったから、また何かの折には登場すると思うわ。  A先生の授業の特徴はね、文学作品を読み込むということだった。登場人物の動作だとか、座っている位置なんかにも着目して、「なぜ、左手だったのか?」とか「なぜ、向かい合う席には座らなかったのか?」みたいな問いを投げかけるの。そうすると、生徒たちも「なぜ、金木犀なのか?」「サイモン&ガーファンクルってどんな曲を歌っているのだろう。こ

        • 言葉の蛇口〜本当の厳しさ・本当の優しさ〜「お前は!」ではなく「私たちは」と語る。

          今回もA先生のことを話すわ。 A先生はね、生徒や保護者からとても慕われていたの。 思いやりがあって、優しくて、ユーモアがあって・・・という側面と、 とても厳しい人だったという側面の両方が語られる。そんな先生だった。 A先生の叱責は、学生時代はもちろんだけれども、大人になって、子供を授かったり、職場で指導的な立場に就いたりすると、余計に思い出されるんだって。 A先生は、生徒たちを叱る時にも、「お前は・・・」とか「あなたは・・・」とは言わなかったんだって。普段から、生徒たちのこと

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        言葉の蛇口〜ありがとうを10万回

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        • 言葉の蛇口〜生きるヒント〜寓話
          40本
        • 言葉の蛇口〜夫婦、子供、家族、そして自分
          117本
        • 言葉の蛇口〜地獄の話
          15本

        記事

          言葉の蛇口〜罰則ではなく〜信じて呼びかける

          今日もA先生の話をするわ。 大切なことをたくさん教えてくださったのだから、忘れないようにしなくちゃね。 今日は、生徒会長を務めたS君から聞いた話ね。 S君が会長をしていた時期は、朝礼が騒がしいっていうことが問題になっていたの。大騒ぎをするわけじゃないんだけれど、小声で話したり、クスクスと笑う声が聞こえてくるような状況で、朝礼だけじゃなくて、学校全体が落ち着かない雰囲気だったらしいの。 それでね、「朝礼に静けさを取り戻そう!」っていう呼びかけをしたんだって。 でも、生徒たちは冷

          言葉の蛇口〜罰則ではなく〜信じて呼びかける

          言葉の蛇口〜あなたの人生を汚してはいけない〜他人の風景を汚してはいけない

          今日もA先生の話をするわね。 A先生は、教え子やその家族からとても慕われていたの。 優しさと厳しさの両方を備えていたわ。 先生の口癖は、みんながよく覚えていて、モノマネの上手な子も多いの。モノマネを交えてみんなで笑って先生の思い出を話す様子を見ていると、先生が生徒たちに慕われていて、先生の教えがしっかりと伝わっているんだってよく分かる。 A先生が、注意される時の口癖がね、「汚して(ケガして)はいけない」というものだったの。生徒指導にも熱心だったから、問題を起こした生徒たちに

          言葉の蛇口〜あなたの人生を汚してはいけない〜他人の風景を汚してはいけない

          言葉の蛇口〜しっかり悩んで正しく迷え〜冒険としての人生

          今日も、亡くなったA先生のことを話すわね。 先生はね、「若い頃は、しっかり悩んで、正しく迷いなさい」とよく話されたわ。 保護者に対しても、「子供たちが悩むことや迷うことは失敗や挫折ではありません。青春期には必要な経験なのです。しっかり悩んで、正しく迷わせてやってください。合理的に言えば、余計なことは考えず、最短距離で目的地まで進むことが正解なのかもしれません。でも、そこには人生がないのです。他者も存在しません。人生は冒険みたいなものです。冒険ですから、予定通りには進みません。

          言葉の蛇口〜しっかり悩んで正しく迷え〜冒険としての人生

          言葉の蛇口〜偶然の中に意味を見出す〜思いやりから生まれる言葉

          先日、一人の旧友が亡くなったの。 彼女は、高校の国語の先生で、生徒や同僚からもとても慕われていたわ。 博識でね、いつもこう言っていたの。 「多くの人が読み飛ばしている言葉や表現にも意味があるのよ。ひとつの単語、ひとつの助詞であっても、作者には意図があるものなの。そんな風に注意深く読む習慣をつけましょう。その注意深さが、他者への思いやりに繋がるのです。さて、今日の授業では・・・」 毎回の授業が、こんな風に始まるの。そして、物語の背景を、本当に詳しく教えていたの。だから、どの学年

          言葉の蛇口〜偶然の中に意味を見出す〜思いやりから生まれる言葉

          言葉の蛇口〜子供の宿題〜簡単なものも丁寧に

           うちの家にはね、夏休みの宿題を持ってくる子供達もいるの。 「宿題をしにきた!おやつもお願い!」なんて言うから、冷たいお茶とおやつを用意してあげるの。案外、しっかりと勉強をするのよ。「簡単すぎるから、すぐにできちゃう」なんて言うの。  私はね、「偉いねぇ」なんて言って、すぐにおやつを出したり、休憩させようとするんだけれど、Mさんはね、「どれどれ」なんて言いながら、子供達の宿題を見るの。そしてね、「ちゃんと、丁寧に書きなさい。」って言って、雑に書いているところは消しちゃうの。「

          言葉の蛇口〜子供の宿題〜簡単なものも丁寧に

          言葉の蛇口〜長生きのご褒美〜恩返しの意味

          長く生きているとね、嬉しいことがあるの。 赤ちゃんの時からよく知っている子がね、近くの高校で数学の先生としてがんばっているの。 この間も、仕事の帰りに立ち寄ってくれてね、「今年も夏休みには子供たちの勉強をみにきます」って言うの。嬉しかったわ。 もう4年になるんだけれど、子供たちもすごく喜んでいるわ。数学以外でも教えてくれるし、何より、勉強の合間のおしゃべりが楽しいみたい。彼は、昔から人と話すのが好きで、友達がたくさんいる子だった。子供たちもね、おしゃべりだけじゃなくて、進路の

          言葉の蛇口〜長生きのご褒美〜恩返しの意味

          言葉の蛇口〜分かってほしいけれど、「分かっている」とは言われたくない。

          この間、中学3年生の男の子が久しぶりに来てくれたの。幼稚園の頃から4年生ぐらいまではよく来てくれたんだけれど、本当に久しぶりだった。 一人でふらっと来てくれたの。 「別に用事はないんだけれど、久しぶりに来てみた。」って言って、特等席に座ったまま、何も話さないの。それもよくあることなので、「かき氷でも食べる?」って聞いたら「食べる」って言うから、私の分と2杯作って一緒に食べたの。こんな時は、私も何も言わないの。 かき氷を食べ終わろうとした時に、ようやく話し始めたわ。 ご両親と進

          言葉の蛇口〜分かってほしいけれど、「分かっている」とは言われたくない。

          言葉の蛇口〜子供が学んでいること・私たちが忘れてしまったこと

          「貸して」「いいよ」「ありがとう」 「ごめんね」「いいよ」 子供たちが、家庭の外でお友達との関わりの中で学ばなければならないやり取りがあるでしょう。何でも自分の思い通りにできるわけではないのだということ、独り占めにすることはできないということを学ばないといけない。最初は嫌がるの。納得できないの。でも、それって本当に最初だけのこと。すぐに、子供たちはこういうやり取りができるようになるわ。  お友達もそうするものなのだって分かるからっていうこともあるでしょうね。  一番の理由は、

          言葉の蛇口〜子供が学んでいること・私たちが忘れてしまったこと

          言葉の蛇口〜子供を迎える言葉〜「起きてきてくれたの!」って言ってみる

          この間、2歳になったばかりの女の子と一緒に遊びにきてくれたお母さんの話をするわ。 お兄ちゃんたちもよくきてくれたんだけれども、もう小学4年生と2年生になったから、しばらく会っていないの。上の子たちとは年が離れていることもあって、色々と手伝ってくれることもあるけれど、生活のリズムが違うことが大変なんだって言っていた。確かにそうようね。時間通りに生活し始めている小学生とは違うもの。私達が話している間、女の子はよく寝ていたわ。しばらくして、目を覚ました時のことを話したいの。 女の子

          言葉の蛇口〜子供を迎える言葉〜「起きてきてくれたの!」って言ってみる

          言葉の蛇口〜子供にも相談してみる〜頼られて頼もしさを身につける

          時々ね、相談に来る人がいるの。 私なんかでも、年齢を重ねているっていうだけで、話を聞きに来てくれるんだから嬉しいわ。 だいたいが、相槌を打って聞いているだけなんだけどね。話しているうちに整理がつくみたい。そういう場所、そういう役割も必要なのだと思うわ。 この間も、子育ての相談かと思ったら、夫婦のことで話を聞いてもらいたいって言うの。お母さんの話を聞いているとね、5歳の男の子が何回も、遊びを中断して会話に加わろうとするの。「少し、向こうで遊んでいてね」ってお母さんが促しても、ま

          言葉の蛇口〜子供にも相談してみる〜頼られて頼もしさを身につける

          言葉の蛇口〜だから今日も草を刈る〜今日の苦労が無意味に思えても

          昔、おじいさんは草刈りをしながら、こんなことを言っていたわ。 草刈りが好きな人なんていないだろうな。 わしだってこんなこと、好きでやっているわけではないんだよ。 できることなら、草刈りなんてやらないで、この時間を他のことに使いたいわな。 面倒くさいからって、草刈りをさぼったら、庭が荒れ放題になるし、どうせ後でやらなくちゃいけないから、やっているだけさ。 草刈りをして、庭がきれいに整うのは嬉しいけれど、 どうせまた草は生えてくるからねぇ。 どれだけがんばったって、気がついたらま

          言葉の蛇口〜だから今日も草を刈る〜今日の苦労が無意味に思えても

          言葉の蛇口〜おいしいケーキの幸福な食べ方

          この間、一人のお母さんがショートケーキを焼いてきてくれたの。 イチゴがたっぷりでとっても贅沢なケーキだった。 子供が3人、大人が私も含めて4人。 どうやって切り分けるのだろうって見ていたら、そのお母さんは、イチゴを切らないようして切り分けていったの。わざと、不揃いに切っているみたいだった。 あまりに不揃いだから、子供たちに大きいものを選ばせるのだと思っていた。 よく見たら、あんなにたくさんイチゴがのせられていたのに、イチゴがのっていないものもあれば、3つものっているのもあるの

          言葉の蛇口〜おいしいケーキの幸福な食べ方