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【連載小説】ちょうどよいふたり

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日本リフレクソロジスト認定機構会報誌「Holos」で連載中の連作短編小説です。1年に3話更新されます。作中の人物も4カ月ごとに成長していきます。
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記事一覧

第1話 ぜんざいと風花 |2013年1月

 サービスエリアにありがちなファミリー向けのレストランで、大味の甘ったるいぜんざいをすす…

寒竹泉美
6年前
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第2話 唐揚げと人生 |2013年5月

 ほら、地縛霊がいる、と幸彦に言ったのは、最近予備校で言葉を交わすようになった佐々木と…

寒竹泉美
6年前
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第3話 お弁当とリフレクソロジー|2013年9月

 ようやく日常が戻ってきた、と思いながら幸彦は予備校の教室の中を見回した。昼時は休憩室…

寒竹泉美
6年前
15

第4話 ハーブティーと告白|2014年1月

 窓際で自習していた幸彦がノートから顔を上げると、甲本さんが目の前にいた。 「今回は雪…

寒竹泉美
6年前
15

第5話 パフェと恋|2014年5月

 インターネット上の合格発表のページに自分の受験番号を見つけたとき、幸彦は嬉しいと思う…

寒竹泉美
6年前
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第6話 マンゴーチューハイと年上の女性|2014年9月

「合コンしようぜ」  と、佐々木が言った。幸彦は、佐々木の顔を見ると、その言葉をかみし…

寒竹泉美
6年前
10

第7話 海と白い光|2015年1月

 灰色の砂からビンやライターやプラスチックの袋が顔を出している。夏の海水浴客が落としていったものだろう。まだ半年も経っていないはずだ。それなのに、それらは何世紀も前から置かれているようにみすぼらしかった。  流木。海藻の切れ端。空き缶。無意識に数えあげながら歩いていた果穂は、ふと顔を上げた。一緒に来た甲本結季はずいぶん先を歩いている。砂に足を取られ、向かい風に阻まれ、歩きにくそうにしながらも、波打ち際を目指して歩いている。よちよちと体を揺らしながら一生懸命歩いている様子は、

第8話 ビールと年の差恋愛|2015年5月

「とりあえずビール。果穂さんは?」  佐々木にたずねられて、果穂はわたしも、と答える…

寒竹泉美
6年前
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第9話 恋とリフレクソロジー|2015年9月

イラスト:木村友昭 果穂のリフレクソロジーのお店は、なかなか繁盛しているらしかった。口…

寒竹泉美
6年前
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第10話 愛人と冬の海|2016年1月

イラスト:木村友昭  飲み会の予定が入っていて本当によかった、と幸彦は思った。おかげで…

寒竹泉美
6年前
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第11話 短パンと進路相談|2016年5月

 三年ぶりに会った室田剛(ごう)は、まだ初夏だというのに黒々と日焼けしていた。かつては青…

寒竹泉美
6年前
9

第12話 ケーキセットと自由|2016年9月

   幸彦は会場の端の壁にもたれて、リクルートスーツたちを眺めながら、自由の重圧に苦しん…

寒竹泉美
6年前
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第13話 クリスマスデートと普通|2016年12月

 リフレクソロジーの仕事を始めてから、果穂は、朝、目を覚ますのが楽しみになった。目覚める…

寒竹泉美
6年前
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第14話 披露宴とバーベキュー|2017年5月

「そんなふてくされた顔やめて、もっとおめでたい顔をしなさいよ」   母に言われて初めて幸彦は、自分が仏頂面をしていることに気がついた。ふてくされていたつもりはなかったが、少なくとも、笑いと拍手で包まれているこの会場にふさわしくない表情だった。 「まあ、しょうがないわね。あんた、果穂のこと好きだったんでしょう? めでたくないわよね」  からかうように言って笑う母は、ずいぶん酒が回っているようだった。酔っ払いの戯言だと思いつつも、幸彦はむきになって言い返した。 「別にそん