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【台湾珈琲を楽しむ】-阿里山コーヒー農園体験記vol.4栽培研究所は、大物揃い品種の宝庫後編

台湾の台中、阿里山コーヒー農園栽培研究所のお話です。前回紹介したのはコーヒーの木の中でも更に細分化された品種でした。コーヒーの木の品種は味の決め手ともなる種類。
コーヒーのルーツとも言える品種から、各土地で混ざってできた品種、更に病害虫に強い品種など改良されたものを合わせるとコーヒーの木の品種は、約100種以上あると言われています。
実は沢山あるのですね。

コーヒーの木

前回紹介した品種↓
ケニアSL-34,ティピカ種、ブルボン種のブルボン・ポアントウ

更に奥には、こんな品種がありました。


コーヒーノキ栽培品種「リベリカ種」

なんと私にとって人生初のリベリカ種です。

コーヒーの木3大原種の一つリベリカ種

まだ小さいですが、こちらがリベリカ種のコーヒーの木です。
まさかここで出会うとは思っても見ませんでした。
リベリカ種と言えば、コーヒーの三大原種の一つです。
飲用に栽培されている品種は大きくわけて、3つに分けられています。
三大原種「アラビカ種」「カネフォーラ種」「リベリカ種」
私たちの多くが日常的に飲んでいるのがアラビカ種。高品質で味のバランスがよく流通量も多いのです。
次いでカネフォーラ種、ロブスタ種とも言われ、病害虫に強く強い苦味があります。ゆえにインスタントコーヒー、缶コーヒー、アイスコーヒーなどに使用されています。アラビカ種に次いで多く生産されています。
最後にリベリカ種。
低地でも育つ品種で、マレーシアやフィリピンなどの極一部のエリアでしか栽培されておらず、なんと流通量は全体の1%にも満たないと言われています。

リベリカ種の葉っぱ 大きな印象
幹は細いものの丈夫そうな印象
新芽の葉の色が独特な色み

いったいどんな味がするのでしょう?
アジアでは、砂糖や練乳をいれて甘くして飲むのだとか。
ちなみに私は、飲んだことがありません!
今回、樹を見る事ができて貴重な経験となりました。

コーヒーノキ栽培品種「ゲイシャ種」

ここ数年で世界を驚愕させた品種
最も有名で人気のある品種と言えば・・↓
「ゲイシャ種」です。
ガテマラのゲイシャ種と
パナマのゲイシャ種がありました。
それぞれの土地から持ってきた種を植えたそうです。

ガテマラのゲイシャ種
パナマのゲイシャ種

ゲイシャ種と言えば、多くのコーヒーラバーが愛するコーヒーでありどんなに高くてもファンが多いコーヒーの一つ。価格の目安は通常のコーヒーの五~六倍です。Σ(・□・;)
今この目の前にあるのは、ゲイシャブームを起こしたパナマ産のゲイシャ種であります。(台湾で植えた)
ゲイシャ種がなんでここまで有名になったかといいますと・・・

コーヒーノキ栽培品種「ゲイシャ種」が世界で注目を浴びている理由

高級シングルオリジンパナマのゲイシャ

パナマコーヒーと言えば、記憶に新しいとは思いますが、世界中にゲイシャ種の魅力を広めた「エスメラルダ農園のゲイシャ種」が有名です。
 2004年パナマで行われたカッピングコンテスト「ベスト・オブ・パナマ」にて出品された「エスメラルダ農園のゲイシャ」が堂々1位を獲得し、それまでの史上最高価格を上回り通常の取引価格の20倍以上の値がつき落札されました。 これをきっかけに、ゲイシャ種が最高品種として世界的に注目され、各地のコーヒー産地でも栽培が試みられました。
 エスメラルダ・ゲイシャがきっかけでパナマのコーヒー生産は、ゲイシャ種の産地として瞬く間に有名になったというストーリーがあります。毎年、ゲイシャ種は世界各国で見られますがこの時ほどのインパクトはなく恐らくパナマの気候と土壌+ゲイシャ種=類まれな個性と最高品質につながったのではと言われています。
まさに一期一会な出会いです。

金澤屋珈琲店FC2ブログ| 2020-12-22 | シングルオリジンコーヒー豆

人気のゲイシャ種のルーツはエチオピア

パナマ産エスメラルダ農園のゲイシャ種が世界にゲイシャブームを起こしましたが、実は、ゲイシャ種の始まりはエチオピアです。
ルーツを知らずしてゲイシャ種は語れません!

ゲイシャ種

2004年にパナマでゲイシャブームが起きましたが、実はゲイシャ種の生まれは、コーヒーの始まりでもあるエチオピアが原産です。1931年エチオピアの南西部のゲシャという村の近くで発見されました。自生していたコーヒーは、この村のゲシャからゲイシャ種と名付けられました。
野生種でありコーヒーの原種です。日本の芸者とは関係ありませんが(;^_^Aなんともインパクトのある名前で印象的ですね。
その後エチオピアのゲイシャ種は、1932年種子がアフリカのケニアへ。
1950年には、コスタリカで栽培が始まりました。
パナマへ行きついたのは1963年の事。
まさにパナマの風土との相性が良かったのですね。
パナマのドンパチ農園のフランシスコ・セラシン氏が自分の農園に植樹。
近所の人々にもゲイシャ種の苗木を配りました。ゲイシャ種は、コーヒーの他の品種に比べて収穫できる実の収量が少なく多くの農園では、収量の多い別品種に植え替えられていました。
2004年にコンテストで優勝したのは、なんとコーヒー農園の畑の一角で作業しづらい場所に残っていたコーヒーの樹からとれたコーヒーです。
まさに奇跡的なゲイシャ種。
その農園こそがエスメラルダ農園です。

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ゲイシャは美味しいのか?と言われると味の好みもあるかも知れませんが、一度飲むと忘れられない柑橘系の強いフレーバーと酸。ゲイシャフレーバーとも言われるレモンを思わすフレッシュな香りはたまりません。
生産地事に味わいは変わりますが、傾向は同じです。
特徴は,樹高が高く葉っぱや種子が細長く耐性もありクオリティーが高いのですが収量は少ないという事で大量生産とはならないようです。

パナマのゲイシャ種

研究品種「ゲイシャ種」と「リベリカ種」の接ぎ木

コーヒーの木の異なる品種同士を掛け合わせた接ぎ木です。

コーヒーノキ「ゲイシャ種」と「リベリカ種」の接ぎ木

コーヒーノキの接ぎ木を見るのは、希少ですね。
接ぎ木は、異なる種類の植物を茎や枝などを切ってつなぎ合わせる事です。こうする事で、うまく行けばお互いのいい所を出し合って、新たないい品種を作る事ができると言われています。
病害虫に強い
収量が増える
寒さに強くする
品質向上
味わいの向上
コーヒーで言うとこんなことを目的にするのかな?
ゲイシャ種とリベリカ種の交配は一体どんな味になるのでしょうね!

コーヒーノキ栽培品種「パカマラ種」

コーヒーノキ、パカマラ種です。

コーヒーノキ「パカマラ種」

パカマラ種と言えば、2008年から登場した希少品種の一つ。
1970年代にエルサルバドル国立研究所でパカスとマラゴジッペ(巨大豆)を掛け合わせた人口交配種です。大きな豆を持つ特徴が印象的です。病害虫に強く生産性が高い上に味も個性があり人気の品種です。

パカマラ種のコーヒーチェリー

大きな豆という事は、コーヒーチェリーも大きいのです。ちなみにマラゴジッペと言われる巨大豆、どの位大きいかっていうと↓

写真右がマラゴジッペのコーヒー豆、左が通常のコーヒー豆

コーヒーノキ栽培品種「モカ」「ケニアSL-24 」

モカと言えば、中東のイエメンとアフリカのエチオピアを産地とするアラビカ種のコーヒーです。モカコーヒーと言われる由来は、イエメンの南西部にモカという小さな港町があり、かつてその港町から世界へコーヒーが輸出されていたことに始まります。コーヒーノキの原産地はエチオピアです。モカこそが原種に近く、独特な香り、野生味のきいた味わいがすると言われています。ケニアSL-24 ブルボン種から選抜された仲間です。

コーヒーノキ、エチオピアのモカとケニアのSL-24

コーヒーノキ栽培品種「ウシュウシュ種」

ウシュウシュ種、またすごい大物に出会いました。
近年ゲイシャ種の後から出てきた注目の品種です。
ゲイシャと並ぶ希少品種の一つです。

コロンビアのウシュウシュ種

希少品種 ウシュウシュ種について

ウシュウシュ種は50数年も前からコロンビアで育てられています。もともとは、エチオピアでゲイシャ種の栽培されている近くのエリア「ウシュ」という村の生まれなのだそうです。
所が長い間ゲイシャ種とエリアが近いこともあり、ゲイシャ種と思われていたそうです。その後、研究が進みゲイシャ種とも異なる伝統在来種であることが数年前にわかり世界的に注目された品種です。
ゲイシャ種にウシュウシュ種…
なんともすごい味わいの持つ品種を持つ原種が沢山あるのはさすがコーヒー発祥の地エチオピアですね。当店では、コロンビアのウシュウシュ種を販売した事があります。その時のインパクトは忘れられません。

多くの栽培品種が見られたここ阿里山コーヒー農園。
研究熱心な、オーナーの方政倫(ファンジョンルン)さん。
時折(笑)も交えながら楽しい研究農園見学でした。
この間、約30分ほど。
本当はもっと時間が欲しかったな( *´艸`)

次も農園体験ツアー続きます!



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