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タイトルに救われ、タイトルに悩まされる。

ふぅ、と小さく息をついて筆を置く、いや、キーボードから手を離す。

私は主にパソコンでモノカキをする。たまにスマホで打ち込みすることもあるが、大きな画面にキーボードで打ち込んだほうが早いし、タイプミスも少なくて済む。その点はちょっと古くさい人間なのだろう。


今日はタイトルに悩まされる日のようだ。

内容はすっかり書き終えて、誤字脱字のチェックも終えたのに、未だにタイトルが決まらない。仮タイトルは付けてあるが、これでは「公開設定」ボタンが押せない。

さてはて、どうしようかとパソコンの前で腕組みをしてみるが、そんなことをしても思い浮かばないので、ベランダに出てみることにした。

前だったら気分転換にカフェに行ったり買い物に行ったりが気軽にできたが、このご時世、外出するだけでもなんだか悪いことをしているような気になる。正当な理由がないと、突然誰かがやってきて叱られちゃうんじゃないか・・・なんてありえないことを想像してしまう。まぁ、そんなことを思っても仕方がないし、おやつと紅茶で休憩にしよう。


「皿洗いをしていると突然、情景とともにタイトルが降ってくる」みたいなことがまれにある。皿洗いに限ったことではなく片付けしているときだとか洗濯物を干している時だとか、とにかくパソコンの前にいない時にそれは突然やってくる。そうなると皿洗いどころではなくなり、すべてを放り出してパソコンの前に移動する。そういう時は、タイトルから文章の終わりまで滞りなく指が動く。タイピング音も軽やかで、まるで元からある文章を見ながらパソコンで打ち込んでいるかのようなスムーズさだ。



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モノカキの裏話エッセイ。更新は終了しました。

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