弁護士 大川果也(おおかわかなる)岡本政明法律事務所

企業法務を中心に、相続を始めとした一般民事全般を取り扱っている弁護士です。よろしくお願…

弁護士 大川果也(おおかわかなる)岡本政明法律事務所

企業法務を中心に、相続を始めとした一般民事全般を取り扱っている弁護士です。よろしくお願いいたします。

マガジン

  • 相続法関係の裁判例・判例

    毎週土日のいずれかで、相続法関係の裁判例・判例を投稿しています! 実務上よく問題となる論点に関する裁判例・判例を取り上げています☺️ ご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧いただけますと幸いです🙇‍♂️

最近の記事

遺産分割協議が錯誤無効になった事例

以下の事例は、民法改正前の事例となりますので、錯誤「無効」という記載があります。その点はご注意いただけますと幸いです。 取り上げた裁判例 東京地判H27.4.22判時2269号27頁 事案の概要等 (1)相続人の範囲  Bは、平成元年10月28日に死亡した。Bの相続人は、妻のA並びに子のX1(長男)、X2(長女)及びY(二男)である。  Aは、平成17年7月30日に死亡した。Aの相続人は、X1、X2及びYである。 (2)遺産分割協議の錯誤の有無  Yは、平成18年5月頃、

    • 身元保証契約に基づく債務を履行後、求償権を放棄したことが特別受益に該当すると判断した事例

      取り上げた裁判例 高松家丸亀支審H3.11.19家月44巻8号40頁(身元保証契約に基づく債務の履行が特別受益に該当すると判断した部分) 事案の概要等 (1)相続人の範囲等    被相続人A(明治34年3月1日生)は、昭和57年2月 12日死亡。の相続人は、長女X、長男Y1、2男Y2、被相続人の非嫡出子のY3。    その法定相続分はY3が7分の1、その余の相続人がいずれも7分の2。 (2)申立人の特別受益    ア 申立人の夫が勤務先で不祥事を起こしたため、同夫の身元保証

      • 遺留分減殺請求訴訟において寄与分の主張をすることができるか否か等について判断した事例

        前提 以下の事案は、旧民法化における遺留分減殺請求に関する事案となります。現在の新民法においては、金銭を請求することができる遺留分侵害額請求となっていますので、その点は、ご注意いただけますと幸いです。 取り上げた裁判例 東京高判H3.7.30判時1400号26頁 事案の概要等 1 被相続人Aは、公正証書遺言により、本件不動産を含む財産全部を包括してYに遺贈した。 2 被相続人Aは、昭和62年7月6日に死亡し、相続が開始した。相続人は、被相続人Aの妻であるB、X、Yを含む六

        • 学費が特別受益になるか否か、及び寄与分の有無・その額について判断した事例

          取り上げた裁判例 大阪高決H19.12.6家月60巻9号89頁 事案の概要等 (1)事案の概要  被相続人は、平成14年○月〇日に死亡。  相続人は、被相続人の長女D、次女H、四女A、長男C、五女Bの5人で、法定相続分は、各5分の1。  Aは、平成14年○月○日、被相続人の遺産分割を求める調停を申立てが、平成16年○月〇日に調停不成立となり、原審判手続に移行した。  Cは、平成16年×月×日、寄与分を定める処分に係る審判申立てをした。  Hは、平成16年×月×日に死亡し、そ

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        • 相続法関係の裁判例・判例
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          死亡保険金等を相続財産に持ち戻す(加算する)ことができるか否かを判断した事例

          取り上げた判例 最判H16.10.29民集58巻7号1979頁 事案の概要等 (1)相続人の範囲    抗告人ら及び相手方は、いずれもAとBの間の子である。    Aは平成2年1月2日に、Bは同年10月29日に、それぞれ死亡した。    Aの法定相続人はB、抗告人ら及び相手方である。    Bの法定相続人は抗告人ら及び相手方である。 (2)遺産の範囲  本件において遺産分割の対象となる遺産は、Aが所有していた各土地(以下「本件各土地」という。)である。    A及びBの本

          死亡保険金等を相続財産に持ち戻す(加算する)ことができるか否かを判断した事例

          相続人の配偶者(妻)が被相続人の介護をした場合における寄与分について

          取り上げた裁判例 東京高決H22.9.13家月63巻6号82頁 事案の概要等 被相続人は、Xの妻であるEが嫁いで間もなく脳梗塞で倒れて入院した。 被相続人が付き添いに頼んだ家政婦は、被相続人の過大な要望に耐えられなかったため、Eは、少なくとも3か月間は被相続人の入院中の世話をした。 Eは、被相続人の退院後は、右半身不随となった被相続人の通院の付き添い、入浴の介助など日常的な介護に当たった。 更に、Eは、被相続人が死亡するまでの半年の間は、被相続人が毎晩失禁する状態とな

          相続人の配偶者(妻)が被相続人の介護をした場合における寄与分について

          保険金受取人を指定している場合において、生命保険金請求権は相続財産に含まれるか

          取り上げた判例 最判S40.2.2民集19巻1号1頁 事案の概要等 本件養老保険契約において保険金受取人を単に「被保険者またはその死亡の場合はその相続人」と約定し、被保険者死亡の場合の受取人を特定人の氏名を挙げることなく抽象的に指定している場合でも、保険契約者の意思を合理的に推測して、保険事故発生の時において被指定者を特定し得る以上、このような指定も有効である。 そのため、特段の事情のないかぎり、このような指定は、被保険者死亡の時における、すなわち保険金請求権発生当時の相

          保険金受取人を指定している場合において、生命保険金請求権は相続財産に含まれるか

          不倫相手に対し財産を渡す旨記載した遺言の有効性

          取り上げた判例 最判S61.11.20民集40巻7号1167頁 事案の概要 亡Aとその妻X1間の夫婦関係は、昭和40年ころから、別々に生活する等、その交流は希薄となり、夫婦としての実体はある程度喪失していた。 亡Aは、妻X1がいたにもかかわらず、Yとの間で、遅くとも昭和44年頃から死亡時まで、約7年間、いわば半同棲のような形で不倫な関係を継続した。 昭和46年1月ころ、亡Aは、Yとの関係を一時清算しようとする動きがあったものの、間もなく両者の関係は復活し、その後も継続し

          不倫相手に対し財産を渡す旨記載した遺言の有効性

          公正証書遺言が無効になった裁判例

          取り上げた裁判例  大阪高判H26.11.28判タ1411号92頁 事案の概要等  脳梗塞を発症し、その後、認知症を発症した遺言者が残した4通の公正証書遺言の効力が共同相続人の間で争われた事案。  第1の遺言をした平成13年当時、遺言者は多発性脳梗塞に罹患していたものの、自己の財産の管理・処分に関する意思決定をすることが可能であり、他者を介在させずに遺言に関する手続を自ら行った。そのため、第1の遺言時、遺言者に遺言能力がなかったとはいえない。  平成17年の第2遺言当時は、