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ロゴと名刺制作のはなし

以前「ロゴ制作のはなし」を書いたのですが、今回は切り口の違う作り方をしたロゴを紹介します。

今回書くロゴと名刺制作の依頼主は、東南アジア金融業界の最前線で働く社長(女性)。彼女の日本法人のロゴと名刺制作のお話です。

「手書き風で」と強い希望

手書き風が良いです!!
依頼があった際に、真っ先に言われたこと。
どういった会社なのかまだ分からない状態でしたが、手書き風を強く御所望されていました。

私は先方のご希望であっても、多方面から見た時に違うなと思ったらその意見は言う方です。
しかし、私がロゴ制作で大事だと思っていることの一つに「代表者がとんでもなくそのロゴが"好き"であること」があります。

手書き風が良い。と言うことは手書き風の文字が好きと言うこと。「好き」は大事です。できれば希望に沿ってあげたい。

なので、このロゴづくりは、コンセプトを探って造形を考えるという順序ではなく、手書き風の造形がしっくりくるかどうか、渡したくなる名刺かどうか、から始まりました。

この時点で明確なコンセプトはないので、まずは会社のこと、会社対する想いや、自分の想いをヒアリングしました。会社自体は元々あったものの、本格的に提げて活動を開始することで名刺が必要となった経緯もあり、本格的な熱い想いを聞ける場となりました。
以下は一部です。

  • ミャンマーのヤンゴンに本社を置くマイクロファイナンス※機関(設立約10年、顧客約25000人、従業員120人を抱える会社)の親会社となる会社である。

  • ミャンマーの貧しい人たちを救いたい。この一心でミャンマーと日本の行き来を数年続けている。

※マイクロファイナンスとは
貧困層や低所得者を対象として、貧困緩和を目的とし行われる小規模金融のことを指します。生活困窮者が自立するための支援方法の一つです。

  • 貧しいことが原因で、何かを諦めるような生活を送って欲しくない。

  • ミャンマーで、ミャンマー人の従業員達と共にファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)を促進したい。一緒に乗り越えたい。

  • ファイナンシャル・インクルージョンで優しい世界を作っていきたい。

  • 日本の人たちにミャンマーを知ってほしい。またミャンマーを知ることで自国経済を考えるきっかけにもしてほしい。

  • ミャンマーと日本の架け橋になりたい。

従業員の皆さん

ここまで聞いて、みなさんどんな印象を持ちましたか?

私はただただ愛を感じました。
マイクロファイナンス、金融包摂を通して愛を届けたいのだなと思いました。

・・・・手書き風、承知しました!!という感じでした。

ちなみに社長は私の一つ歳上で、制作にあたっていた頃ちょうど私が軽めのぎっくり腰になってしまい、「我々いい年ごろですねあははは〜」なんていう会話を交わしたことも、ここに記念に書いておきます。(絶対要らない情報)

会社名とキャッチコピー

さて、気になるのは会社名です。
会社名は、Lwatlathmu(ワラム)

ミャンマー語で「Liverty(自由)」という意味の単語です。

これをカリグラフィーにすると、さらに読めなくなります。
そして会社名からは何をやっている会社なのかまるで掴めません。

わかりません

しかし話し合いを重ねていく中で、私たちの答えは一致します。

「読めない文字のカリグラフィー+読める日本語のキャッチコピーをロゴにする。」

日本人であれば読める日本語が当然目につく訳ですから、そのキャッチコピーから事業内容を連想してもらう。
会社名は二の次(むしろ覚えてもらわなくていいby社長)で、キャッチコピーを覚えてもらう。

どこに目がいくでしょう

この「読めるキャッチコピー」は社長からすぐに提案がありました。

やさしいおかねのある世界』です。
LOVE&PEACEですね。

こうして私はワコムの液タブを引っ張り出してカリグラフィー制作を始めました。

いよいよデザイン

少しの形状で全く違う変化を見せるカリグラフィー。
理想の形になるまで何回も書き直しや調整を行いました。

イラレがお祭り騒ぎだぜ
定まってきたカタチ

提案の段階での淡色ブルーやピンクは、会社を表すというよりも社長から連想した社長が好きな色を加えてみています。

イラレのアートボードの画像をよく見るとわかる通り途中までできた段階で、名刺のことを考え出しています。
渡したくなる名刺かどうか、ロゴとの相性を見ていきます。

名刺案の一部

完成手前のロゴから、形状をブラッシュアップしていきます。

ロゴ決定当時の会話。二人のやさしいが一致するまでコネコネ

そしてロゴが完成しました!

完成したロゴ

インク溜まりとか細かく調整したよ

完成した名刺

先ほどの画像のように名刺も色々案がありました。
ナチュラルなものからカラフルなものまで、色々。
渡したくなる名刺の形状がデフォルトでいいのか?など、色々。

そしていつもの通りイラレをこねくり回して、ダイカット加工による小判型名刺が誕生しました。
ひと目で「おかね」を連想してもらうためです。(この制作はロゴも含めて「連想させる」がキーワードの一つ)

色は本当に最後まで悩みました。
ゴールドっぽいソフトなブラウンが採用に至ったのですが、他の色もすごくかわいかったので欲張ってブラウンとピンクの2色を印刷することになりました。(以下は全てブラウン。個人情報は隠しています)

小判!
綺麗に並べるのって難しいね
表は活版印刷、裏はオフセット印刷

実はこの名刺は、去年の年明けに社長の手元に届けられたのですが、今でも「やさしいおかねのある世界を目指しています。」と小判型の名刺を渡しているそうです。

立場上、お偉いさま(みなさんがよく知っているような大企業の会長や社長)にもお会いする機会が多く、みなさん名刺を褒めてくださるそう。

どなたかに褒められる度に、また褒められました!と連絡がきます。デザイナー冥利につきますね。とても嬉しいです。

このnoteも下書きの状態を見て頂いたのですが、
私がどれだけやさしい気持ちで自己紹介ができているか知って頂けるのが嬉しいし、褒められたことをお伝えして喜びを共有できることもとても嬉しいんですよと涙がちょちょ切れる(古い)ようなお言葉をいただきました。

おうえん!

社長の加藤さんは、現在もミャンマーと日本を行き来しており、日本に帰ってきた際は大学での講義、セミナー・ウェビナーの講師やイベントに登壇されていたりするので見かけたら話を聞いてみてくださいね。

ワラム株式会社の取り組みの一つとして、社会的課題に対し出資を通じて解決する(インパクト投資)プラットフォーム『セキュリテ』が運営する『セキュリテストア』にてミャンマー産のコーヒーも販売しています。

マイクロファイナンス事業に興味を持った方はこちらから詳細どうぞ↓

以上、今回はやさしい世界を目指す会社のやさしいロゴとやさしい名刺を作った話でした。

はぁ〜なんか癒されたわ〜という方はスキをおしてくださると大変励みになります!🫶

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