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畑からいきなり団子を作ったら「まだかよ団子」になった (前編)

熊本の郷土料理「いきなり団子」を知っているだろうか?

お土産屋さんや和菓子屋さんでよく見るいきなり団子は、サツマイモの上にあんこが薄く載り、それをもちっとした団子生地で包んだ、おまんじゅうのようなものだ。これがシンプルだが、なんとも美味しいのだ。

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「いきなり団子」の名前の由来はいきなりお客さんが来ても、手早く簡単に作って出せるお菓子だから、ということであるが、全然そんな「いきなり」できるものではなかった

特に、畑で原料から作った私の場合。今回、サツマイモと小豆はそれぞれ苗と種から育てたものを、小麦粉と米粉は南阿蘇村の農家さんから地元産のものを購入した。

サツマイモの苗を買ったのが5月15日
いきなり団子ができたのが12月5日

なんと約7ヶ月かけてできたこのいきなり団子。

3分間クッキングならぬ、半年間クッキングでした。

その気合の入ったクッキングの工程をここに記録していく。

1. サツマイモの苗購入・根出し (5/15)

まず今回は、サツマイモを栽培するのも初めての経験だったので、まずはホームセンターに行って苗を揃えたところからスタート。

重要なサツマイモの品種選び。今回は紅あずまを40本、安納芋を40本、シルクスイートを20本買って見ることにした。

初心者故にネットで情報を見ながら、あーでもないこーでもないと工夫して植え付けしてみる。どうやら買った苗をしばらく水につけておくと、植えた時にしっかりと根付くらしい。(これを「根出し」という)

大きめのバケツに水を張って苗をつけてみる。日陰において根が伸びるのを待った。

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2. 畑の準備・サツマイモの植え付け (5/19)

サツマイモの根出しを始めてから4日後に苗を植え付けた。

その前に手作業で行ったマルチ張りが結構大変だった。畝らしいものは立ったものの、芋を植えるのに適した高めの畝にするのがどうしても手作業だと難しい。

そして雑草の抑制と地温の維持の機能がある、黒マルチを張るのにも一苦労。ピシッと隙間なく張るのにはコツが必要みたい。でもまあギリギリ合格点な出来。

苗の植え付け方はいろいろやり方があるみたいだが、斜めに穴をあけ、斜めに苗を挿していくと、大きすぎないサイズのサツマイモが比較的たくさんできるようなので、斜めに植えていった。

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苗はなんだかしょんぼり萎んでいて「本当にこれで育つのか?」と疑いたくなる感じだった。

3. 小豆の種まき (6/29)

1ヶ月以上空いて、次は小豆の準備。
小豆は大粒で皮がしっかりして甘味の強い「丹羽大納言」をチョイス。

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こちらは畝を立てず、マルチも張らずにそのまま種を直播き。

大体一つの穴にに2~3粒の種を蒔いて、軽く覆土。

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最後に水をたっぷりあげたら、これで小豆の栽培はスタート。種まきの後の水まきって、新たに時計の針が動き出したような感覚でワクワクする。

4. 小豆の発芽確認 (7/4) 第5葉確認 (7/11)

なんとか目視で小豆の発芽を確認できたのが種まきから約1週間経過した、7月4日のこと。この写真は7月11日。種まきから2週間経過して双葉の間から第5葉まで出てきたくらいに撮ったもの。

綺麗に生えそろったので、発芽率は結構良さそう。

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5. 小豆に稲藁マルチを施す  (7/13)

サツマイモ同様黒マルチを張ってもよかったのだが、今回は苗の間に稲藁を敷き詰める「稲藁マルチ」での栽培に挑戦した。

地中に光が入り込まない程度、稲藁をしつめる。稲藁は畑の土にとって良い有機物である。多様な微生物が稲藁の組織を分解するために集まり、窒素や炭素に分解されていくのと共に、土が豊かになっていく。

雑草抑制にプラスしてそんな嬉しい効果を期待しつつ、あとは成長を待つ。

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6. 草刈り・天地返し (8/2)

夏真っ盛り、サツマイモも雑草も繁栄し畑を覆い茂らせる季節。サツマイモの生育において重要になるのが、雑草の管理と「天地返し」の作業

根っこが可食部となるサツマイモは雑草に生育が邪魔されないように、しっかりと草刈りをしていくことが大切。ちょっと目を離すと畑がみるみるうちに雑草だらけになってしまうので気が抜けない。

そして天地返しはサツマイモの根が四方八方に伸びて地を這っていくのを防いで、真ん中の畝の中の根っこに養分を集中させるための作業。

サツマイモの生命力って本当にすごくて、どんどん横に斜めに根っこを伸ばしていく。美味しいサツマイモになるようにその根っこを剥がして真ん中に寄せる。

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6. 小豆の花、開花! (8/20)

ここでやっと小豆の花が咲きました

黄色くて小さい可憐な花。この花の数だけ鞘ができるので、ポンポンとあちこち咲いてゆくこの小豆の花を見つけると嬉しい気持ちになる。

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思いの外長くなってしまったので、続きは後編で。
サツマイモと小豆の収穫から、選別、そしてついに「いきなり団子」に変身を遂げるまでの過程をお届けします!


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